2008年の北京パラリンピックでのボッチャの競技風景。

ボッチャBoccia)とは、ボッチー英語版記事)(イタリア語・ボッチェ)から派生した障害者、とりわけ脳性麻痺などにより、運動能力に障害がある競技者向けに考案された障害者スポーツである。

目次

概要編集

競技名「ボッチャ」は、元々イタリア語で”ボール”を意味する単語から来ている[1][2][注 1]

赤又は青の皮製ボールを投げ、白い的球〔まとだま→ジャックボール(目標球)〕[1][5]にどれだけ近づけられるかを競う競技で、パラリンピックの公式種目となっており、全世界で40カ国以上に普及している[6]

競技は個人、ペアないしは3人1組のチームで行い、男女の区別はない。パラリンピックなどの国際大会ではBC1〜4のクラスに別れて行われる。このほか、これらに該当しない者のオープンクラス(車椅子と立位)も日本独自で設定されている[1][3][7]

ボッチャについては、そのルールが氷上で行われるカーリングと似ているところから、「地上のカーリング」、「床の上のカーリング」とも呼称されている[8][3][4][9]

歴史編集

元になったボッチーヨーロッパが発祥とされ、ペタンクローン・ボウリングから発展したとされるが、類似のゲームは世界各地に存在し、はっきりしない[10]

パラリンピックに於いては、1984年のニューヨーク/ストーク・マンデビル(エイルズベリー)大会に於いて公開競技として採り上げられ、1988年のソウル大会より正式競技として採用されてきている[1][11][12]

日本に取り入れられたのはレクリエーション的用途であり、養護学校教員であった古賀稔啓(前・日本ボッチャ協会理事長)がヨーロッパでの脳性麻痺患者の国際大会出席時に、ボッチャに出会い、授業に取り入れようと持ち帰ったのが最初と言われている[13]。その後1997年日本ボッチャ協会が設立され、国際ルール[14]を紹介、全国的に広まっていくこととなった。2014年4月1日、一般社団法人 日本ユニバーサルボッチャ連盟が設立された。

日本代表チームは「火ノ玉JAPAN」の愛称で呼ばれ[15]2016年リオデジャネイロパラリンピックで混合団体(BC1、2)は銀メダルを獲得している。

ルール編集

 
コート
 
ボール(距離の測定)

ゲームの目的は、赤又は青(コイントスでどちらを選ぶか決める。赤ボールチームが先攻)の皮製ボールを投げ、ジャック(jack)と呼ばれる白い的球(まとだま)にどれだけ近づけられるかを競うことである。

長さ12.5m、幅6mのコートを用いてゲームの始めに的球を投げる。的球は、コートにV字型に引かれたジャックボールラインを越えなければならず、両サイドが交互に投球し、的球がコート内の有効エリアに収まるまで繰り返す。続いて1巡目の投球は的球を投げた側の先行、次に相手側の順で的玉に向けてボールを転がす。2巡目以降ボールが尽きるまでの投球は、的球に遠いボールを投げたサイドが、相手チームよりも近いボールを投げられるまで連続して投球を行う。

各ラウンドの終了、すなわちエンドの度に審判は的球と投げられたボールとの間の距離を測定し、そのエンドで負けた側の最も的球に近いボールよりもさらに的球に近いボールに各1点が与えられる。ゲーム終了後に高得点を上げたチームないしは競技者が勝ちとなる。

エンドの数及び各エンドで使用するボールの数は場合によって異なる。個人対抗戦の場合、エンドは4、使用するボールは6である。一方、ペア対抗戦では、エンドは4、使用するボールは各ペア6(1人当たり1エンドに3投)である。さらに、チーム対抗戦となると、エンドは6、ボールは1チーム6(1人当たり1エンドに2投)となる。

用具編集

ボール編集

 
ボール

使われるボールは、中は硬質の素材だが表面は柔らかな素材で包まれており、表面が少々つまめるほど柔らかで、あまり転がらず弾まない。

補助具編集

 
上からみた競技風景(ヘッドポインタを頭に付けた競技者の前にはランプ(勾配具))があり、介助者が向かい合うように立っている。

障害によりボールを直接投げることができなくても、ランプ(勾配具)ヘッドポインタなどの補助具を用いての競技参加も可能である。

また、それらが困難な場合であっても、意思伝達が可能であれば介助者による補助具や車椅子移動の補助は許されているため、それにより狙いをつけての投球が可能であれば競技への参加ができる。ただし、競技においては意思を伝えるのに時間制限が存在する。脳性麻痺患者には言語障害が存在する場合があるものの、この時間制限は緩和されない。

ランプ編集

ランプ(勾配具)とは、のようにボールを一方向に転がすことのできるもので作成されたスロープのこと。ボールを勾配のある場所に置けば、重力によって勝手に転がってゆくことを利用する、ボールを打ち出すための装置である。選手の膝の上で使用するものや、自立式のものなど、様々なタイプのランプが存在する。スロープの方向を変えることでボールを打ち出す方向を変えられる。また、スロープ上に置くボールの初期位置(地面からの高さ)を変えれば、ランプから転がり出た時のボールの速度が変わるので、ボールを転がす距離の調整も可能である。

ヘッドポインタ編集

ヘッドポインタとは、ヘッドバンドにランプ上のボールを抑える棒がついた器具。脳性麻痺であっても、首から上は比較的自由に動かせる場合があり、そのためにこれが使用される。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 競技名「ボッチャ」の元々の意味に関しては、同じくイタリア語で、他に”木の球”とか”球を投げたり転がしたりする”と紹介するメディアも存在する[1][3][4]

出典編集

  1. ^ a b c d e ボッチャとは”. コトバンク. 2017年9月24日閲覧。
  2. ^ 水野文也 (2017年9月5日). “ボッチャを知ってるかな? 2020年の前に自分でも楽しんじゃお~!”. 生活情報のコラム. 共同通信社. 2017年9月24日閲覧。
  3. ^ a b c ボッチャ~パラリンピック競技紹介”. 読売新聞. 2017年9月24日閲覧。
  4. ^ a b 森本利優 (2016年10月29日). “「ブームでは終わらせない」 ボッチャ・杉村英孝(「火の玉ジャパン」主将)”. 産経新聞. http://www.sankei.com/sports/news/161029/spo1610290054-n1.html 2017年9月24日閲覧. "全3頁構成。3頁目にボッチャの別称や語源に関する記載あり" 
  5. ^ “藤井選手にボッチャ教わる 魚津で児童や高齢者”. 富山新聞. (2017年8月28日). http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/TH20170828411.htm 2017年9月24日閲覧。 
  6. ^ ボッチャ”. (株)アポワテック. 2017年9月24日閲覧。
  7. ^ 阿部達彦、瀧澤聡、伊藤政勝、石川大「肢体不自由者におけるボッチャ投球に関する一考察 (PDF) 」 、『北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要』第8号、北翔大学2017年3月、 39-45頁、 ISSN 1884-9563NAID 1200062197822017年9月24日閲覧。“概要ページ有→このリンクより参照可
  8. ^ “パラリンピックの魅力 ボッチャ”. 毎日新聞. (2015年5月24日). http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20150524/mog/00m/050/967000c 2017年9月24日閲覧。 
  9. ^ 鈴木幸大 (2016年9月13日). “祝・銀メダル~深くて面白い「ボッチャ」の世界”. 読売新聞. http://www.yomiuri.co.jp/olympic/para2016/feature/20160913-OYT8T50096.html 2017年9月24日閲覧。 
  10. ^ 公益社団法人日本ペタンク・ブール協会 ペタンクの概要・歴史
  11. ^ 過去の大会「ニューヨーク/ストークマンデビル1984パラリンピック」”. 日本パラリンピック委員会. 2017年9月24日閲覧。
  12. ^ パラリンピック競技「ボッチャ」”. 東京都オリンピック・パラリンピック準備局. 2017年9月24日閲覧。
  13. ^ Paraphoto:国際障害者スポーツ写真連絡協議会 - 2008年07月10日 10年かかった、パラリンピック初出場。日本ボッチャ協会常務理事、渡辺美佐子さんインタビュー
  14. ^ BISFedルール2013日本語版
  15. ^ ボッチャ日本代表チーム「火ノ玉 JAPAN」と命名 一般社団法人日本ボッチャ協会 リリース 2016年8月20日

外部リンク編集