ボッカチオ (オペレッタ)

ボッカチオ』(Boccaccio, oder Der Prinz von Palermo)は、ジョヴァンニ・ボッカッチョの『デカメロン』に取材したジャン=フランソワ・バヤールフランス語版アドルフ・ド・ルヴァンフランス語版レオン=レヴィ・ブランスウィックフランス語版アルテュール・ド・ボプランフランス語版による戯曲を基に作られたカミロ・ヴァルツェルドイツ語版リヒャルト・ジュネードイツ語版によるドイツ語リブレットに、フランツ・フォン・スッペが作曲を施した、3幕のオペレッタ

ボッカチオ
Boccaccio
フランツ・フォン・スッペ作曲のオペレッタ
フランツ・フォン・スッペ(1885年)
題名原語表記Boccaccio, oder Der Prinz von Palermo
他言語名Boccaccio, or the Prince of Palermo
劇作家
言語ドイツ語
初演1879年2月1日 (1879-02-01)
カール劇場ドイツ語版(ウィーン)

1879年2月1日ウィーンカール劇場ドイツ語版で初演された。

英語へは、オスカー・ウェイル(Oscar Weil)とグスタフ・ヒンリヒス英語版によって、1883年ころに翻訳されている[1]

日本では、1915年4月に、帝国劇場小林愛雄の翻訳台本により翻訳上演された[2]。以降、ローヤル館で上演され、また、いわゆる浅草オペラの様々な歌劇団によって一部のみの上演が行われた[2][3]。20世紀末以降は黒田信也の訳による上演、歌唱が多くなっている。

なお、ボッカチオ役は、女性が演じることも、男性が演じることもある[4]。もともとは女性が演じていたものが、20世紀前半以降に男性が演じることが多くなったという[5]

おもな配役 編集

役名 声域 初演時の演者[6]
フィアメッタ ランベルトゥッチョの養女 ソプラノ Rosa Streitmann
ジョヴァンニ・ボッカチオ 小説家詩人 メゾソプラノ Antonie Link
ベアトリーチェ スカルツァの妻、レオネットの愛人 ソプラノ
イザベラ ロッテリンギの妻 メゾソプラノ
ペロネラ ランベルトゥッチョの妻 コントラルト
ピエトロ パレルモの王子 テノール
ランベルトゥッチョ 雑貨屋 バリトン
ロッテリンギ 桶屋 バリトン Franz Tewele
スカルツァ 床屋 バリトン
レオネット ボッカチオの友人である学生 バリトン
ケッコ 乞食 バス Carl Blasel
フラテッリ 本屋 バリトン
執事長 バリトン
乞食たち、学生たち、召使いたち、ドナ・プルシの娘たち - コーラス

あらすじ 編集

1331年フィレンツェ

ルネサンス初期のフィレンツェでは、詩人ボッカチオが書いた、数々のエロティックな小説が反響を呼び、市民たちは、彼が綴るスキャンダラスな物語を愛好する女性たちと、それに嫉妬する夫たちに分かれて対立していた。ボッカチオを町から追放して監禁してしまおうとする夫たちの動きから話が始まる。一方、ボッカチオもいろいろ企てを持っていたが、その一つは公爵の娘であるフィアメッタの愛を得ることだったが、これは公爵の好意を得ることによって最後に成し遂げられる。

主要曲 編集

脚注 編集

  1. ^ "Von Suppé's sparkling comic opera in three acts, entitled: Boccaccio / libretto by Messrs. Reece & Farine" on trove.nla.gov.au. Retrieved 28 July 2013
  2. ^ a b 伊藤由紀、p.107
  3. ^ 当時の記録には、清水金太郎による訳とするものもあるが、これが何らかの誤記なのか、清水による翻訳(部分訳)が別にあったのかは判然としない。
    国立劇場近代歌舞伎年表編纂室, ed. 近代歌舞伎年表京都篇 第8巻. 八木書店. p. 144  Google books
  4. ^ 加藤浩子. “オペレッタ「ボッカチオ」解説”. 日本舞台芸術振興会. 2017年10月18日閲覧。
  5. ^ 伊藤由紀、p.109
  6. ^ Amadeus Almanac, accessed 20 September 2013

参考文献 編集

  • Lamb, Andrew(1992), "Boccaccio" in The New Grove Dictionary of Opera, ed. Stanley Sadie(London) ISBN 0-333-73432-7
  • 伊藤由紀「小林愛雄の歌劇翻訳」『比較文学』第51号、日本比較文学会、2009年、106-120頁。  NAID 130005700322

外部リンク 編集