ヘンリー・セフード

ヘンリー・セフードHenry Cejudo1987年2月9日 - )は、アメリカ合衆国男性総合格闘家、元レスリング選手。カリフォルニア州ロサンゼルス出身。ファイト・レディー所属。元UFC世界バンタム級王者。元UFC世界フライ級王者。UFC史上7人目の二階級制覇王者。UFC史上4人目の二階級同時王者。オリンピック金メダリスト初のUFC世界王者。北京オリンピック男子フリースタイル55kg級金メダリスト。ヘンリー・セジュードとも表記される。

ヘンリー・セフード
Henry Cejudo smiling.jpg
2018年
本名ヘンリー・カルロス・セフード
(Henry Carlos Cejudo)
生年月日 (1987-02-09) 1987年2月9日(36歳) [1]
出身地カリフォルニア州ロサンゼルス[1]
通称ザ・メッセンジャー
(The Messenger)
トリプル・C
(Triple C)
国籍アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
身長163 cm (5 ft 4 in)
体重61 kg (134 lb)
階級フライ級
バンタム級
リーチ163 cm (64 in)
スタイルレスリング
スタンスオーソドックス
拠点アリゾナ州フェニックス
チームファイト・レディー
トレーナーエリック・アルバラシン
ランク松濤館空手 (黄帯)
現役期間2013年 - 2020年
総合格闘技記録
試合数18
勝利16
ノックアウト8
タップアウト1
判定7
敗戦2
ノックアウト1
判定1
ウェブサイトhttp://www.henry-cejudo.com/
総合格闘技記録 - SHERDOG
獲得メダル
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
男子 レスリング・フリースタイル
オリンピック
Olympic rings without rims.svg
2008 北京 55kg級
世界ジュニア選手権
2007 グアテマラシティ 55kg級
パンアメリカン競技大会
2007 リオデジャネイロ 55kg級
レスリングパンアメリカン選手権
2006 リオデジャネイロ 55kg級
2007 サン・サルバドル 55kg級
2008 コロラドスプリングス 55kg級

オリンピック金メダルを獲得し、UFCでも二階級制覇を達成したことから「トリプル・C (Triple C ※CはChampの略)」とも呼ばれる[2]

レスリング時代のセフード(2005年)

来歴編集

両親がメキシコからの不法移民の家庭に第6子としてロサンゼルスで生まれ、母子家庭で育てられた。幼い頃はサンノゼラスクルーセスフェニックスと各地を移り住みながら貧しい生活をしていた。兄の影響でレスリングを始め、高校時代はアリゾナ州で2度、コロラド州で2度州王者になり、ジュニアの世界大会でも2位になった。卒業後は大学には進学せずコロラドスプリングスのオリンピック・トレーニング・センターに招待されフリースタイルレスリングに専念した[3]アマチュアボクシングではアリゾナ州のゴールデングローブで優勝している[1]

レスリング編集

2008年北京オリンピックに出場し、男子フリースタイル55kg級決勝で松永共広を破りアメリカレスリング史上最年少となる21歳で金メダルを獲得[4][5]。北京オリンピック直後の2009年に1度引退するも、2つ目の金メダル獲得を目指して2011年に現役に復帰。2012年ロンドンオリンピックは予選で敗退した[6]

2013年1月30日、総合格闘技に転向を発表。3月2日に総合格闘技デビュー戦を行いTKO勝ちを収めた。

UFC編集

2014年7月25日、UFCと契約。マーク・シュルツケビン・ジャクソンに続くUFCと契約した3人目のレスリングオリンピック金メダリストとなった。

2014年8月30日のUFC 177スコット・ヨルゲンセンと対戦予定であったが、減量中に体調不良となり、欠場した。

2014年12月13日、UFC初参戦となったUFC on FOX 13でダスティン・キムラと対戦し、3-0の判定勝ちを収めた。

2015年3月14日、UFC 185でフライ級ランキング10位のクリス・カリアソと対戦し、3-0の判定勝ちを収めた。

2015年6月13日、UFC 188でフライ級ランキング13位のチコ・カムスと対戦し、3-0の判定勝ちを収めた。

2015年11月21日、UFC Fight Night: Magny vs. Gastelumでフライ級ランキング3位のジュシー・フォルミーガと対戦し、2-1の判定勝ち。

2016年4月23日、UFC 197のUFC世界フライ級タイトルマッチで王者デメトリアス・ジョンソンに挑戦し、ボディへの膝蹴りでTKO負けを喫し王座獲得に失敗した。

2016年8月、リアリティ番組The Ultimate Fighter」のシーズン24でジョセフ・ベナビデスと共にそれぞれのチームのコーチを務めた。

2016年12月3日、The Ultimate Fighter 24 Finaleでフライ級ランキング1位のジョセフ・ベナビデスと対戦し、1-2の判定負け。

2017年9月9日、UFC 215でフライ級ランキング5位のウィルソン・ヘイスと対戦し、パウンドでTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2017年12月2日、UFC 218でフライ級ランキング4位のセルジオ・ペティスと対戦し、3-0の判定勝ち。

UFCフライ級世界王座獲得編集

2018年8月4日、UFC 227のセミファイナルとして行われたUFC世界フライ級タイトルマッチで王者デメトリアス・ジョンソンに2年3カ月ぶりに挑戦し、何度もテイクダウンを奪い、2-1の5R判定勝ちでリベンジを果たし、王座獲得に成功したと同時にジョンソンの防衛記録をUFC選手史上最多の11回でストップさせ、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。また、オリンピック金メダリストでUFC王座獲得に成功した初めての選手となった。

2019年1月19日、UFC Fight Night: Cejudo vs. DillashawのUFC世界フライ級タイトルマッチで一階級上のUFC世界バンタム級王者TJ・ディラショーの挑戦を受け、開始直後に右フックでダウンを奪い、パウンドでTKO勝ちを収め、王座の初防衛に成功。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

UFCバンタム級世界王座獲得・二階級制覇編集

2019年6月8日、UFC 238で一階級上のUFC世界バンタム級王座決定戦でバンタム級ランキング1位のマルロン・モラエスと対戦。序盤は打撃で劣勢に立たされるも、徐々に巻き返して3RにパウンドでTKO勝ちを収め、パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞。フライ級に続いてバンタム級王座の獲得に成功し、ランディ・クートゥアBJ・ペンコナー・マクレガージョルジュ・サンピエールダニエル・コーミエアマンダ・ヌネスに続いてUFC史上7人目となる二階級制覇を達成した。また、二階級の王座を同時に保持したのは、コナー・マクレガー、ダニエル・コーミエ、アマンダ・ヌネスに続いてUFC史上4人目となった。

2019年12月19日にバンタム級に専念するためフライ級王座の返上を表明。2020年2月29日のUFC Fight Night: Benavidez vs. Figueiredoで正式に王座を返上した[7]

2020年5月9日、UFC 249のUFC世界バンタム級タイトルマッチで元UFC世界バンタム級王者ドミニク・クルーズと対戦し、2R終盤に右膝蹴りでダウンを奪いパウンドでTKO勝ち。王座の初防衛に成功し、試合後インタビューでは総合格闘技からの引退を示唆した。

2020年5月24日、バンタム級王座を返上し現役引退を発表[8]

ファイトスタイル編集

オリンピック金メダリストという肩書き通り、高いテイクダウンディフェンス能力を誇る[9]。レスリング時代よりカウンターレスリングを得意とし[10]クリンチの攻防から相手を崩して倒し、上のポジションを取って相手のスタミナを削るレスラーらしい巧さをみせる。2016年に連敗を喫してからはトレーニングに空手を取り入れる。それにより打撃の精度と威力が向上し、連敗を喫する以前はUFCでの4勝全てが判定勝利であったが、連敗後は6勝のうち4勝がTKO勝利と戦績面でも打撃力の向上が窺える。

人物・エピソード編集

戦績編集

総合格闘技 戦績
18 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
16 8 1 7 0 0 0
2 1 0 1 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
アルジャメイン・スターリング UFC 288: Sterling vs. Cejudo
【UFC世界バンタム級タイトルマッチ】
2023年5月6日
ドミニク・クルーズ 2R 4:58 TKO(右膝蹴り→パウンド) UFC 249: Ferguson vs. Gaethje
【UFC世界バンタム級タイトルマッチ】
2020年5月9日
マルロン・モラエス 3R 4:51 TKO(パウンド) UFC 238: Cejudo vs. Moraes
【UFC世界バンタム級王座決定戦】
2019年6月8日
TJ・ディラショー 1R 0:32 TKO(パウンド) UFC Fight Night: Cejudo vs. Dillashaw
【UFC世界フライ級タイトルマッチ】
2019年1月19日
デメトリアス・ジョンソン 5分5R終了 判定2-1 UFC 227: Dillashaw vs. Garbrandt 2
【UFC世界フライ級タイトルマッチ】
2018年8月4日
セルジオ・ペティス 5分3R終了 判定3-0 UFC 218: Holloway vs. Aldo 2 2017年12月2日
ウィルソン・ヘイス 2R 0:25 TKO(右ストレート→パウンド) UFC 215: Nunes vs. Shevchenko 2 2017年9月9日
× ジョセフ・ベナビデス 5分3R終了 判定1-2 The Ultimate Fighter 24 Finale 2016年12月3日
× デメトリアス・ジョンソン 1R 2:49 TKO(ボディへの膝蹴り→パウンド) UFC 197: Jones vs. St. Preux
【UFC世界フライ級タイトルマッチ】
2016年4月23日
ジュシー・フォルミーガ 5分3R終了 判定2-1 UFC Fight Night: Magny vs. Gastelum 2015年11月21日
チコ・カムス 5分3R終了 判定3-0 UFC 188: Velasquez vs. Werdum 2015年6月13日
クリス・カリアソ 5分3R終了 判定3-0 UFC 185: Pettis vs. dos Anjos 2015年3月14日
ダスティン・キムラ 5分3R終了 判定3-0 UFC on FOX 13: dos Santos vs. Miocic 2014年12月13日
イライアス・ガルシア 5分3R終了 判定3-0 Legacy Fighting Championship 27 2014年1月31日
ライアン・ホリス 5分3R終了 判定3-0 Legacy Fighting Championship 24 2013年10月11日
ミゲリート・マルティ 1R 1:43 TKO(パンチ連打) Gladiator Challenge: American Dream 2013年5月18日
アンソニー・セッション 1R 4:23 TKO(パンチ連打) WFF 10: Cejudo vs. Session
【WFFバンタム級王座決定戦】
2013年4月19日
ショーン・ヘンリー・バーネット 1R 4:55 TKO(パンチ連打) Gladiator Challenge: Battleground 2013年3月24日
マイケル・ポー 1R 1:25 ギブアップ(パンチ連打) WFF: Pascua Yaqui Fights 4 2013年3月2日

獲得タイトル編集

  • レスリングパンアメリカン選手権 男子フリースタイル55kg級 優勝(2006年)
  • パンアメリカン競技大会 レスリング 男子フリースタイル55kg級 優勝(2007年)
  • レスリングパンアメリカン選手権 男子フリースタイル55kg級 優勝(2007年)
  • レスリングパンアメリカン選手権 男子フリースタイル55kg級 優勝(2008年)
  • 北京オリンピック レスリング 男子フリースタイル55kg級 優勝(2008年)
  • サンキスト・キッズ・インターナショナル・オープン 男子フリースタイル55kg級 優勝(2011年)
  • 第2代UFC世界フライ級王座(2018年)
  • 第7代UFC世界バンタム級王座(2019年)

表彰編集

  • UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(1回)
  • UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(3回)

脚注編集

関連項目編集

外部リンク編集

前王者
デメトリアス・ジョンソン
第2代UFC世界フライ級王者

2018年8月4日 - 2020年2月29日

空位
次タイトル獲得者
デイブソン・フィゲイレード
空位
前タイトル保持者
TJ・ディラショー
第7代UFCバンタム級王者

2019年6月8日 - 2020年5月24日

空位
次タイトル獲得者
ピョートル・ヤン