ブリティッシュ・サウンズ

ブリティッシュ・サウンズ』(英語British Sounds、「英国の音響」の意)は、ジャン=リュック・ゴダールジャン=アンリ・ロジェら「ジガ・ヴェルトフ集団」の共同監督による、1969年3月[1]製作のイギリスのテレビ映画である。ロンドン・ウィークエンド・テレヴィジョンLWTITV傘下)のためにつくられたが、同局は本作の納品を拒否し、抜粋のみを放送した[2]

ブリティッシュ・サウンズ
British Sounds
本作で拳に破られる前のユニオンジャック
監督 ジガ・ヴェルトフ集団
ジャン=リュック・ゴダール
ジャン=アンリ・ロジェ
脚本 ジガ・ヴェルトフ集団
製作 アーヴィング・テイテルバウム
ケニス・トロッド
撮影 チャールズ・スチュワート
編集 エリザベス・コズミアン
製作会社 ケストレル・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 グローヴ・プレス
日本の旗 フランス映画社
公開 アメリカ合衆国の旗 1970年5月21日
日本の旗 1971年11月3日
上映時間 イギリスの旗 54分
アメリカ合衆国の旗 52分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
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概要 編集

1968年に結成された「ジガ・ヴェルトフ集団」が第一作『あたりまえの映画』を撮り、アメリカシネマ・ヴェリテ派ドキュメンタリー作家D・A・ペネベイカーと共同監督で『ワン・アメリカン・ムービー』を同年秋にゴダールが撮ったあと、同集団がロンドンでとりくんだ第二作がこの映画である。

冒頭から『ウイークエンド』(1967年)なみの長時間横移動で、オックスフォードシャー州アビンドンのMGの自動車工場の生産ラインが延々ワンショットにおさめられる。不協和音の音楽、かぶせられるカール・マルクス共産党宣言』を朗読する声。とある住居にシーンは変わり、中を歩き回る全裸の女性の映像にかぶせられるフェミニストのテクストを朗読する声。ニュースキャスターが資本家について語るショット、活動家たちの討論。ロケーション撮影はエセックス州コルチェスターでも行なわれた。最後は英国の国旗ユニオンジャックを拳で突き破るカットがいくつも繰り返されて終わる。明快だが、あまりにも図式的な映画ではある。

本作のプロデューサーのケニス・トロッドは、1968年8月2日に開局したロンドン・ウィークエンド・テレヴィジョンに番組を供給すべく、同年「ケストレル・プロダクションズ」社をトニー・ガーネットケン・ローチとともに設立したばかりで、「ジガ・ヴェルトフ集団」のおかげでたいへんな目に遭うわけであるが、後にパット・オコナー監督の『ひと月の夏』(1987年)やピーター・ホール監督の『おかえりなさい、リリアン』(1989年)のような良作をプロデュースすることとなる。撮影監督のチャールズ・スチュワートと録音技師のフレデリック・シャープは、1971年には同社でケン・ローチ監督の映画『Family Life』にたずさわることになる。

このときのゴダールとの共同作業で脚本を書き、共同で演出をしたジャン=アンリ・ロジェは、まだ19歳であった。若すぎる相棒、イギリス人のテレビ番組下請け会社のスタッフたちとの初めての仕事であった。パリバークレーニューヨークロンドンローマ、そしてパレスティナへとわずか2年で飛び回るゴダールと「ジガ・ヴェルトフ集団」の旅はつづく。

作品データ 編集

カラー作品(16 mm) / 上映時間 54分 / 上映サイズ1:1.37(スタンダード・サイズ

スタッフ・キャスト 編集

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  1. ^ 仏語版WikipediaBritish Soundsには「2月」とあるが、アメリカ公開版のプリントの冒頭には「3月」とクレジットされている。
  2. ^ 仏語版WikipediaBritish Soundsのページの記述より。

外部リンク 編集