ブラッドタイプ・ハラスメント

ブラッドタイプ・ハラスメント(通称:ブラハラもしくはケツハラ[1])とは、血液型(特にABO式血液型)によって人物の性格を判断し、相手を不快や不安な状態にさせる言動のことである。血液型を意味する 英語: blood-type と、嫌がらせを意味する 英語: harassment を組み合わせた造語である[2]

目次

問題の背景編集

日本、韓国、台湾など一部の国では血液型性格分類が存在するが、血液型と性格の関連性は科学的に否定されていると言って良い[3] 。だが1970年代から2000年代前半にかけて、多くのテレビや書籍が根拠なく分類を広めたため、いまだに血液型と性格の関連性を信じている人もいる[4]。2000年代の終盤以降、血液型性格診断を取り扱うTV番組などによって血液型で性格を決めつけられるなど差別を受ける危険性が指摘されるようになり[5]、ブラッドタイプ・ハラスメントと呼ばれて取り上げられるようになった[6][7]

加害者心理編集

血液型と性格の関連性を信じる一部の人々によってブラハラは引き起こされる。血液型性格分類には科学的根拠が全く無いにもかかわらず、当たっていると感じる人が多い理由として、以下のことが挙げられている。

  • バーナム効果。誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な性格をあらわす記述(他人から好かれたいと思っているなど)を、自分だけに当てはまる正確なものだと誤解してしまう現象[8]
  • 確証バイアス。自分の信念を裏付ける記述のみを重視し、それに反する情報を軽視してしまうという現象[9]
  • 予言の自己成就。根拠のない記述であっても、それを信じて行動するとその記述通りの結果が生じてしまうという現象[10]

このため、加害者には相手を不快や不安な状態にさせる意図はなく、無意識のうちにブラハラを行っている場合もある。

行政機関の対応編集

厚生労働省熊本労働局などでは「血液型は職務能力とは全く関係ない」としており、血液型を採用面接などで尋ねないよう企業に求めている[7][リンク切れ][11]大阪労働局は、採用試験の応募用紙に血液型などの記入欄を設けていた企業に対し、実際に行政指導を行ったこともある[7][リンク切れ]

学術的見解編集

血液型のように、本人によって選択できない遺伝情報に基づいて、人物を否定的に捉えること自体が差別行為であると言える[5]。このような「血液型差別」は人種差別優生学と同様の構図を持っているとされる[要出典]。実際、欧米において血液型と人間の特性を最初に関連づけた研究の目的は人種差別だった[5]

出典編集

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  1. ^ 秋の3部コラボ企画 - わかやま新報 Staff Blog
  2. ^ 海外記事を紹介するNewSphereでは血液型に対する海外メディアの反応を紹介した上で「海外では血液型と性格を結びつけることはないためか、日本のこうした慣習は新鮮なようだ」としている。その他の海外メディアも日本の奇妙(weird)な習慣として血液型性格診断を論じている(米NYタイムズ記事英BBC記事)。よって血液型と性格の関連性や、それを起因とする嫌がらせは日本独自の概念とされる
  3. ^ 学者による、十分な数の標本集団で、十分管理された統計においては、複数年にわたって特定の血液型と特定の性格に明確な関連性を示すデータは得られていない。血液型性格分類に対するステレオタイプを持つ被験者だけ、またはある年だけ見ると相関性が見られることもまれにあるが、同一調査を長期に渡って行うと逆方向の相関となる可能性もある。もしも長期に渡ってコンスタントに一定方向の相関が見られるならば、明らかに相関があると言えるのだが、そのようなデータは出てきていない。
    • 山崎賢治&坂元章(1992) 「血液型ステレオタイプによる自己成就現象~全国調査の時系列分析~」『日本社会心理学会第33回大会発表論文集』 - 血液型性格関連説が社会的に広まり始めたころから数年後の1978年を起点に1988年まで、日本人延べ32,347人の自己評価による性格の経年変化を調べ、自己評価の性格がステレオタイプに沿ったものへとより強化される傾向があることを示した。ただし最も大きな偏りを示した項目でも大量のデータでないと有意味とされない程度の微弱なものであった。
    • 武藤浩二・長島雅浩他(2012)「教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究」『2011年度科研費研究成果報告書』 - 山崎賢治・坂元章(1992)は1978年から1988年までの11年間に毎年約3,000人(延べ32,347人)を解析したものであるが、このデータを2000年代にまで拡張して解析しても、同様の結果が出ることが判明した(詳細な人数・年数は報告書には未掲載)。
    • 山岡重行(2001)「第二夜 血液型性格診断に見るダメな大人の思考法―思いこみと勘違いのメカニズム」 『ダメな大人にならないための心理学』(pp.35-73)
    • Sakamoto, A., & Yamazaki, K. (2004). Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy: A natural experiment with time-series data of 1978–1988. Progress in Asian Social Psychology, 4, 239–262.(上記の山崎賢治&坂元章(1992)と同様の内容)
    • 山岡重行 (2009) 血液型性格判断の差別性と虚妄性(自主企画(2)) 日本パーソナリティ心理学会大会 - 1999年から2009年までの6600人を調べたところ、血液型性格分類に対するステレオタイプを持つ被験者に限り多くの項目で有意差が出た。
    • 松井豊 (1991) 血液型による性格の相違に関する統計的検討 東京都立立川短期大学紀要 - 1980/82/86/88年の約1万人を調査したところ、上記の山崎賢治&坂元章(1992)と同じデータだが差は出ていないと述べている。
    • 縄田健悟(2014) 血液型と性格の無関連性 - 日米約1万人のデータを調べたが差は出なかった
  4. ^ MARI YAMAGUCHI (2005年5月6日). “Myth about Japan blood types under attack”. The Canadian Press. 2013年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月5日閲覧。
  5. ^ a b c 山岡重行「テレビ番組が増幅させる血液型差別 (PDF)
  6. ^ “平成20年度プレスクール論文賞論文”. 東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻. http://www.ib.k.u-tokyo.ac.jp/major/303/419.html 2014年9月10日閲覧。 
  7. ^ a b c “科学 血液型と性格「関連なし」…日米1万人超を調査”. 読売新聞(YOMIURI ONLONE). http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20140722-OYT8T50051.html 2014年8月17日閲覧。 
  8. ^ “信じていいの、この占い。☆バーナム効果☆”. BONITA message. http://bonitamessage.jp/ww/cont/id/1152 2014年7月25日閲覧。 
  9. ^ “「確証バイアス」にご用心 ~血液型と性格との相関について~”. ITmedia オルタナティブブログ. http://blogs.itmedia.co.jp/tani/2014/07/16-4800.html 2014年7月25日閲覧。 
  10. ^ “予言の自己成就”. JAW 安全衛生ホームページ. http://www.jaw.or.jp/anzen/letter/no_25.htm 2014年7月25日閲覧。 
  11. ^ 厚生労働省熊本労働局の「血液型は職務能力とは全く関係ない」という発表内容は熊本労働局のサイトで確認できる。2015年10月12日閲覧

関連項目編集