プロングホーン(叉角羚羊[1]: pronghorn学名: Antilocapra americana)は、哺乳綱鯨偶蹄目プロングホーン科プロングホーン属に分類される偶蹄目。現生群では、本種のみでプロングホーン科、プロングホーン属を形成する。別名エダツノレイヨウ(枝角羚羊)。

プロングホーン
生息年代: 2.5–0 Ma
更新世前期–現世
プロングホーン Antilocapra americana
保全状況評価
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
* ワシントン条約附属書I
メキシコ個体群のみ)

A. a. mexicana メキシコプロングホーン

LOWER RISK - Conservation Dependent (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))

A. a. peninsularis カリフォルニアプロングホーン

CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))

A. a. sonoriensis ソノラプロングホーン

ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
下目 : 真反芻下目 Pecora
上科 : キリン上科 Giraffoidea
: プロングホーン科 Antilocapraidae
: プロングホーン属 Antilocapra
: プロングホーン A. americana
学名
Antilocapra americana (Old, 1815)
和名
プロングホーン
英名
Pronghorn
生息域

分布 編集

アメリカ合衆国西部、カナダ南西部(アルバータ州サスカチュワン州)、メキシコ北部(ソノラ州バハカリフォルニア州

形態 編集

体長100-150 cm。肩高60-100 cm。体重36-60 kg。背面は褐色から淡褐色の毛が生える。顎、耳、頚部から腹部、大腿部、臀部には白い毛が生える。

オスはを持つが、メスの角はないか、あっても小さい。角はシカ科の構成種の様に二股に枝分かれし年に1回生え変わるが、骨質の角ではなく骨の基部の上にウシ科のような角質の鞘でできた角が生える。英名のPronghornは「枝角」の意。

亜種 編集

  • Antilocapra americana americana (Old, 1815) アメリカプロングホーン
  • Antilocapra americana mexicana Merriam, 1901 メキシコプロングホーン
  • Antilocapra americana peninsularis Nelson, 1912 カリフォルニアプロングホーン
  • Antilocapra americana sonoriensis Goldman, 1945 ソノラプロングホーン

生態 編集

草原や半砂漠地帯に生息する。夏季になるとオスを中心とした10-30頭の小規模な群れを形成するが、冬季は大規模な群れを形成する。オスは縄張りを持つ。走るのが速く最高時速は88kmに達し、さらに時速70km以上の速度を維持しつつ長距離を走ることができるとされ、長距離走においてはチーター以上の速さを誇る動物とされている。北アメリカには、チーターとの収斂進化を遂げたピューマに近縁なアメリカチーター属 (Miracinonyx) が生息していたことが判明しており[2]、プロングホーンの足の速さはアメリカチーター属から逃げる為に発達したものだという説もある。(2019年5月24日放送の『チコちゃんに叱られる!』では、世界に2番目に速い動物としてプロングホーンが取り上げられ、この捕食者から逃げ切れるように脚力が発達した説が紹介された[3]。)

食性は草食性で草を食べる。

繁殖形態は胎生で、1回に1-2匹の幼体を出産する。

危険を感じた時には、お尻の白い毛を逆立てて太陽光の反射により目立たせ、仲間に伝える。この白い毛は尾鏡と呼ばれ、ニホンジカにも見られる。

天敵にはコヨーテがいる。特に幼獣が犠牲になりやすい。

人間との関係 編集

18世紀までは、およそ3,500万-5,000万頭が生息していたと推測されるが、19世紀以降、人間の開発による生息地の破壊や、狩猟の対象とされたことが原因で、生息数が1万頭前後まで激減しアメリカ合衆国東部では絶滅した。現在は45万頭前後まで回復したとされるが、亜種によっては未だ絶滅の危機に瀕している。この点は、同じ地域に生息していたアメリカバイソンについても同様のことが言える。

画像 編集

参考文献 編集

  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、103頁
  • 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、93頁

関連項目 編集

外部リンク 編集

注釈 編集

  1. ^ グードリッチ 著、須川賢久 訳「翻芻類」『具氏博物学』 六、田中芳男校閲、文部省、1877年、6-7頁。 
  2. ^ Faurby, S.; Werdelin, L.; Svenning, J. C. (2016-05-05). “The difference between trivial and scientific names: There were never any true cheetahs in North America”. Genome Biology 17: 89. doi:10.1186/s13059-016-0943-y. ISSN 1474-7596. PMC 4858926. PMID 27150269. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4858926/. 
  3. ^ チコちゃんに叱られる! 「“大阪のおばちゃんの秘密”“プールの水泳帽”ほか」gooテレビ番組