ペルスヴァルまたは聖杯の物語

ペルスヴァルまたは聖杯の物語』(ペルスヴァルまたはせいはいのものがたり、Perceval, le Conte du Graal)は、1180年代フランス詩人クレティアン・ド・トロワによって著された「アーサー王伝説」を描いた騎士道物語である。クレチアンの死によって未完に終わっている。主に円卓の騎士であるペルスヴァルによる聖杯の探索を描いたもので、聖杯の城とケルトについての要素を含んでいる。ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ作の中高ドイツ語による傑作『パルチヴァール』の原典である。

Roman de Perceval, 1932

日本語訳には天沢退二郎によるもの[1]がある。

クレティアンは物語のプロローグで、パトロンに授けられた「書物」に記されているコント(「民話」)を韻文で語ってみると述べている。「ヨーロッパの神話伝承やフォークロアに詳しい中世フランス文学の専門家」フィリップ・ヴァルテールは、主人公ペルスヴァルへの3人の忠告を、物語の構造を示す唯一の真の鍵と捉え、作者が典拠としたコントは国際民話話型(ATU)910 B「主人の教えを守る」のタイプに属するとみなして同タイプのロシア民話「よい言葉」や中世ラテン語による『アーサーとゴルラゴン』と比較し、『ペルスヴァルまたは聖杯の物語』に隠された民話の謎の解明を試みている[2]

関連書籍 編集

注・出典 編集

  1. ^ 『ペルスヴァルまたは聖杯の物語』 1991年 白水社<フランス中世文学集02 -愛と剣と>、ISBN 978-4560046012
  2. ^ フィリップ・ヴァルテール『クレティアン・ド・トロワ作『グラアルの物語』に隠された民話』(渡邉浩司訳)中央大学人文科学研究所 2023 (人文研ブックレット 42)

関連項目 編集