フシグロセンノウ(節黒仙翁、学名:Lychnis miqueliana Rohrb.)は、ナデシコ科センノウ属多年草

フシグロセンノウ
福島県会津地方 2009年9月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ナデシコ亜綱 Caryophyllidae
: ナデシコ目 Caryophyllales
: ナデシコ科 Caryophyllaceae
: センノウ属 Lychnis
: フシグロセンノウ L. miqueliana
学名
Lychnis miqueliana Rohrb.
シノニム

Silene miqueliana (Rohrb.) H.Ohashi et H.Nakai

和名
フシグロセンノウ(節黒仙翁)

特徴 編集

は直立し、高さは40-90 cmになる[1]。和名の由来のように茎の節が黒褐色になり[2]、茎の上部は分枝し、まばらな軟毛がある。は無柄で茎に対生する。葉身は卵形から長楕円状披針形で、葉先は鋭尖形で基部は細まり、長さ5-14 cm、幅2.5-5 cmになる。

花期は7-10月。野草では珍しい色の朱赤色の花を、分枝した茎の先にまばらに数個付ける。は2.5-3 cmの長円筒状で5裂し、毛はない。花弁は5個で長さ2.5-3 cmになる。蒴果は先が5裂した長楕円形となる。

種小名の「miqueliana」は、ドイツ植物学者のA.W.ミクエル(Friedrich Anton Wilhelm Miquel)に由来する[3]。別名が「ゼニバナ」[4]と「オウサカバナ」(逢坂関に自生していたことに由来する。)[5]

分布と生育環境 編集

日本の固有種[5]、本州・四国・九州の山地の林下などに自生する。田中澄江が『花の百名山』の著書で、雲取山を代表する高山植物の一つとして紹介した[6]山野草として苗が販売されている。

種の保全状況評価 編集

日本の各都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[7]環境省としての、レッドリストの指定はない[8]。森林の伐採や園芸採取などによる減少が危惧されている[9]

近縁種 編集

  • エゾセンノウLychnis fulgens Fisch. ex Spreng.) - 北海道と長野県軽井沢町に分布する多年草[2]
  • エンビセンノウLychnis wilfordii (Regel) Maxim.) - 北海道・埼玉県・長野県[1]の山地林縁に分布し、花弁が濃橙色の多年草[2]。環境省によりレッドリストの絶滅寸前の種の指定を受けている[7]
  • オグラセンノウLychnis kiusiana Makino) - 本州西部と九州の湿地に分布し、花が桃色を帯びる多年草[2]。環境省によりレッドリストの絶滅寸前の種の指定を受けている[7]
  • マツモトセンノウLychnis sieboldii) - 阿蘇山に分布する多年草。花が美しいことから、江戸時代から庭園に植えられてきた[1]。環境省によりレッドリストの危急種の指定を受けている[7]

関連画像 編集

脚注 編集

  1. ^ a b c 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月、522-523頁。ISBN 9784635090421 
  2. ^ a b c d 青山潤三『決定版 山の花1200-山麓から高山まで』平凡社、2003年8月、332頁。ISBN 4582542336 
  3. ^ 大川勝德『伊吹山の植物』幻冬舎ルネッサンス、2009年10月、194頁。ISBN 9784779005299 
  4. ^ フシグロセンノウ”. 岩手県. 2011年10月11日閲覧。
  5. ^ a b フシグロセンノウ”. 筑波実験植物園. 2011年10月11日閲覧。
  6. ^ 田中澄江『花の百名山』文春文庫、1997年6月、53-56頁。ISBN 4-635-09019-1 
  7. ^ a b c d 日本のレッドデータ検索システム”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年10月11日閲覧。
  8. ^ 植物絶滅危惧種情報検索(フシグロセンノウ)”. 生物多様性情報システム (2007年8月3日). 2011年10月11日閲覧。
  9. ^ フシグロセンノウ”. 愛媛県. 2011年10月11日閲覧。
  10. ^ フシグロセンノウ” (PDF). 大分県. 2011年10月11日閲覧。

参考文献 編集

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編 編『日本の野生植物 草本 Ⅱ 離弁花類』平凡社、1999年2月。ISBN 458253502X 

関連項目 編集

外部リンク 編集