フランシス・ティアフォー

米国のテニス選手

フランシス・ティアフォーFrances Tiafoe, 1998年1月20日 - )は、アメリカ合衆国メリーランド州ハイアッツビル英語版出身の男子プロテニス選手。ATPツアーでシングルス1勝を挙げている。ATPランキング自己最高位はシングルス15位、ダブルス160位。身長188cm、体重86kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

フランシス・ティアフォー
Frances Tiafoe
Tennis pictogram.svg
Frances Tiafoe US Open 2022 (cropped).jpg
2022年全米オープンでのフランシス・ティアフォー
基本情報
愛称 ビック・フォー(Big・Foe)
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 同・メリーランド州
生年月日 (1998-01-20) 1998年1月20日(25歳)
身長 188cm
体重 86kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2015年
ツアー通算 1勝
シングルス 1勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 7,252,175 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト8(2019)
全仏 2回戦(2022)
全英 4回戦(2022)
全米 ベスト4(2022)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 3回戦(2021)
全仏 2回戦(2021・22)
全英 1回戦(2017・18)
全米 2回戦(2014)
国別対抗戦最高成績
デビス杯 ベスト4(2018)
ホップマン杯 ラウンドロビン(2019)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 15位(2023年1月30日)
ダブルス 160位(2021年11月1日)
2023年3月18日現在

選手経歴編集

ジュニア時代編集

両親はシエラレオネ人で、1996年にアメリカ合衆国に移住。父親は建設作業員、母親は夜勤の看護師の元で双子の男の子として生まれた。5歳からトレーニングをして、8歳からはコーチもついて本格的にテニスをする。

 
フランシス・ティアフォー(左)、ティアフォーの兄弟フランクリン(右)

2012年 ジュニア世界2位編集

2012年には14歳でジュニア世界ランキングで2位を記録した。

2013年 オレンジボウル初優勝編集

 
2013年全米オープンでのフランシス・ティアフォー

2013年のオレンジボウルを史上最年少の15歳で優勝を果たす。

2014年 ツアー参戦編集

2014年にシティ・オープンでツアーデビューした。1回戦でエフゲニー・ドンスコイ英語版に敗れた[1]

2015年 プロ転向編集

 
フランシス・ティアフォー(2015年)

2015年はチャレンジャーツアーで結果を残し、年始に800位代で始まった世界ランキングは5月に300位代になった。全仏オープンワイルドカードで出場し、グランドスラムデビューした。1回戦でマルティン・クリザンに敗れた。ウィンストン・セーラム・オープンの1回戦でジェームス・ダックワース英語版を破り、ツアー初勝利を挙げた。

全米オープンにもワイルドカードで出場したが、1回戦敗退に終わった。その後もチャレンジャー大会で活躍し、年間最終ランキングは176位。

2016年 チャレンジャー初優勝編集

 
2016年ウィンブルドン選手権でのフランシス・ティアフォー

2016年、カナダのグランビー英語版でのチャレンジャーツアー初優勝をはじめとするチャレンジャーレベルでは良い結果を残したが、ツアーレベルではBNPパリバ・オープン1回戦のテイラー・フリッツ戦での1勝のみとなった。全米オープンも1回戦で敗退した。10月には100位となり、トップ100入りした。年間最終ランキングは108位だった。

2017年 グランドスラム初勝利編集

全豪オープンの予選を突破し、本戦1回戦でミハイル・ククシュキンを破り、グランドスラム初勝利を記録。2回戦では第24シードのアレクサンダー・ズベレフに2-6, 3-6, 4-6のストレートで敗れた。

全仏オープンでは1回戦で第28シードのファビオ・フォニーニに4-6, 3-6, 6-3, 6-1, 0-6のフルセットで敗れた。イーストボーン国際ではリシャール・ガスケに初戦敗退。初出場となったウィンブルドン選手権では1回戦でロビン・ハーセに勝利した。2回戦では第10シードのアレクサンダー・ズベレフに3-6, 4-6, 3-6のストレートで敗れた。

ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは2回戦で当時世界7位のアレクサンダー・ズベレフを4-6, 6-3, 6-4で下し、対トップ10初勝利を挙げた。3回戦ではジョン・イズナーに敗れた。全米オープン1回戦で第3シードのロジャー・フェデラーと対戦し、6-4, 2-6, 1-6, 6-1, 4-6で敗れたものの、フルセットまで縺れ込む激闘を演じた。

新設されたレーバーカップには世界選抜として出場。シングルスでマリン・チリッチに敗れた。上海マスターズでは2回戦でサム・クエリーに敗れた。ヨーロピアン・オープンではダビド・ゴファンに2回戦敗退。スイス・インドアではフェデラーに初戦敗退して、シーズン終了。年間最終ランキングは79位。

2018年 ツアー初優勝編集

2018年の開幕直後は苦しみ、38試合で9勝しかできなかった。しかし、4月のニューヨーク・オープンで初めてツアー大会でベスト8に入った。デルレイビーチ・オープンではフアン マルティン・デル・ポトロらを破り初の決勝に進出し、ペーター・ゴヨフチクに6-1, 6-4で勝利し、ツアー初優勝を飾った[2]マイアミ・オープンでは4回戦まで進出した。ミレニアム・エストリル・オープンでは決勝に進出したが、ジョアン・ソウザに敗れた。

 
2018年クイーンズ・クラブ選手権でのフランシス・ティアフォー

ウィンブルドン選手権は1回戦でフェルナンド・ベルダスコ、2回戦でジュリアン・ベネトーを下して、3回戦でカレン・ハチャノフにフルセットの末に敗れた。ナショナル・バンク・オープンでは3回戦でグリゴール・ディミトロフに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンではデニス・シャポバロフに初戦敗退。全米オープンでは1回戦でアドリアン・マナリノを下すも、2回戦でアレックス・デミノーに敗れた。2年連続でレーバーカップに出場して、シングルスでグリゴール・ディミトロフに敗れた。その後は初戦敗退が続き、パリ・マスターズ2回戦でアレクサンダー・ズベレフに敗退した。

ネクストジェネレーション・ATPファイナルに初出場したが、1勝2敗の成績でラウンドロビン敗退に終わった。年間最終ランキングは39位。

2019年 全豪ベスト8 NextGenファイナルズベスト4編集

全豪オープンの2回戦で第5シードのケビン・アンダーソンを4-6, 6-4, 6-4, 7-5で下して、 4回戦で第20シードのグリゴール・ディミトロフに7-5, 7-6(6), 6-7(1), 7-5で勝利して初のグランドスラムベスト8入りを決めた。準々決勝では第2シードのラファエル・ナダルに3-6, 4-6, 2-6のストレートで敗れた。BNPパリバ・オープンでは1回戦でニコラス・ジャリーに初戦敗退。マイアミ・オープンは準々決勝でデニス・シャポバロフに敗れた。

マドリード・オープンでは3回戦でラファエル・ナダルに敗れた。BNLイタリア国際ではジョアン・ソウザに初戦敗退。第32シードとして迎えた全仏オープンではフィリップ・クライノビッチに2-6, 6-4, 3-6, 6-3, 0-6のフルセットの末に初戦敗退。ウィンブルドン選手権では1回戦で第12シードのファビオ・フォニーニに7-5, 4-6, 4-6, 6-3, 4-6のフルセットの末に敗れた。

全米オープンでは2回戦で第6シードのアレクサンダー・ズベレフに3-6, 6-3, 2-6, 6-2, 6-3のフルセットの末に敗れた。上海マスターズでもデニス・シャポバロフに初戦敗退。パリ・マスターズではテイラー・フリッツに初戦敗退。

ネクストジェネレーション・ATPファイナルには前年に続き出場。2勝1敗の成績でラウンドロビンを突破して、ベスト4入り。準決勝ではアレックス・デミノーに敗れた。年間最終ランキングは47位。

2020年 グランドスラム4回戦進出編集

全豪オープンでは1回戦で第4シードのダニール・メドベージェフに初戦敗退し、大会後にトップ50位陥落。その後は新型コロナウィルスの蔓延により、ツアーが一時中断。

ツアー再開後のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは1回戦でアンディ・マリーに敗れたが、全米オープンではグランドスラム4回戦進出を果たした。ベスト8入りをかけた4回戦では第3シードのメドベージェフにストレートで敗れた。

2020年全仏オープンでは1回戦でヤン=レナード・ストルフにフルセットの末に敗れて、初戦敗退。パルマで開催されたATPチャレンジャーツアーでは優勝し、ヌルスルタンで開催されたアスタナ・オープンでベスト4入り。年間最終ランキングは59位。

2021年 ATPツアー500決勝進出編集

 
フランシス・ティアフォー(2021年)

全豪オープンでは2回戦で第1シードのノバク・ジョコビッチに敗れた。マイアミ・オープンでは4回戦ではダニール・メドベージェフに敗れた。全仏オープンでも同胞のスティーブ・ジョンソンにフルセットの末、1回戦敗退。

6月のノッティンガム・チャレンジャーでは優勝。ウィンブルドン選手権では1回戦で第3シードのステファノス・チチパスを6-4, 6-4, 6-3のストレートで破る金星を挙げた。2回戦でバセク・ポシュピシルを6-4, 6-4, 6-4のストレートで破るも、3回戦ではカレン・ハチャノフに3-6, 4-6, 4-6のストレートで敗退。

東京2020オリンピックではアメリカ合衆国代表として、初出場するも、2回戦でチチパスに敗退。全米オープンでは3回戦で第5シードのアンドレイ・ルブレフを4-6, 6-3, 7-6(8), 4-6, 6-4のフルセットの熱戦で勝利。2年連続で4回戦進出を果たした。4回戦ではフェリックス・オジェ=アリアシムに6-4, 2-6, 6-7(8), 4-6で敗退。エルステ・バンク・オープンでは予選から勝ち上がり、準決勝でヤニック・シナーを破り、決勝でアレクサンダー・ズベレフに敗れて、準優勝。年間最終ランキングは38位。

2022年 全米ベスト4編集

 
フランシス・ティアフォー(2022年)

2022年全豪オープンでは2回戦で同胞のテイラー・フリッツに4-6, 3-6, 5-7のストレートで敗れた。BNPパリバ・オープンでは3回戦でアンドレイ・ルブレフに3-6, 4-6で敗れた。マイアミ・オープンでは4回戦進出するも、フランシスコ・セルンドロに7-6(2), 6-7(3), 2-3で敗れた。

ミレニアム・エストリル・オープンでは決勝でセバスティアン・バエスに敗れて、準優勝。マドリード・オープンでは1回戦でクリスチャン・ガリンに1-6, 3-6で敗れた。BNLイタリア国際ではフィリップ・クライノビッチに6-7(7), 6-7(4)で初戦敗退。 2022年全仏オープンでは第24シードとして出場して、初の初戦突破を果たす。2回戦でダビド・ゴファンに6-3, 6-7(1), 2-6, 4-6で敗れた。

ウィンブルドン選手権では第23シードとして出場して、初の4回戦まで駒を進めた。4回戦ではダビド・ゴファンに6-7(3), 7-5, 7-5, 4-6, 5-7のフルセットの接戦の末に敗れた。

アトランタ・オープンではベスト4入り。準決勝でジェンソン・ブルックスビーに1-6, 4-6で敗れた。シティ・オープンではベスト8入り。準々決勝でニック・キリオスに7-6(5), 6-7(12), 2-6の熱戦で敗れた。ナショナル・バンク・オープンでは2回戦でフリッツに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは1回戦でマッテオ・ベレッティーニに7-6(3), 4-6, 7-6(5)の熱戦で勝利するも、2回戦でセバスチャン・コーダに6-4, 1-6, 4-6で敗れた。

 
2022年全米オープンでのフランシス・ティアフォー(1)

全米オープンでは第22シードで出場。3回戦で第14シードのディエゴ・シュワルツマンに7-6(7), 6-4, 6-4のストレートで破り、4回戦では第2シードのラファエル・ナダルを6-4, 4-6, 6-4, 6-3で下す大金星を挙げ、初の大会ベスト8入り。準々決勝では第9シードのアンドレイ・ルブレフに7-6(3), 7-6(0), 6-4のストレートで勝利し、米国勢16年ぶり及び自身初のグランドスラムベスト4入りを決めた。

 
2022年全米オープンでのフランシス・ティアフォー(2)

準決勝では第3シードのカルロス・アルカラスに7-6(6), 3-6, 1-6, 7-6(5), 3-6のフルセットの熱戦の末に破れた。レーバーカップではダブルスでジャック・ソックと組み、今大会を最後に引退を表明したロジャー・フェデラーとその良きライバルラファエル・ナダルとのペアと対決し、4-6, 7-6(2), 11-9の逆転でレジェンドペアを下して、世界選抜の初優勝に貢献。ジャパン・オープンでは決勝でフリッツに6-7(3), 6-7(2)で敗れ、準優勝。パリ・マスターズでは準々決勝でフェリックス・オジェ=アリアシムに敗れた。年間最終ランキングは19位。

2023年 ユナイテッド杯初優勝編集

ユナイテッド・カップではアメリカ合衆国代表として出場し、5戦全勝を挙げ、チームを優勝に導いた。

全豪オープンでは第16シードとして出場し、3回戦で第18シードのカレン・ハチャノフに3-6, 4-6, 6-3, 6-7(9)で敗れた。BNPパリバ・オープンでは準々決勝でキャメロン・ノーリーを6-4, 6-4のストレートで破り、マスターズ1000初のベスト4進出を果たした。

プレースタイル編集

 
2022年全米オープンでのフランシス・ティアフォーのジャックナイフ

サム・クエリージャック・ソックなどのようなアメリカ合衆国トップ選手にありがちな攻撃的なテニスをする。特にティアフォーはビックサーブとパワーのあるフォアハンドを軸にラリーを制して、ポイントを量産する。

ティアフォーの独特な腕の動きはヘビートップスピンを放つことができる。ATPツアー内でも最も変わったフォームをしている。身長188cmの高さから平均で193〜225km/hのサーブを放ち、最大で225km/hのビックサーブはエースを量産する。

ハードコートと芝のサーフェスが得意で、クレーコートは苦手としている。グランドスラムでも2018年全豪オープン4回戦でのグリゴール・ディミトロフ2021年ウィンブルドン選手権1回戦でのステファノス・チチパス2022年全米オープン準々決勝でのラファエル・ナダルなど、トップ選手を下すほどの爆発力を持っている。

ウェアとシューズはアディダスだったが、2016年5月からNIKEのウェアとシューズを着用している。ラケットはウィルソンからYONEX「VCORE Pro 97」を使用変更、ストリングスは「Polytour Pro 125」を張っている。ヨネックスのラケットを選んだのは「もっと攻撃的なテニスがしたいから」という理由であった。

ATPツアー決勝進出結果編集

シングルス: 2回 (1勝1敗)編集

大会カテゴリ
グランドスラム (0–0)
ATPファイナルズ (0–0)
ATPツアー・マスターズ1000 (0–0)
ATPツアー500 (0–0)
ATPツアー250 (1–1)
サーフェス別タイトル
ハード (1–0)
クレー (0–1)
芝 (0–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2018年2月25日   デルレイビーチ ハード   ペーター・ゴヨフチク 6–1, 6–4
準優勝 2. 2018年5月6日   エストリル クレー   ジョアン・ソウザ 4–6, 4–6

ダブルス: 1回 (0勝1敗)編集

大会カテゴリ
グランドスラム (0–0)
ATPファイナルズ (0–0)
ATPツアー・マスターズ1000 (0–0)
ATPツアー500 (0–0)
ATPツアー250 (0–1)
サーフェス別タイトル
ハード (0–0)
クレー (0–1)
芝 (0–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
準優勝 1. 2017年4月16日   ヒューストン クレー   ダスティン・ブラウン   ジュリオ・ペラルタ英語版
  オラシオ・セバジョス
6–4, 5–7, [6–10]

成績編集

四大大会シングルス編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 通算成績
全豪オープン A A Q2 2R 1R QF 1R 2R 6–5
全仏オープン A 1R Q3 1R 1R 1R 1R 0–5
ウィンブルドン A A Q1 2R 3R 1R NH 3–3
全米オープン Q1 1R 1R 1R 2R 2R 4R 5–6

大会最高成績編集

大会 成績
ATPツアーファイナルズ A 出場なし
Next Gen ATPファイナルズ SF 2019
インディアンウェルズ SF 2023
マイアミ QF 2019
モンテカルロ A 出場なし
マドリード 3R 2019
ローマ 1R 2018, 2019, 2022
カナダ 3R 2018, 2021
シンシナティ 3R 2017
上海 2R 2017
パリ 2R 2018
オリンピック 2R 2021
デビスカップ SF 2018
ATPカップ A 出場なし

脚注編集

  1. ^ Tiafoe falls in ATP debut”. www.ksl.com. 2019年4月6日閲覧。
  2. ^ 20歳のティアフォーがATPツアー初タイトルを獲得”. tennismagazine.jp. 2019年4月7日閲覧。

外部リンク編集