フランシス・ガヌー

フランシス・ガヌーFrancis Ngannou1986年9月5日 - )は、カメルーン男性総合格闘家西部州バティエ出身。アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス在住。MMAファクトリー所属。2020年2月現在、UFC世界ヘビー級ランキング2位[3]フランシス・ガノーとも表記される。

フランシス・ガヌー
Francis Ngannou photo.jpg
基本情報
本名 フランシス・ザビエル・エンガヌー
(Francis Zavier N'Gannou)
通称 ザ・プレデター (The Predator)
国籍 カメルーンの旗 カメルーン[1]
フランスの旗 フランス
生年月日 (1986-09-05) 1986年9月5日(33歳)[2]
出身地 カメルーンの旗 カメルーン
西部州バティエ[2]
所属 MMAファクトリー
身長 196cm[2]
体重 115kg
リーチ 211cm
階級 ヘビー級
バックボーン ボクシング総合格闘技
テーマ曲 All Eyez On Me(2パック
総合格闘技戦績
総試合数 17
勝ち 14
KO勝ち 10
一本勝ち 4
敗け 3
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来歴編集

カメルーン・バティエ村の貧しい家庭に生まれ、6歳の時に両親が離婚、叔母や叔父の家に預けられる。授業料を払えず教科書やペンさえ買えないほど貧しかったことで、あまり学校に通えなかったガヌーは、家計を助けるため12歳で危険が伴う砂の採取場で働いた[4]。離婚して家を出ていった父親が有名なストリートファイターだったために、その悪名とガヌーの恵まれた体躯に目をつけた複数のギャングから仲間に誘われるも、警察沙汰ばかり起こしていた父親のようになりたくなかったガヌーは、道を誤ることなく誘いをきっぱり断っている[5][6]

村の争い事の仲裁や、村人の賃金未払いを掛け合ったり、時には村人が奪われた金品を強盗から取り返すなど、村の顔役として頼りにされていたガヌーだったが、カメルーンで成功の機会を得るのは難しいと考え、26歳の時にボクシングを学んで一旗揚げようとフランスのパリへ渡った。しかし住むところも金も無く、頼る知人もいなかったガヌーは、パリの路上で生活することになる。そんな状況であったが、ガヌーは飛び込みで交渉し、無料でトレーニングをやらせてもらえるボクシングジムを見つけるも、ジムの練習生から、ボクシングは閉ざされた世界で力のあるプロモーターやトレーナーが必要なので、格闘技で稼ぎたいのなら総合格闘技をやってみるべきだと勧められる。しかしガヌーはボクシングをやるためにカメルーンを出てきたのであり、そもそも総合格闘技について全く何も知らなかったので、この時には総合格闘技を始める気持ちは起きなかった。

ボクシングのトレーニングは順調だったが週末は閉まってしまうジムであったため、週末もトレーニングを出来るジムを探していたところ、ある日、総合格闘技ジム「MMAファクトリー」を紹介され、ジムを尋ねると直ぐにジムのオーナーのフェルナンド・ロペスに素質を見込まれて、グローブなどの格闘技用具一式が詰まったバッグを渡され、その日から初心者クラスに参加して総合格闘技のトレーニングを始めた。この時、ガヌーはまだ路上で生活していたため、ロペスにバッグをジムに置かせて欲しいと頼むと、そこで初めて住むところがないと知ったロペスはガヌーにジムで寝泊まりすることを許可し、さらにガヌーのために住居を探した[7][5][8][6]

2013年11月30日に総合格闘技デビュー。ガヌーはまだボクシングに未練があったが、デビュー戦で総合格闘技が自身に向いてることを実感し、ファイトマネーを受け取り稼げることがわかると完全に総合格闘技へシフトした[6]

 
UFC参戦前のガヌー(右)

UFC編集

29歳の誕生日にUFCとの契約が決定する[6]

2015年12月19日、UFC初参戦となったUFC on FOX 17でルイス・エンリケと対戦し、左アッパーで2RKO勝ち。UFCは白星デビューとなった。

2016年4月10日、UFC Fight Night: Rothwell vs. dos Santosカーティス・ブレイズと対戦し、パンチでブレイズの右目を腫れあがらせ、2R終了時にドクターストップでTKO勝ち。同年7月23日、UFC on FOX 20でボヤン・ミハイロビッチと対戦し、パウンドで1RTKO勝ち。

2016年12月9日、UFC Fight Night: Lewis vs. Abdurakhimovアンソニー・ハミルトンと対戦し、桜庭和志を彷彿とさせるキムラロックで1R一本勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2017年1月28日、UFC on FOX 23でヘビー級ランキング7位のアンドレイ・アルロフスキーと対戦し、右フックを放ったアルロフスキーにカウンターの右アッパーでダウンを奪い、パウンドで1RTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2017年12月2日、UFC 218でヘビー級ランキング1位のアリスター・オーフレイムと対戦し、左アッパーで1R失神KO勝ち。UFC世界ヘビー級王者のスティーペ・ミオシッチへの王座挑戦権を獲得した。また、この試合はUFC公式サイトの2017年UFCノックアウト・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

2018年1月20日、UFC 220のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者スティーペ・ミオシッチに挑戦。スタンドの打撃を見切られ、テイクダウンとグラウンドで終始圧倒され、0-3の5R判定負け。王座獲得に失敗した。

2018年7月7日、UFC 226でヘビー級ランキング5位のデリック・ルイスと対戦。双方が相手の打撃を警戒して「お見合い」状態のまま試合が終了し、0-3の判定負け。解説のジョー・ローガンから「歴史上、最も退屈なヘビー級マッチだ」「この試合に勝者はいない」と酷評された[9]

2018年11月25日、UFC Fight Night: Blaydes vs. Ngannou 2のメインイベントでヘビー級ランキング3位のカーティス・ブレイズと再戦し、右フックでダウンを奪ってから追撃のパウンドで試合開始僅か45秒のTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2019年2月17日、UFC on ESPN: Ngannou vs. Velasquezで元UFC世界ヘビー級王者ケイン・ヴェラスケスと対戦し、タックルを仕掛けたヴェラスケスにカウンターの右アッパーでダウンを奪い、パウンドで開始僅か26秒のKO勝ち。

2019年6月29日、UFC on ESPN: Ngannou vs. dos Santosでヘビー級ランキング3位のジュニオール・ドス・サントスと対戦し、右オーバーハンドを放ったドス・サントスにカウンターの右フックを当て、背を向けたところに再び右フックを当ててダウンを奪い、パウンドで1RTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

ファイトスタイル編集

多くのファイター、専門家をして「MMAで最も重い打撃を持つストライカー」と言わしめるほどのパンチを最大の武器としている。また、パンチだけでなくキックも強烈であり、ガヌーのヘッドコーチであるフェルナンド・ロペスは「彼のキックを食らった時、死んだような気分になる」と語っている。最近では、キックボクサーのデューウィー・クーパーをストライキングコーチとして迎え入れ、ジェロム・レ・バンナらとスパーリングを行うことで更なる打撃の向上が期待されている。しかし、レスリングスキルやグラウンド技術は、未だに未知数である。

人物・エピソード編集

  • UFCヘビー級次代の王者と注目されており、UFC代表のダナ・ホワイトも「ガヌーはヘビー級チャンピオンになる可能性を秘めている。しかも、非常に長期間にわたって、タイトルを保持する可能性もあると思う」と評価している[10]
  • 自身が格闘技を学ぶためにフランスへ渡らなければいけなかった経験から、UFCのファイトマネーで母国カメルーンに、格闘技での成功を夢見る子供達のための慈善団体を設立し、格闘技ジム建設などの活動を行っている[7][6]
  • 2017年にフランスからネバダ州ラスベガスに移住し、UFCパフォーマンス・インスティテュート(UFCのトレーニング施設)でトレーニングをしている[6]
  • UFCパフォーマンス・インスティテュートで自身のパンチ力を計測したところ、ファミリーカー並みの92.84馬力を記録し、それまでキックボクサーのタイロン・スポーンが保持していた記録を更新した[11]
  • 尊敬する人物としてマイク・タイソンを挙げており、2019年11月にはタイソンとの面会を果たした[12][13]
  • ガヌーたち兄弟を女手ひとつで苦労しながら育てる母親の姿を見て楽をさせたいと思ったのが格闘家を志した最初の理由で、現在はカメルーンで病に臥せている母親のために戦うことが格闘技を続けているモチベーションの一つだと語っている[6]

戦績編集

総合格闘技 戦績
17 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
14 10 4 0 0 0 0
3 0 0 3 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
ジュニオール・ドス・サントス 1R 1:11 TKO(右フック→パウンド) UFC on ESPN 3: Ngannou vs. dos Santos 2019年6月29日
ケイン・ヴェラスケス 1R 0:26 KO(右アッパー→パウンド UFC on ESPN 1: Ngannou vs. Velasquez 2019年2月17日
カーティス・ブレイズ 1R 0:45 TKO(右フック→パウンド) UFC Fight Night: Blaydes vs. Ngannou 2 2018年11月25日
× デリック・ルイス 5分3R終了 判定0-3 UFC 226: Miocic vs. Cormier 2018年7月7日
× スティーペ・ミオシッチ 5分5R終了 判定0-3 UFC 220: Miocic vs. Ngannou
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2018年1月20日
アリスター・オーフレイム 1R 1:42 KO(左アッパー) UFC 218: Holloway vs. Aldo 2 2017年12月2日
アンドレイ・アルロフスキー 1R 1:32 TKO(右アッパー→パウンド) UFC on FOX 23: Shevchenko vs. Pena 2017年1月28日
アンソニー・ハミルトン 1R 1:57 キムラロック UFC Fight Night: Lewis vs. Abdurakhimov 2016年12月9日
ボヤン・ミハイロビッチ 1R 1:34 TKO(パウンド) UFC on FOX 20: Holm vs. Shevchenko 2016年7月23日
カーティス・ブレイズ 2R終了時 TKO(ドクターストップ) UFC Fight Night: Rothwell vs. dos Santos 2016年4月10日
ルイス・エンリケ 2R 2:53 KO(左アッパー) UFC on FOX 17: dos Anjos vs. Cowboy 2 2015年12月19日
ヴィリアム・バウブッチ 2R TKO(パンチ連打) KHK MMA National Tryouts: Finale 2015 2015年5月28日
リュック・ヌゲレカ 1R 1:57 ギロチンチョーク SHC 10: Carvalho vs. Belo 2014年9月20日
ニコラ・スペッキ 2R 2:10 肩固め 100% Fight 20: Comeback
【ヘビー級王座決定トーナメント 決勝】
2014年4月5日
ビラル・タタイ 1R 3:58 KO(パンチ) 100% Fight 20: Comeback
【ヘビー級王座決定トーナメント 1回戦】
2014年4月5日
× ゾウマナ・シセ 5分2R終了 判定0-3 100% Fight: Contenders 21 2013年12月14日
ラシッド・ベンジナ 1R 1:44 腕ひしぎ十字固め 100% Fight: Contenders 20 2013年11月30日

獲得タイトル編集

表彰編集

  • UFC
    • パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(3回)
  • ESPN
    • ノックアウト・オブ・ザ・イヤー(2017年、アリスター・オーフレイム戦)
  • Bleacher Report
    • ノックアウト・オブ・ザ・イヤー(2017年、アリスター・オーフレイム戦)

脚注編集

関連項目編集

外部リンク編集