ブエルBuer)は、悪魔学における悪魔の一人。

コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』の挿絵におけるブエルの姿
ブエルのシジル

概要 編集

ゴエティア』によると、50の軍団を率いる序列10番の地獄の大総裁

大奥義書』によると、アガリアレプトの配下にあるという。

太陽人馬宮にある時に現れ、自然哲学道徳哲学論理学や全ての薬草の薬効を教える。望ましい使い魔を授ける。病の治療、とりわけ病気の人間を健康体に戻す知識に通じている[1]

『ゴエティア』では 人馬宮のシンボル)の姿で現れるとされる[2]が、コラン・ド・プランシーは『地獄の辞典』においてブエルの姿を「星か車輪のような五本の脚を持ち、自ら転がりつつ前進する」と紹介している。『地獄の辞典』第6版以降のルイ・ル・ブルトンによる挿絵では、ライオンの頭と5本のヤギの足を体の周りに持つ姿で描かれており、今ではその姿の方が有名である。また、ヒトデの姿をした悪魔という説もある[3]。『悪魔の偽王国』ではアスタリスクの姿とされる[1]

ブエルの名前の由来は不明であるが、興味深いことに"Buer"(現ゲルゼンキルヒェン)という古都がドイツヴェストファーレンにあった。

脚注 編集

  1. ^ a b Pseudomonarchia Daemonum
  2. ^ いて座の象徴である弓矢を持つケンタウロスの姿とも解釈される。
  3. ^ 『悪魔の事典』、334頁。 

参考文献 編集

  • フレッド・ゲティングズ『悪魔の事典』大瀧啓裕訳、青土社、1992年。ISBN 4-7917-5185-X 
  • コラン・ド・プランシー地獄の辞典』床鍋剛彦訳、講談社、1990年。ISBN 4-06-201297-9 
  • Mathers, S.L. MacGregor and Crowley, Aleister, The Lesser Key of Solomon(1904), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
  • Waite, A.E., The Book of Ceremonial Magic(1913), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
  • Weyer, Johann, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集・解題・注釈、ラテン語原文、レジナルド・スコットの英訳)
  • Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集、英文)

関連項目 編集