ホーク (ミサイル)

MIM-23 ホーク(MIM-23 Hawk - Homing All the Way Killer)は、アメリカ合衆国レイセオン社が開発した地対空ミサイルである。1950年代末に開発され、現在でもNATO各国で運用されている。

ホワイトサンズ・ミサイル実験場博物館に展示されるMIM-23 HAWK

概要編集

 
発射の瞬間

ホークの開発はセミアクティブ・レーダー誘導方式の中距離地対空ミサイルとして、1952年よりアメリカ陸軍にて研究が開始された。1954年7月ノースロップ社がレーダー火器管制装置・発射機の、レイセオン社がミサイルの開発業者として選定された。1956年6月に試作ミサイルXASM-A-18の試射が行われている。1957年までに概ね開発が完了し、アメリカ陸軍には1959年から、アメリカ海兵隊には1960年から導入が開始されている。

順次改良が行なわれ、現在では、改良を行なった改良ホーク(Improved HAWK)が使用されている。改良に際して当時の最新技術を取り入れ、有効空域の拡大、迎撃可能目標の拡大、撃墜率、信頼性の向上を図っている。

ミサイルは、改良段階にもよるが、役割の異なる複数のユニットで構成されている。捜索レーダーや誘導レーダー、火器管制装置、発射機/ミサイルなどのユニットからなる。各ユニットは索引により、再配置が容易であるが、イスラエル軍など一部の改良型を除き自走はしない。発射機にはミサイル3発が搭載でき、遠隔操作により脅威方向へ向けられる。再装填は、M501装填・輸送装置により3発同時に行なわれる。

運用国編集

イランにおいては、イラン・イラク戦争で消費し尽くしたAIM-54 フェニックスの代替として、ホークを空対空ミサイルに改造し、F-14戦闘機に搭載している。

日本での運用編集

 
陸上自衛隊の改良ホークと発射機

地対空ミサイルの採用にあたっては、陸上自衛隊が「対空砲火の延長である」、航空自衛隊が「無人戦闘機である」として、激しい縄張り争いが展開された[要出典]。結果、ナイキJを航空自衛隊が、ホークを陸上自衛隊が採用するという、玉虫色の決着がなされた。なお先だって陸上自衛隊が採用していたナイキ・エイジャックスは、後に航空自衛隊に移管されている。

三菱電機東芝ライセンス生産を行い、地対空誘導弾改良ホークとして配備・運用しており、1965年(昭和40年)度以降、毎年秋頃に米ニューメキシコ州のマクレガー射場にて射撃訓練を行っている。

歴史編集

基本型ホークが昭和52年度から改良ホークへと換装された。昭和57年度からは改良ホークの改善I型が配備され、昭和62年にはI型よりもECCM能力(対電子対抗手段)などを改良したII型、平成3年度には測距レーダー、情報調達中枢、中隊統制中枢を中隊指揮装置として1つにまとめたIII型の配備が進められた。

現在では後継として国産開発された03式中距離地対空誘導弾および03式中距離地対空誘導弾(改)(中SAM改)への更新が進められている。

構成編集

配備部隊・機関編集

現在、配備されている部隊は下記のとおり。

 北部方面隊

 東北方面隊

  • 第101高射特科隊(八戸駐屯地):地対空誘導弾改良ホーク改善Ⅲ型

 西部方面隊

 防衛大臣直轄部隊:高射学校(下志津駐屯地)隷属

諸元編集

  • 全長:約5.00m
  • 直径:約350mm
  • 重量:約600kg

登場作品編集

映画編集

大巨獣ガッパ
自衛隊が、不協和音から逃れるために河口湖から出てきたガッパの攻撃に使用する。

漫画・アニメ編集

沈黙の艦隊
第85話にて、東京湾に入港する原子力潜水艦やまと」から核ミサイルが発射された時に備えて、陸上自衛隊の改良ホークが館山市沿岸部に展開する。
ドリームハンター麗夢III 夢隠 首なし武者伝説
東富士演習場演習中だった陸上自衛隊所属のものが登場。演習に参加していた他部隊とともに、巨大化して地中から出現した首なし武者を攻撃するが、効果はなかった。また、実際のものと違い、弾体の色が白になっている。

小説編集

『タイムスリップ大戦争』
国防軍の装備として登場。昭和5×年の日本列島が約30年前の1941年にタイムスリップした中、アメリカなどとの間に勃発した戦争にて、ベトナムで米軍のB-17を撃墜している。また艦対艦ミサイルに改造されたものが護衛艦にも装備される。

ゲーム編集

Wargame Red Dragon
NATO陣営のアメリカ軍デッキ、自衛隊デッキで使用可能な対空兵器として登場する。アメリカ軍デッキには改良I型と改良III型が、自衛隊デッキには改良I型が「KAIRYOU HAWK」の名称で登場する。専用の発射台に乗せられているが、この発射台は現実の自衛隊では採用されていない。

関連項目編集

外部リンク編集