GTワールドチャレンジ

GTワールドチャレンジ(GT World Challenge)とは、グループGT3を管轄するSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)が主催する、GTカーのレースシリーズの総称。かつては「ブランパンGTシリーズ」の名前で知られていた。

ブランパンGTシリーズ
カテゴリ グランツーリスモ
国・地域 国際
開始年 2014年
タイヤ
サプライヤー
ピレリ
公式サイト BLANCPAIN GT SERIES

概要編集

 
ハローキティの描かれたマクラーレン・650S GT3

アマチュア向けのグループGT3耐久レースとして、2011年にスイスの高級時計ブランドであるブランパンがタイトルスポンサーとなってスパ24時間を含む「ブランパン耐久シリーズ(Blancpain Endurance Series)」が開催された。同時期はコストの高騰や世界経済の不況を背景にグループGT1FIA GT1世界選手権の崩壊が進んでいたが、安価なグループGT3を用いるブランパンはたちまち多くのエントラントを集めた。

2014年には世界選手権から格下げされたFIA GTシリーズがブランパンスプリントシリーズに発展。耐久とスプリントを合わせて「ブランパンGTシリーズ」となり、欧州GT3レースの最高峰としてその地位を確立した[1][2]。2016年には両シリーズは「ブランパンGTシリーズ耐久カップ (Blancpain GT Series Endurance Cup」・「ブランパンGTシリーズスプリントカップ (Blancpain GT Series Sprint Cup」へと名称が変更された。

なおSROは2009年から始まったワンメイクレース『ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ』の他、2015年には古いLM-GTEやGT3マシンを用いるアマチュアドライバー限定の『ブランパンGTスポーツクラブ』と、ブガッティ・ヴェイロンマクラーレン・P1のようなハイパーカーを走らせることのできる『ブランパンウルトラスポーツクラブ』も誕生させており、その活動範囲はGT3だけに留まらない[3]

2017年にはブランパンGTシリーズアジア (Blancpain GT Series Asiaを発足。アジアではすでにモータースポーツ・アジアの運営するGTアジアが展開していたが、ブランパンのブランドネームと豊富な賞金、欧州で培った運営ノウハウにより[4]、たちまち大勢のエントラントを引き寄せた。

また北米でもPWC(ピレリ・ワールド・チャレンジ)と提携し、選手権上位チームを相互に招待参戦させるなど幅広く活動を行っている[5]

しかし2019年終了を持ってブランパンとのパートナーシップが終了したことに伴い、名称が『GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ』、『GTワールドチャレンジ・アジア」へとそれぞれ改められた。

前述の通り元々はアマチュア・プライベーターのためのレースであったが、FIA-GTシリーズの消滅後に欧州メーカーたちは当シリーズに大挙してセミワークスチーム・プロドライバーを送りこんでおり、ランボルギーニベントレーのようにブランパンを主戦場とするメーカーも少なくない。近年はSROもマニュファクチャラーの参戦を公式に認めており、よりマニュファクチャラー向けのシリーズとしてIGTC(インターコンチネンタル・ワールドチャレンジ)を創設している。

日本からは日産自動車が育成プログラムの一環でセミワークス参戦し、千代勝正高星明誠を欧州に送り込み、千代が耐久シリーズのドライバーズタイトルを獲得している。またジェントルマンドライバーの石川資章や森義治も参戦しており、森の車両はハローキティのカラーリングで話題を呼んだ[6]。2018年からはレクサス・RC F GT3ホンダ・NSX GT3も参戦している。

早くからメディアを活用しており、YouTubeでは無料でフリー走行・予選・決勝を生配信している他、全て動画としてもアップされる。

レギュレーション編集

 
ブランパンが刻印されたランボルギーニ・ムルシエラゴ

車両は欧州・アジアともにグループGT3で、タイヤはピレリ。またグループGT4も2011年のブランパン耐久、2017年以降のブランパンGTアジアで、アマチュアに限り参戦可能。

ドライバーはスプリントとアジアは2人、耐久は3人(スパ24時間は4人も可)一組で、一人がFIAの規定上シルバー・ブロンズに属する場合はプロ-アマカップ、二人が属する場合はアマカップも争うことができる。

スプリントとアジアは1時間の時間制で、1イベント2レースが行われる。スタートから25分から35分までの10分の間のみピットインでき、ドライバーを交代する義務がある。なお事故で両脚を無くしたアレックス・ザナルディはドライバー交代が難しいため、特例で一人のみのエントリーが認められている。耐久は3時間以上で、伝統のスパ24時間の他、ニュルブルクリンクでは1000kmレースもある。

耐久カップとスプリントカップ両シリーズにフルエントリーするドライバー・チームは、ブランパンGTシリーズのタイトルを争う権利を得る。

アマチュアも参加するレースとしては多額の賞金が用意されており、2014年スプリント最終戦バクーでは総額17万5000ユーロ(2200万円以上)が用意された[7]。またアジアではGT3の優勝者に1万ドル(110万円)が与えられる他[8]、2017年アジアではチームの輸送費サポートとして25チームに総額40万ドル(4400万円)を支払った[9]

歴代チャンピオン編集

ドライバー編集

GT 耐久 スプリント アジア アメリカ
2011 Not held   グレッグ・フランキー
アウディ・R8 LMS
Not held Not held Not held
2012   クリストファー・ハッセ
  クリストファー・ミーズ
  ステファン・オルテリ
アウディ・R8 LMS ultra
2013   マキシミリアン・バーク
メルセデスベンツ・SLS AMG GT3
  ステファン・オルテリ
  ローレンス・ヴァントール
アウディ・R8 LMS ultra
2014   ローレンス・ヴァントール
アウディ・R8 LMS ultra
  ローレンス・ヴァントール
アウディ・R8 LMS ultra
  マキシミリアン・ゴッツ
メルセデスベンツ・SLS AMG GT3
2015   ロビン・フラインス
アウディ・R8 LMS ultra
  アレックス・バンコム
  千代勝正
  ウォルフガング・ライプ
日産・GT-R GT3
  ヴィンセント・アブリル
  マキシミリアン・バーク
ベントレー・コンチネンタルGT3
2016   ドミニク・バウマン
  マキシミリアン・バーク
メルセデスベンツ・AMG GT3
  ロブ・ベル
  コム・レドガー
  シェーン・ヴァン・ギスバーゲン
マクラーレン・650S GT3
  エンツォ・イデェ
アウディ・R8 LMS
2017   ミルコ・ボルトロッティ
  クリスチャン・エンゲルハート
ランボルギーニ・ウラカン GT3
  ミルコ・ボルトロッティ
  アンドレア・カルダレッリ
  クリスチャン・エンゲルハート
ランボルギーニ・ウラカン GT3
  ロビン・フラインス
  スチュアート・レオナルド
アウディ・R8 LMS ultra
  ハンター・アボット

メルセデスベンツ・AMG GT3
2018   ラファエル・マルチェッロ
メルセデスベンツ・AMG GT3
  イェルマー・バーマン
  マロ・エンゲル
  ルカ・シュトルツ
メルセデスベンツ・AMG GT3
  ラファエル・マルチェッロ
  マイケル・メドウズ
メルセデスベンツ・AMG GT3
  マーティン・コドリック
  デニス・リンド
ランボルギーニ・ウラカンGT3
2019   アンドレア・カルダレッリ
  マルコ・マペッリ
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  アンドレア・カルダレッリ
  マルコ・マペッリ
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  アンドレア・カルダレッリ
  マルコ・マペッリ
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  チェ・ミョンギル
メルセデスベンツ・AMG GT3
  トニ・バイランダー
フェラーリ・488 GT3

チーム編集

GT 耐久 スプリント アジア アメリカ
2011 Not held   WRTベルギアン・アウディ・クラブ
アウディ・R8 LMS
Not held Not held Not held
2012   ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS
2013   マルクVDSレーシングチーム
BMW・Z4 GT3
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS
2014   ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
2015   ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
2016   HTPモータースポーツ
メルセデスベンツ・AMG GT3
  ガレージ59
マクラーレン・650S GT3
  チームWRT
アウディ・R8 LMS
2017   GRTグラッサー・レーシングチーム
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  ベントレーMスポーツ
ベントレー・コンチネンタルGT3
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS
  グループM

メルセデスベンツ・AMG GT3
2018   AKKA ASP
  SMPレーシング by AKKA ASP
メルセデスベンツ・AMG GT3
  ブラックファルコン
メルセデスベンツ・AMG GT3
  ベルギアン・アウディ・クラブ・チームWRT
アウディ・R8 LMS ultra
  FFFレーシング・チーム by ACM
ランボルギーニ・ウラカンGT3
2019   オレンジ1 FFFレーシング・チーム
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  オレンジ1 FFFレーシング・チーム
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  オレンジ1 FFFレーシング・チーム
ランボルギーニ・ウラカンGT3
  アブソリュート・レーシング
ポルシェ・911 GT3R
  K-PAX・レーシング
ベントレー・コンチネンタルGT3

|}

  • 2013年スプリントシリーズはFIA GTシリーズとしての開催。

脚注編集

関連項目編集