フォルクスワーゲン・コラード
コラード(Corrado )は、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンが欧州、北米、日本で販売していた3ドアハッチバッククーペである。事実上、シロッコの後継車にあたる。なお、コラードとはスペイン語で「疾走する」という意味のコレールを元にした造語である。
フォルクスワーゲン・コラード | |
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![]() フロント | |
![]() リア | |
概要 | |
販売期間 | 1988年 - 1995年 |
デザイナー | ヘルベルト・シェーファー |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 3ドアハッチバッククーペ |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
変速機 | 4速AT/5速MT |
車両寸法 | |
全長 | 4,050mm |
全幅 | 1,675mm (1991年以降1,685mm ) |
全高 | 1,330mm |
系譜 | |
先代 | フォルクスワーゲン・シロッコ(2代目) |
後継 | フォルクスワーゲン・シロッコ(3代目) |
概要編集
1988年にフォルクスワーゲン初のリアルスポーツカーとして発表された。カルマンと共同開発され、ライバルとしてはポルシェ・944が想定されていた。また多くの基本コンポーネントはゴルフIIと共有されており、ゴルフIIの派生車種として位置づけられている。ただしプラットフォームの前半分がゴルフIIと共通のA2プラットフォームだったのに対し、後ろ半分は3代目パサートと共通のB3プラットフォームが採用されており、内装も当時のゴルフではなくパサートと共通の意匠を持つなど、ゴルフとパサートの中間に位置するグレードだった。チルト式ステアリングコラムも採用されている。
乗車定員は2+2名。リア・オーバーハングは短くラゲッジルームも狭かったが、リアシートを倒すことで容量を拡大できた。テールゲートに装備されていたスポイラーは70km/h(後に90km/hに変更された)で展開され20km/hで格納されるという速度感応の可変式で、手動での操作も可能だった。安全面ではホイールスピンを防ぐEDS(エレクトロニック・ディファレンシャルロック・システム)を始め、ABSも装備され、後に運転席と助手席のエアバッグも標準装備とされた。タイヤのインチはモデルライフを通じて変更が多かった。
スポーツカーとしての評価は高かったものの売り上げは振るわず、1995年に生産中止された。直接の後継車は登場せず、カルマンギアに端を発するフォルクスワーゲンの2ドア専用モデルは、クーペカブリオレであるイオスが2006年に登場するまで不在となる。またフォルクスワーゲンは同年のパリモーターショーでアイロック (Iroc) と呼ばれるコンセプトスポーツモデルを発表しているが、こちらは2008年よりシロッコの名を復活させた上で発売され、コラード以来久しぶりのフォルクスワーゲン製スポーツクーペが登場した。
バリエーション編集
イギリスなどでは右ハンドル仕様が販売されていたが、日本では左ハンドルのまま輸入された。
G60編集
Gラーダーと呼ばれるスーパーチャージャーを搭載した直列4気筒SOHC 1,780ccのエンジンに、5速MTを組み合わせたモデル。最高出力160PS/5,600rpm、最大トルク22.9kg・m/4,000rpmを発揮した。VR6と16Vの登場に伴い生産終了した。
VR6編集
狭角V型6気筒SOHCエンジン搭載。この「VR6」エンジンはパサートとともに導入され、フォルクスワーゲン車にV型エンジンが導入されたのはこれが初めて。またコラードに搭載されたVR6エンジンは、排気量が標準タイプから70cc拡大された2,861ccの強化仕様である。さらに5速MTの他に、コラードとして初めて4速ATも採用された。最高出力190PS/5,800rpm、最大トルク25.0kg・m/4,200rpmを発揮した。G60の事実上の後継モデルと言えよう。
16V編集
後にゴルフGTI 16Vにも搭載された直列4気筒DOHC16Vエンジンを採用、変速機は5速MTと4速ATを選択できた。日本での価格が400万円を切る、コラードのエントリーモデルとしての設定だったが、VR6に比べてフロントの重量配分が軽く機敏性があった。スペックは、排気量1,984cc、最高出力135PS/5,800rpm、最大トルク18kg・m/4,400rpm。VR6よりも1年早くカタログ落ちした。
歴史編集
初代(1988年〜1995年)編集
関連項目編集
- フォルクスワーゲン
- フォルクスワーゲン・ゴルフ
- フォルクスワーゲン・ヴェント
- マクラーレン・F1(当車のドアミラーが流用されていた)