ホールマークもしくは、純分認証極印(じゅんぶんにんしょうごくいん)とは、 各国の造幣局など信用が置ける機関がプラチナ等の貴金属で作られた製品の純度を証明する打刻で、貴金属製品の品位記号である。

金のホールマーク
フランスのホールマーク(1798–1972年)

歴史 編集

東ローマ帝国のホールマーク 編集

ホールマークの最初の使用は、西暦4世紀までさかのぼる長い歴史を持っており、消費者保護の最も古い形式であることを示している。 いまだ実際の利用システムは解明されていないものの、東ローマ帝国時代の銀から5つの打刻が見つかっている[1]

中世後期のホールマーク 編集

中世後期になると、承認された分析方法を合格した貴金属に、その地方を治める政府によってホールマークが打刻された。これらの分析は貴金属の品質の証明で、よりよい公共での販売を保障するものであった。同業者組合の時代では、認可された審査官のマークは「匠の証」で、その多くは彼らのイニシャル、もしくは金細工師か銀細工師の紋章であった。一時期は、金細工師も銀細工の区別もなく、すべてフランス語で「 orfèvres 」と呼ばれていた。これらの名工は工房の質を担当しており、これらの責任者マークはフランスでは「le poinçon de maître」(メーカーの打刻)として、今日では知られている。 この頃には、欧州主要国で純度が金20カラット、銀12~13ロットなどと標準化されたが、分析ツールと技術の不足で部分的にしか実施されなかった。

フランス 編集

ルイ9世によって、パリ市長を任されたÉtienne Boileauが公布した1260年金細工師の規定[2]は、 ホールマークがヨーロッパ最古の消費者保護の形態である事を示している。 1275年、フィリップ3世によって、各コミュニティの鍛冶のために銀の作品で使用するマークと打刻の勅令を発布した。 1313年、彼の後継であるフィリップ4世は、これを金細工にまで拡大した。

イングランド 編集

1313年、エドワード1世は、工芸者保護のために銀製品はスターリングシルバー(純度92.5%)を満たさなければならないという法律を制定し、その条件を満たした製品に「ヒョウの頭」を打刻した。1327年、エドワード3世は「Worshipful Company of Goldsmiths」(リヴァリ・カンパニー)設立を勅許で許可した。この本部(Goldsmiths' Hall)はロンドンに設立され、ここからホールマーク(hallmark)という言葉が発生した。(英国では、「ホールマーク」と最初に使用されたのは1721年で、一般化したのは1864年である[3]

日本 編集

江戸時代、金銀に極印という打刻が施された[4]

1929年、偽物を販売する悪質業者が横行したため、硬貨の製造や金銀地金の精製・分析で高度な技術を持っていた造幣局が、大蔵省令に基づき、品位証明業務を開始した[5][6]

Common Control Mark (CCM) 編集

1973年、主なヨーロッパの国々は、「Vienna Convention on the Control of the Fineness and the Hallmarking of Precious Metal Objects」( 通称、ホールマーク条約、もしくはウィーン条約)に署名した[7] 。これは共通の純度を証明するマーク(Common Control Mark (CCM))を使用することで、輸出入の円滑化を目指す国際条約である。また、このCommon Control Mark (CCM)の後ろに、それまでの国の分析所のホールマークを打刻することも許可されている。

分析方法 編集

試金石蛍光X線解析、ICP発光分光分析法などによって、純度が分析されている。

偽造 編集

偽の「プラチナ」刻印の銀製指輪が見つかった事件で、造幣局は公記号偽造・不正使用容疑で大阪府警に告発することも検討している[8]

参考文献 編集

  1. ^ Benson, P.L. & Gilmore, R.S. Non-Destructive Imaging Of Worn-off Hallmarks and Engravings From Metal Objects of Art Using Scanning Acoustic Microscopy, November 15, 2004 citing Dodd, E.C. & Kent, J.P.C. Byzantine Silver Stamps Dumbarton Oaks Studies, 7 ,Washington, 1961. Compare “Historisches Lexikon der Schweiz" (in German, e.g. there is evidence of silver bars marked under authority of the Emperor Augustinian around 350 A.D.).
  2. ^ Goldsmiths Statute of 1260
  3. ^ Online Etymology Dictionary”. Etymonline.com. 2011年12月11日閲覧。
  4. ^ コトバンク(極印)
  5. ^ 造幣局のあゆみp82(造幣局)
  6. ^ STマーク ホールマーク[リンク切れ]国民生活センター
  7. ^ Vienna Convention on the Control of the Fineness and the Hallmarking of Precious Metal Objects
  8. ^ 銀製指輪に偽の「プラチナ」刻印 表面ざらざらで不鮮明 日本経済新聞

関連項目 編集

外部リンク 編集