ブラック・ウィドウ (ヤレナ・ベラーヴァ)

ブラック・ウィドウBlack Widow)ことヤレナ・ベラーヴァ[注釈 1]Yelena Belova)は、マーベル・コミックから出版されるコミック作品登場するキャラクターである。彼女はスパイとして描かれており、ブラック・ウィドウの名前を使った2人目の現代のキャラクターである。彼女は『インヒューマンズ』第5号(1999年3月)で初登場し、デヴィン・グレイソン英語版J・G・ジョーンズ英語版により創造された[1]。彼女はレッドルームでスパイ兼暗殺者として訓練を受けた。元々はナターシャ・ロマノフを殺害するために送り込まれた敵であったが、その後同盟関係を結ぶこととなる。彼女はS.H.I.E.L.D.、ヴァンガード、HYDRAのメンバーを経験し、またHYDRAによりスーパーアダプトイド英語版へと変えられた。彼女はスーパーアダプトイドとしてA.I.M.英語版の最高評議員も務めた。2017年に元のコードネームであるブラック・ウィドウを再び使用した。

ブラック・ウィドウ
Black Widow
出版の情報
出版者マーベル・コミック
初登場インヒューマンズ』第5号(1999年3月)
クリエイターデヴィン・グレイソン英語版
J・G・ジョーンズ英語版
作中の情報
フルネームYelena Belova
Олена Бєлова (ウクライナ語)
Елена Белова (ロシア語)
所属チームA.I.M.英語版
ロシア連邦
S.H.I.E.L.D.
ヴァンガード
著名な別名ホワイト・ウィドウ、クリムゾン・ウィドウ、スーパーアダプトイド英語版、ペール・リトル・スパイダー、ルスカヤ
能力極限まで鍛えられた肉体
広範な軍事、格闘技、スパイの訓練を受講済み

マーベル・シネマティック・ユニバース作品ではフローレンス・ピューが演じ、映画『ブラック・ウィドウ』で初登場、テレビミニシリーズ『Hawkeye』で再登場予定である。

出版史編集

ヤレナ・ベラーヴァはナターシャ・ロマノワ(ナターシャ・ロマノフ)に次ぐ現代のブラック・ウィドウであり、初登場時はソ連崩壊後のロシアGRUのスパイだった。彼女は『インヒューマンズ』第2シリーズ第5号(1999年3月)で小登場した後、1999年のマーベル・ナイツのミニシリーズ『ブラック・ウィドウ』で本格的に紹介された。続いて 2001年の第2のミニシリーズ『ブラック・ウィドウ』ではナターシャ・ロマノフとデアデビルと共演した。さらにその翌年には成人読者向けのマーベルMAX英語版インプリントで全3号のミニシリーズ『ブラック・ウィドウ』(または『ブラック・ウィドウ: ペイル・リトル・スパイダー』)で彼女は単独主役を務めた。2002年6月から8月にかけてのグレッグ・ルッカ英語版脚本、イゴール・コーディ英語版作画のストーリーアークは彼女が『インヒューマンズ』に登場する以前の出来事を描いており、2代目の現代のブラック・ウィドウとなるまでの物語をフラッシュバックさせたものであった[2]

キャラクターのバイオグラフィ編集

ヤレナは初代ブラック・ウィドウであるナターシャ・ロマノフを育てた者と同じスパイマスターからレッドルームで訓練を受けた非道徳的なスパイ、暗殺者である。訓練生だったピョートル・ヴァシリエヴィチ・スタルコフスキーの死後、彼女は新たなブラック・ウィドウとなって活動を開始し、彼の殺害犯の捜査に乗り出す。Yelenaは犯人を逮捕、抹殺するが、一連の事件と捜査は彼女に新ブラック・ウィドウを名乗らせるための策略であり、彼女はそれにまだ気付いていなかった[3]。自分こそが「ブラック・ウィドウ」の正当な後継者であると考えたYelenaはナターシャと対決することとなる任務に志願するが、2人の出会いと対峙は決定的な戦いには至らなかった。ナターシャはYelenaに盲目的に国歌に身を捧げるのではなく、自身の個性や個人的なアイデンティティを見つけ出すように勧める。ナターシャはその後、ヤレナに残酷ではあるが必要な処置を施し、「ブラック・ウィドウ」の称号に対する幻想を打ち砕いてスパイの世界の現実を教える[4]。ヤレナは最終的に引退してキューバに移り、実業家やモデルとして成功を収める[5]

しかしながらヤレナは諜報組織S.H.I.E.L.D.の誘いで現場に復帰し、南極サベッジランド英語版ヴィブラニウムの違法な採掘任務に携わる[6]。そこでサウロン英語版の攻撃を受けて大火傷を負いながらも辛うじて生き延びた彼女はS.H.I.E.L.D.とニューアベンジャーズへの復讐を持ちかけられる[7]

大怪我を負ったヤレナはテロ組織HYDRAによって遺伝子改造を施される。ヤレナの復讐心を買ったHYDRAはA.I.M.英語版に依頼して彼女の精神を新型のスーパーアダプトイド英語版に移植する。この身体は当初はヤレナと同じような見た目であったが、パワーを吸収するにつれてオリジナルのスーパーアダプトイドと同様に変化し、色は黄色になった。ニューアベンジャーズのすべてのパワーをコピーできるようになった彼女はチームと戦闘を繰り広げる。彼女はアイアンマンの歴代アーマー軍の総攻撃を受け、さらにセントリー英語版のパワーをコピーしたことによりボイドの人格に触れてしまったために敗北する。彼女は情報漏洩を危惧したHYDRAによって口封じのために遠隔で自爆させられた[8]

彼女は後に自警グループであるヴァンガード英語版で復帰した[9]

ダークレイン」展開中、カジモトがノーマン・オズボーンのためにYelenaを調査した[10]。ヤレナはオズボーンのサンダーボルツ英語版に加わるために現れたが[11]、後にその彼女はナターシャ・ロマノフの変装であったことが判明する[12]。彼女はニック・フューリーの二重スパイとしてサンダーボルツを誘い込むための作戦であると思い込んでいたが、実際にはオズボーンがフューリーを騙って罠を張っていたことが判明する[13]。ナターシャがサンダーボルツから逃げた後、オズボーンは昏睡状態にある本物のヤレナの存在をスカージに明かし、彼女が彼の代わりにチームに入る可能性があると警告する[14]

本物のヤレナはA.I.M.によって昏睡状態から復活し、スーパーヴィランの国であるバガリアの国務大臣に就任する[15]

ナターシャ・ロマノフがHYDRAのキャプテン・アメリカによって殺害され、その後「シークレット・エンパイア英語版」展開で本物のキャプテン・アメリカによって彼が敗北するとヤレナは再びブラック・ウィドウとして活動を始めたが、今回は亡きナターシャに敬意を表してのことであった。ヤレナはHYDRA事件の混乱から世界が復興に向かう中で極悪人やHYDRA残党を暗殺するために各地を飛び回り、その姿はナターシャのかつての恋人のウィンター・ソルジャーホークアイの目にも留まった[16][17]

パワーと能力編集

ブラック・ウィドウは限界まで鍛えられた運動能力を持っている。また広範な軍事、格闘技、スパイの訓練を受けている[18]

スーパーアダプトイドとしては周囲の人物の能力をコピーする事が出来、ルーク・ケイジアイアンマンミス・マーベルセントリー英語版スパイダーマンスパイダーウーマンウルヴァリンをコピーした実績がある[8]

他のメディア編集

テレビ編集

ヤレナ・ベラーヴァはテレビアニメ『アベンジャーズ・アッセンブル』で登場し、原語版声優をジュリー・ネイサンソン英語版が務めた[19]。彼女は第3シーズン『アベンジャーズ: ウルトロン レボリューション』でバロン・ストラッカーがレッドルームとウィンター・ソルジャー・プログラムを再起動させた後に第2のブラック・ウィドウとして初登場する。シーズン第14話「過去の記憶」で彼女はブルース・バナーを拉致してストラッカーのシベリア基地に連れてき、ウィンター・ハルクに変身させるために送り込まれる。しかし現役のブラック・ウィドウであるナターシャ・ロマノフが介入し、ストラッカーの計画に関与しているベラーヴァと戦う。キャプテン・アメリカアイアンマンの助けを得てナターシャはベラーヴァ、ストラッカー、ウィンター・ハルクを倒すが、ベラーヴァは逃走する[20]。第4シーズン『アベンジャーズ: シークレット・ウォーズ』では「クリムゾン・ウィドウ」("Crimson Widow")を名乗って再登場する。シーズン第4話「プリズン・ブレイク」で彼女はダルザ、タイフォイド・メアリーと共にヴォルトからの脱獄を試みるが、キャプテン・マーベルワスプに敗れる。シーズン第8話「ハロウィーンは大嫌い」では元ヒドラ科学者のホイットニー・フロストをホークアイから取り戻すためにベラーヴァとクロスボーンズ英語版が派遣される。しかしながらドラキュラ英語版吸血鬼軍団から逃れた彼らはアベンジャーズに逮捕される。第5シーズンかつ最終シーズンの『アベンジャーズ: ブラックパンサー・クエスト』の最終回「ハウス・オブ・マダム・マスク」で彼女はレッドスカル、クロスボーンズ、タイフォイド・メアリーと共に戦う。

マーベル・シネマティック・ユニバース編集

エレーナ・ベロワはマーベル・シネマティック・ユニバースを舞台とする実写メディアにも登場し、フローレンス・ピューによって演じられる。

  • ピューは2021年の映画『ブラック・ウィドウ』で初出演する[21]。このバージョンはナターシャ・ロマノワの妹的存在であり、彼女と同様にレッドルームでブラック・ウィドウとしての訓練を受けている[22][23][24]。『ブラック・ウィドウ』の監督のケイト・ショートランドはこの映画でロマノフが「(ベロワに)バトンを渡す」こととなり、それが「もうひとつの女性のストーリーを推進する」ことになると述べた [25]。ロマノフ役のスカーレット・ヨハンソンはロマノフと比較してベロワは一人立ちするだろうと述べ、またピューは2人のあいだには「世代的な違い」が存在し、ベロワは「堂々としていて、自分に自信があり、好奇心旺盛で、(中略)そして感情的にも勇敢」であると指摘した[26]。さらにピューはベロワについて「訓練された分野でどう機能するかはよく知っているが、人間としてどう生きるかについては全くの無知である」と述べ、「致命的な兵器でありながら、ちょっとした子供でもある」と評した[27]:4。若年期のベロワはヴァイオレット・マッグロウにより演じられた[28]
  • 2021年配信開始予定のDisney+のミニシリーズ『Hawkeye』でピューは再演する[29]

ゲーム編集

モーションコミック編集

  • ヤレナ・ベラーヴァのブラック・ウィドウが『Marvel Knights - Spider-Woman: Agent of S.W.O.R.D.』に登場し、声優はジョエレン・アンクラムが務めた[19]
  • ヤレナ・ベラーヴァのブラック・ウィドウが『Marvel Knights: Inhumans'』に登場し、声優はサラ・エドモンソン英語版が務めた[19]

小説編集

アリサ・クイットニー英語版著の『New Avengers: Breakout』にヤレナ・ベラーヴァが登場する[36][37]。このバージョンの彼女はナターシャ・ロマノフの元友人でレッドルーム・プログラムのルームメイトである。S.H.I.E.L.D.の不正な派閥に属する彼女はサベッジランド英語版での極秘の発掘作業を監督し、ロマノフやアベンジャーズと対立する。

脚注編集

  1. ^ 邦訳コミック『ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト』(ヴィレッジブックス刊行、ヤスダ・シゲル訳)では「ヤレナ・ベラーヴァ」、『週刊 マーベル・ファクト・ファイル』(デアゴスティーニ・ジャパン刊行)では「イリーナ・ベロワ」、映画『ブラック・ウィドウ』では「エレーナ・ベロワ」(林完治字幕)など、日本語表記の揺れがある。

参考文献編集

  1. ^ Brevoort, Tom (2014年5月22日). “New Brevoort Formspring”. 2014年5月23日閲覧。
  2. ^ De Blieck Jr., Augie (2013年7月16日). “Revisiting Marvel's Beezer & Belova”. Comic Book Resources. 2019年6月16日閲覧。
  3. ^ Black Widow: Pale Little Spider #3 (August 2002)
  4. ^ Black Widow vol. 1, #1-3 (June - August 1999)
  5. ^ Black Widow 2 vol. 1, #1 (November 2005)
  6. ^ New Avengers vol 1, #5 (April 2005)
  7. ^ New Avengers vol 1, #6 (June 2005)
  8. ^ a b New Avengers Annual vol 1, #1 (June 2006)
  9. ^ Marvel Comics Presents vol. 2, #5 (March 2008)
  10. ^ Dark Reign Files vol 1, #1 (April 2009)
  11. ^ Thunderbolts vol. 1, #128 (March 2009)
  12. ^ Thunderbolts vol. 1, #134 (July 2009)
  13. ^ Thunderbolts vol. 1, #135 (September 2009)
  14. ^ Thunderbolts vol. 1, #136 (September 2009)
  15. ^ Secret Avengers vol. 2, #2 (March 2013)
  16. ^ Secret Empire: Omega vol. 1, #1 (September 2017)
  17. ^ Tales of Suspense vol. 1, #100 - #101 (December - January, 2018 - 2019)
  18. ^ Black Widow vol. 1, #1 (June 1999)
  19. ^ a b c Voice Of Black Widow / Yelena Belova - Marvel Universe | Behind The Voice Actors”. Behind The Voice Actors. 2019年4月20日閲覧。
  20. ^ "Seeing Double". Avengers Assemble. シーズン3. Episode 14. 28 August 2016. Disney XD。
  21. ^ Lussier, Germain (2019年7月20日). “Here's What Happened in the Black Widow Footage Marvel Showed at Comic-Con”. io9. 2019年6月30日閲覧。
  22. ^ Coggan, Devan (2019年7月20日). “Black Widow hits Comic-Con with first details of Scarlett Johansson film”. Entertainment Weekly. 2019年7月20日閲覧。
  23. ^ Kroll, Justin (2019年3月18日). “Scarlett Johansson's 'Black Widow' Movie Adds Florence Pugh”. Variety. 2019年3月20日閲覧。
  24. ^ Evangelista, Chris (2019年7月29日). “'Black Widow' Will Have Multiple Black Widows”. /Film. 2019年7月30日閲覧。
  25. ^ Travis, Ben (2020年7月6日). “Black Widow Movie Will 'Hand The Baton' To Florence Pugh, Says Cate Shortland – Exclusive”. Empire. 2020年7月6日閲覧。
  26. ^ Sheperd, Jack (2020年9月17日). “Florence Pugh and Scarlett Johansson discuss the future of Black Widow”. GamesRadar+. 2020年9月20日閲覧。
  27. ^ Black Widow Advance”. Disney Media and Entertainment Distribution. 2021年5月20日閲覧。
  28. ^ MC (2021年1月27日). “Exclusive: Violet McGraw Talks her New Film, Our Friend and her Role in Black Widow!”. Beautiful Ballad. 2021年4月5日閲覧。
  29. ^ Otterson, Joe (2020年12月3日). “‘Hawkeye’ Series at Disney Plus Adds Six to Cast, Including Vera Farmiga and Tony Dalton (EXCLUSIVE)”. Variety. 2020年12月3日閲覧。
  30. ^ Goldstein, Hilary (2006年11月3日). “Marvel: Ultimate Alliance Review”. IGN. 2019年6月16日閲覧。
  31. ^ Zen StudiosThe Punisher: No MercySony Computer Entertainment、2009年7月2日、PlayStation 3(ver1.0)。
  32. ^ Marvel: Avengers Alliance Spec Ops 12 Task List”. BBGsite (2013年8月26日). 2019年5月30日閲覧。
  33. ^ Gallaway, Brad (2016年11月11日). “The Best Marvel Puzzle Quest Characters”. https://www.pastemagazine.com/articles/2016/11/ranking-every-marvel-puzzle-quest-character.html 2019年4月20日閲覧。 
  34. ^ New Character - ***** Yelena Belova (Black Widow) *****”. Demiurge. 2020年4月21日閲覧。
  35. ^ Blac Widow - Costumes”. Weebly. 2019年5月29日閲覧。
  36. ^ Lawson, Corrina (2012年12月31日). “New Avengers: Breakout: A Kiss or Kill Dilemma”. Wired. 2019年5月29日閲覧。
  37. ^ Couper, Jonathan. “New Avengers: Breakout (Prose Novel) - Review”. spiderfan.org. 2019年5月29日閲覧。

外部リンク編集