フジゲン

日本の長野県松本市にある楽器製造メーカー

フジゲン株式会社(英称:Fujigen Co., Ltd.)は、長野県松本市平田東に本社を置く楽器製造メーカー。旧社名は富士弦楽器製造1989年4月に現社名に変更)。

フジゲン株式会社
Fujigen Co., Ltd.
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 フジゲン、富士弦
本社所在地 日本の旗 日本
399-0014
長野県松本市平田東3丁目3番1号
設立 1960年5月
業種 製造業:その他の製品
法人番号 3100001013962 ウィキデータを編集
事業内容 楽器製造・販売、木材加工
代表者 取締役社長 上條啓水
資本金 9560万円
売上高 41億8900万円
(2010年4月期)
従業員数 296人
主要子会社 オホーツク楽器工業株式会社
フジゲン広丘株式会社
関係する人物 横内祐一郎(創業者、現会長)
三村豊(創業者)
杉本眞(元ビルダー、現Sugiギター)
椎野秀聰(元コンサルタント、ESP創業者)
外部リンク フジゲン株式会社
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概要編集

 
フジゲンのオリジナルブランドの一つであるFGN
 
フジゲン製造のibanez JEMを演奏するスティーヴ・ヴァイ

FGN Guitars」における自社ブランドの弦楽器のほかオルゴール和太鼓などの製作、アイバニーズG&Lミュージカル・プロダクツの製品や大手メーカーのOEM生産、日本流通分のギブソン製品の検品も行っている。エレキギターの生産本数は1日120 - 130本であり、その内の約90%がアイバニーズなどのOEM製造、残り10%が自社ブランド(FUJIGEN、FGN)である。バブル期には1日500本を生産していた[1]

オンラインショップで自社ブランドのオーダーや販売を行う以外に、東京・池袋と代官山に直営店の「フジゲンカスタムハウス」を構え、修理などのユーザーサポートの他、オーダーメイドの受注にも幅広く対応している。

また、木材加工の分野では加工技術を応用した蕎麦打ち道具や、主にトヨタ自動車レクサス向けウッドインパネ等の木製内装材を製作している。現在はこちらの業務の売上高が社内でのシェアの大半を占めている。

歴史編集

初期 - 商標侵害訴訟問題編集

大阪屋商事の社長であった三村豊が、1960年5月に鈴木バイオリンの子会社を買収。中学の同級生であった横内祐一郎と共に共同出資で富士弦楽器製造を創業した。創業当初はクラシックギターが中心であったが、1960年代後半からは星野楽器のアイバニーズや神田商会グレコといったブランドで、ギブソンやフェンダーなどのコピー製品のを下請け製造するのが主体に切り替えていった。その他では1978年ローランドと合弁で「富士ローランド」を設立し、ギターシンセサイザーの発売に携わっている。

1977年、ギブソン社が偽造品を製造していた日本の楽器メーカーに対して一斉に訴訟を起こし、富士弦も著作権侵害で15億円の損害賠償請求の訴訟を起こされる。しかし、富士弦側は合法的に国内でコピー品を製造するために、日本国内における「ギブソン」等のメーカーの商標を無断取得していたため、ギブソン側が劣勢となり、商標権を全て引き渡す事で和解に成功する。ただ、この事をきっかけに日本国内ではモラルが問われるようになり、アイバニーズやグレコなどではデザインの一新が行われ、神田商会やヤマハなどと共同でコピー品の自粛呼びかけ広告を出されるなどした。アイバニーズでは以降のオリジナルモデルへの分岐点となり、現在では、訴訟以前の製品は「Ibanez Lawsuit」と呼ばれている。アメリカ国内では、ジョン・スコフィールドなどはこれらのロゴを消すなどして使用していた[2]。なお、ギブソンとは1988年に和解し、日本国内のコピー品対策のブランドとして『オービル byギブソン』やエピフォンのインペリアルシリーズを設立している。

フェンダーとの技術提携へ編集

ギブソンなどと同様に日本国内の偽造品問題を抱えていたフェンダーは、新たな対策として偽造品の製造会社に正規品を下請け発注する計画を発案した。それに際し、ギブソン訴訟以降は合法的なブランド品販売を模索していた神田商会と富士弦との利害が一致し、1982年からフェンダーの子会社「株式会社フェンダージャパン」をフェンダー、富士弦楽器製造、神田商会、山野楽器の共同出資で設立。フェンダーの日本・アジア向け製品として「フェンダージャパン」「スクワイア」ブランドの品を製造することとなった。

これらのOEM製造などで1983年には世界一のギター出荷量となったほか、1985年CBSがフェンダーをビル・シュルツに売却した際、工場拠点を失ったフェンダー社から技術支援を求められ、アメリカに杉本眞(現Sugi Guitars)などをはじめとする技術支援チームを送り工場新設を支援した。この工場の建設から完全な可動体制が整うまでの1984年から1987年の間、富士弦のOEMによる『フェンダー』ブランドのギターやベースがアメリカ国内で多く流通された。

1986年、フェンダーと富士弦の共同開発の新ギターブランドとしてハートフィールドを設立。フェンダー側からはジョン・ペイジといったフェンダーカスタムショップのメンバーも参加し、現在のオリジナルブランドで扱っている『Elan』などもこの時にデザインされた[3]。1987年、フェンダーとの技術協力やアイバニーズの製品開発拠点としてアメリカ支社のR&D Guitar inc.を設立する。また同年にフェンダーとそれぞれ4800万円の共同出資を行い、フェンダーメキシコ社を創業。

1989年フジゲン株式会社に改名する。1991年に塗装を専門に行う工場としてフジゲン広丘株式会社を設立。

バブル崩壊後編集

1990年代になると新興国の企業に下請け製造のシェアを奪われるようになり、日本の景気悪化と工場など設備投資などが重なり多大な負債を抱え始め、1993年にはハートフィールド社の倒産、エピフォンのインペリアルシリーズ製造中止など製造ラインの縮小化が行われる。1997年にはフェンダーメキシコとフェンダージャパンの株式を売却し、フェンダージャパンとオービル byギブソンは解散することとなった。

2000年代からトヨタ自動車のウッドパネルの下請けを開始したほか、自社ブランドの流通拠点として2001年に池袋へ「フジゲンカスタムハウス」を開設する[4]。2002年からはエピフォンにおけるギブソンモデルラインの上位グレード、「エリート」シリーズ(ソリッドギターのみ。後に「エリーティスト」へ改名)の製造を担当し、2008年まで継続された。

主な製品編集

  • ギターベース - Expert、Masterfield、Neo Classic、J-Standard
  • ウクレレ(ソプラノ、コンサート、テナー) - FGN Acoustic(Standard Traditional、Entry Traditional)
    • かつてはパイナップル型や、自社ブランドのPupukea(ププケア)を製造していた
  • オルゴール
  • 和太鼓 - 長胴太鼓、平胴太鼓、締太鼓。龍昇太鼓(道場)
  • 鳴子
  • 蕎麦道具

特許編集

2002年に「サークル・フレッティング・システム(C・F・S)」を開発(特許番号第3282035号)[5]フレットのカーブに沿って非直線の円弧状フレットを備えることで、すべての弦がフレットと直交し、スペック値と同じ距離でフレットを置くことができる。

過去に下請けを行った企業・ブランド編集

  • 星野楽器アイバニーズ):1962年 -
    • J.Customシリーズ
    • Prestigeシリーズ
    • アーティストシグニチャー等
  • フェンダー
    • フェンダー:1984年 - 1987年
    • フェンダージャパン:1982年 - 1997年
    • スクワイア:1982年 - 1997年
    • フェンダーメキシコ:1987年 - 1997年(メキシコ工場管理)
    • ハートフィールド:1986年 - 1993年
  • G&L
    • プレミアムシリーズ
  • ミュージックマン
    • EXシリーズ
  • 神田商会
  • ギブソン
    • エピフォン インペリアルシリーズ:1988年 - 1993年
    • オービル byギブソン:1988年 - 1998年
    • エピフォン エリート/エリーティストシリーズ 2002年 - 2008年
    • トバイアス:1988年 - 1993年
  • ヤマハ
  • 島村楽器:2001年 -
    • History
    • Cool Z
  • ディーン
  • DBZ:2009年 -
  • スペクター
  • クロサワ楽器(G-Life):2008年 -
  • 松下工房(Seen)
  • テスコ: - 1969年
  • 南洋貿易
    • Goya Guitars
    • Tele-Star

生産拠点編集

  • 本社工場(長野県松本市) - ウッドパネル製造
  • 大町工場(長野県大町市) - 木材加工、楽器製造・組み立て
  • 安曇野第1・第2工場(長野県安曇野市) - オルゴール・和楽器・ウッドクラフト製造、ギャラリーを併設
  • 広丘工場(長野県塩尻市) - 塗装
  • オホーツク工場(北海道紋別郡) - 木材加工・塗装

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ ギター工場見学~フジゲン株式会社 - 松本市公式観光情報ポータルサイト・新まつもと物語(2009年9月23日)
  2. ^ Interview: John Scofield - Uncle John’s Electro-Jam Band - Premier Guitar (June 20, 2013)
  3. ^ John Page(ジョン・ペイジ)が語る 自身のブランド「John Page Guitars」が生まれるまで! - 楽器.me(2011年)
  4. ^ フジゲンの歩み - フジゲン株式会社 公式サイト
  5. ^ TECHNOLOGY - PLAYABILITY - フジゲン株式会社 公式サイト

外部リンク編集