ヘゲモニー政党制

ヘゲモニー政党制(ヘゲモニーせいとうせい)とは、形式的には複数政党制だが、実際には特定の支配政党以外は衛星政党であり、真の反対党として存在できない制度[1]ジョヴァンニ・サルトーリが提唱した政党制の分類の一つ[1]。サルトーリは政党の競合の有無を重視し、ヘゲモニー政党制と一党制一党独裁)を非競合的体制とした[1]ヘゲモニー(Hegemonie)とはドイツ語で「主導権」「指導的立場」を意味する語である。覇権政党制とも。

概要編集

サルトーリは、従来は一党制や一党支配制と呼ばれていたものを、一党制・ヘゲモニー政党制・一党優位政党制の3つに分類した。ヘゲモニー政党制は、形式的特徴により一党制から区別され、競合の有無によって一党優位政党制と区別される。サルトーリは、野党が完全に禁止される時と、そうでない時には政治の様相が違ってくるだろうと考え、一党制からヘゲモニー政党制を区別する。また、与党が選挙で連勝したことを、競争が許されていない証拠とみなす考え方に反対し、一党優位政党制からヘゲモニー政党制を区別する。

またサルトーリはヘゲモニー政党制を、イデオロギー指向とプラグマティズム指向という2つの異なるタイプに分類した。

編集

一般的には、ヘゲモニー政党という言葉が使われる場合(とくに独裁の形態として批判的に用いられる場合)は、イデオロギー指向型のケースを指すことが多い。両者が異なることに異議を唱える者はいないが、プラグマティズム指向型との用語は普及していない(こちらは包括政党と表現される事が多い)。

イデオロギー指向型編集

プラグマティズム指向型編集

  • 1940年代から1990年代までのメキシコの制度的革命党の長期政権 - 政権党があらゆる政治勢力を取り込み、党内での権力闘争により政策決定が行われる。

参考文献編集

  • ジョヴァンニ・サルトーリ『現代政党学』(普及版)、岡沢憲芙川野秀之訳、早稲田大学出版部、2000年(原著:1976年)。

脚注編集

  1. ^ a b c ヘゲモニー政党制(読み)ヘゲモニーせいとうせい ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ヘゲモニー政党制 (コトバンク)
  2. ^ 仲井斌『もうひとつのドイツ』朝日新聞社、1983年 P167-168
  3. ^ 中国共産党賈慶林中央政治局常務委員中国人民政治協商会議議長が2009年に人民日報に寄せた『中国の特色ある社会主義路線の上で、中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度を不断に整備し、発展させる』によれば、「中国共産党の指導する多党協力政治協商制度は、西側の二大政党制多党制のような、一方が政権に就けばもう一方が下野する権力争奪型の政党関係とも、一党制のような権力独占型の政党関係とも異なり、民主的に協議し、互いの心の底まで打ち明けて親しく交わる、斬新な協力型の政党関係なのである」とされており、一党制では無く「中国共産党の指導する多党協力」だと主張されており、サルトーリのヘゲモニー政党制に該当する(中国の政党制度と一党・多党制との4大相違点人民日報日本語版 2009年11月2日))
  4. ^ 一党独裁制と議会(宮本悟)(公益財団法人 JIIA日本国際問題研究所)

関連項目編集