ベネトン・B189 (Benetton B189) は、ロリー・バーンを責任者として設計されたF1マシンで、1989年シーズンから1990年シーズンにかけてベネトンチームが使用した。

ベネトン・B189
ベネトン・B189B
ベルギーGPにてアレッサンドロ・ナニーニがドライブするB189
カテゴリー F1
コンストラクター ベネトン
デザイナー ロリー・バーン
先代 ベネトン・B188
後継 ベネトン・B190
主要諸元[1][2]
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, プルロッド
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド
エンジン フォード HBA1, 3,493 cc (213.2 cu in), 75度 V8, NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ベネトン製 6速 MT
燃料 モービル
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ベネトン・フォーミュラ Ltd
ドライバー 19. イタリアの旗 アレッサンドロ・ナニーニ
20. イタリアの旗 エマニュエル・ピロ
20. ブラジルの旗 ネルソン・ピケ
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1989年フランスグランプリ
出走優勝ポールFラップ
12100
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概要編集

B189は前作B188DFRエンジンに替わってコスワースが新規開発を行った自然吸気エンジン、HBエンジンを搭載した。HBエンジンはこの年、ベネトンへの独占供給契約であった。カラーリングはB188を踏襲しているが、サイドポッドの全高が高くなり、ラジエーターインテークがより縦長に変更。その影響でエンジンカウル両脇のラムエアインテークはB188よりも薄くなった。

当初の予定ではB189は第4戦から使用し始めるはずだったが、シェイクダウンしてみるとHBエンジンのクランク・シャフトの寿命にベンチテストでは発見できなかった重大なトラブルが発生[3]、エンジンが1レース分も持たず壊れてしまうことが判明した。クランク・シャフト部は新設計されることになり、実戦投入が大幅に遅れた[4]1989年シーズンの第7戦フランスGPアレッサンドロ・ナニーニのみが初めてB189を使用し、第9戦ドイツGPからエマニュエル・ピロ用も投入され2台ともB189となった。

B188ほどの活躍は見せられなかったが、第15戦日本GPでナニーニがF1初優勝を記録した。

1990年シーズンも開幕2戦にはB189Bが使用され、第2戦ブラジルGPが最後の実戦となり第3戦サンマリノGPより新車のB190に交代した。

投入が予定より遅くなったことで実戦は12レースのみと使用期間が短いマシンとなった。

シャーシ履歴編集

1989年、B189はシャーシナンバー1から6までの6台が投入された[5]

成績編集

マシン No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
1989 B189                                 39 4位
19   アレッサンドロ・ナニーニ Ret 3 Ret Ret 5 Ret 4 Ret 1 2
20   エマニュエル・ピロ Ret 8 10 Ret Ret Ret Ret 5
マシン No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
1990 B189B                                 71 3位
19   アレッサンドロ・ナニーニ 11 10
20   ネルソン・ピケ 4 6
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。

脚注編集

  1. ^ STATS F1 - Benetton B189”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ STATS F1 - Benetton B189B”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
  3. ^ 新型フォードHBに欠陥 ニューベネトン出遅れる GPX 1989メキシコGP 28頁 山海堂 1989年6月17日発行
  4. ^ アラン・ヘンリー 編 『F1グランプリ年鑑 1989-90』バベル・インターナショナル・訳、CBSソニー出版、1990年、p.28頁。ISBN 4-7897-0502-1 
  5. ^ 『F1グランプリ年鑑 1989-90』、p.45頁。