ベラプロスト(Beraprost)は肺高血圧の治療薬として開発されたプロスタサイクリンの合成アナログである。ベラプロストナトリウムとして利用される。日本東レが開発した[1]再灌流傷害の予防への適応が研究されている。

ベラプロスト
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
  • US: C
法的規制
  • JP: 劇薬
投与経路 経口
薬物動態データ
生物学的利用能50%-70%
半減期35-40分
識別
CAS番号
88430-50-6
ATCコード B01AC19 (WHO)
PubChem CID: 5282428 CID 5282428
別名 ドルナー、プロサイリン
化学的データ
化学式C24H29NaO5
分子量398.492
テンプレートを表示

臨床薬理学 編集

他のプロスタサイクリン系の薬剤の類縁体と同様に、ベラプロストは血管拡張効果があり、これによって血圧を低くする。またベラプロストは血小板の凝集を抑制し、血液の粘性を低く抑える[2]。持続時間が短く、1.1時間程度で薬効が低下する。

適応 編集

日本では慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛、冷感の改善に使われる[3]。また、肺高血圧の治療に使用される[3][4]。猫の慢性腎臓病治療薬として使われる[5]

副作用 編集

副作用としては頻度は少ないが末梢血管の拡大によるほてりや、頭痛、動悸が存在する。肝臓に対する負荷がかかるほか、倦怠感といった症状も存在する。血液の粘性が下がるため、出血中の人間には投与できない。また、胎児に対して良好ではないために、妊娠中の患者にも投与できない。

重大な副作用としては、

  • 出血傾向(脳出血(0.1%未満)、消化管出血(0.1%未満)、肺出血(0.1%未満)、眼底出血(0.1%未満))、
  • ショック(0.1%未満)、失神(0.1%未満)、意識消失(0.1%未満)、
  • 肝機能障害(0.1%未満)、間質性肺炎、狭心症、心筋梗塞

が知られている[3][4]

出典 編集

  1. ^ 中西宣文 (2008年7月10日). “肺動脈性肺高血圧症治療薬ベラプロスト”. スズケン. 2011年2月13日閲覧。
  2. ^ 西尾伸太郎、車谷元 (2001年2月). “経口投与可能なPGI2誘導体ベラプロストナトリウムの薬理作用と臨床効果”. 日薬理誌 117 (2), 123-130 (2001). 金芳堂 日本薬理学会誌出版部. 2011年2月13日閲覧。
  3. ^ a b c ドルナー20µg 添付文書” (2015年7月). 2016年8月4日閲覧。
  4. ^ a b ケアロードLA錠60µg 添付文書” (2015年7月). 2016年8月4日閲覧。
  5. ^ 2017年1月23日 東レ株式会社 猫慢性腎臓病治療薬 ラプロスの製造販売承認取得について』(プレスリリース)2017年1月24日http://cs2.toray.co.jp/news/toray/newsrrs01.nsf/0/93746DCF52C4544E492580AE0030736C2017年1月24日閲覧 

関連項目 編集