ポセイドンのめざめ

キング・クリムゾンのアルバム

ポセイドンのめざめ』(In The Wake Of Poseidon)は、1970年に発表されたキング・クリムゾンのセカンド・アルバム。全英4位[1]・全米31位を記録。

ポセイドンのめざめ
キング・クリムゾンスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル オリジナル盤
イギリスの旗 アイランド
アメリカ合衆国の旗 アトランティック
リイシュー盤
EGDiscipline Global Mobile
プロデュース ロバート・フリップ & ピート・シンフィールド
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 4位(イギリス)
  • 31位(アメリカ)
  • キング・クリムゾン アルバム 年表
    クリムゾン・キングの宮殿
    1969年
    ポセイドンのめざめ
    (1970年)
    リザード
    1970年
    『ポセイドンのめざめ』収録のシングル
    1. CAT FOOD / GROON」
      リリース: 1970年3月13日 (1970-03-13)
    ミュージックビデオ
    「In The Wake Of Poseidon」 - YouTube
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    解説編集

    前作『クリムゾン・キングの宮殿』ではバンドの主導権をロバート・フリップと二分していたイアン・マクドナルドをはじめ、グレッグ・レイクマイケル・ジャイルズが脱退。ただし公式にはグレッグ・レイクの脱退は4月にキース・エマーソンと合流するまでマスコミに伏せられていた。レコーディングにおいて譜面を見ながら演奏ができるという理由でベースにピーター・ジャイルズが参加。加入が内定していた新ドラマー、アンドリュー・マカロックも前バンドのスケジュール消化の都合で、マイケル・ジャイルズがレコーディングに再び参加した。3月にはトラフィックとの公演も予定され、半年間の契約でピーター・ジャイルズがベースでツアーへ参加する話し合いが持たれたが、報酬面で折り合いがつかず決裂している。またツアー予定もキャンセルされた。

    「ケイデンスとカスケイド」はマクドナルドがメインで書いていた曲で、シンフィールドが歌詞を書いてほぼ完成していたというが、マクドナルドの脱退により、歌詞をシンフィールドが、曲をマクドナルドが持っていくことになり、シンフィールドの歌詞にフリップが新たなメロディをつけて完成させた[2]。レイクは同曲のガイド・ヴォーカルを録音したが本番録音前に脱退。かつてフリップのバンド・メイトだったゴードン・ハスケルが歌うことになったが、ハスケルは歌詞の意味が理解できず、曲も“オーティス・レディングと違うな”と思い実力を発揮できなかったという[2]。フリップもハスケルの歌には批判的で、後に編集盤『紅伝説』収録の際には、エイドリアン・ブリューの歌に差し替えている[2]

    「キャット・フード」は1969年11月 (1969-11)、アメリカ・ツアー中にあったマクドナルドとシンフィールドがシカゴからデトロイトへ向かう車中で書いたというロック・ナンバー。フリップは歌詞が気に入り、曲をすべて書き直したと主張、クレジットをフリップ&シンフィールドにしようとするが、それを聞きつけたマクドナルドが「フリップは少しのブリッジを書いただけ」と抗議。結果、3人の共作となった[2]。録音はフリップとレイク、ピーター&マイケル・ジャイルズ、ジャズ・ピアニストのキース・ティペット。ティペットのアバンギャルドなピアノが曲をオーソドックスなロック調から逸脱したものにしているが、ピーター・ジャイルズは曲がヒットしなかったのは、そのピアノのせいだと主張している[2]。1970年3月13日 (1970-03-13)に先行シングルとして発売され、ジャケットにはシンフィールドの飼い猫シンデレラの顔があしらわれた(B面はアルバム未収録曲「グルーン」[3])。1970年3月25日 (1970-03-25)、レイクが脱退する直前にBBCのテレビ番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』に出演して、この曲の演奏(音源に合わせての当てぶり)を披露している[2][4]。これが1981年 (1981)以前におけるキング・クリムゾン唯一の英国テレビ出演である。

    「デヴィルズ・トライアングル」は「冷たい街の情景」と同じく、オリジナル・ラインナップでのライブ・レパートリーだった「マーズ」が原曲となっている。ホルストの組曲『惑星』中の「マーズ」というタイトルの使用許可が、ホルストの親族から降りず[5]、シンフィールドが船や飛行機の事故が多いフロリダ沖の海域バミューダトライアングルになぞらえて改題した[2]。英オリジナル盤のレーベル面では「デヴィルズ・トライアングル」から「ガーデン・オブ・ワーム」までがそれぞれ単独曲としてクレジットされている(全4曲)。米国盤では「デヴィルズ・トライアングル」以外がインクルーディング曲としてのクレジット(挿入曲3曲の全1曲)。2013年 (2013)リリースの40周年記念エディションでは「デヴィルズ・トライアングル」の「パート1」〜「パート3」と3部構成の組曲扱いになっている[2]。曲の分数表記がある米国盤クレジットに従えば、「デヴィルズ・トライアングル」は、冒頭から3分48秒までで、続く3分11秒が「マーデイ・モーン」。そして吹きすさぶ風の音、不規則なメトロノームの音へ変化する。その49秒が「ハンド・オブ・セイロン」。ラストへ向かっての3分37秒が「ガーデン・オブ・ワーム」。演奏は混迷の色合いを強め、カオス状態のままエンディングを迎える[2]。前作収録の「クリムゾン・キングの宮殿」のワン・フレーズが挿入されている[2]。後にシンフィールドは組曲全体に対して「スペースの無駄」と発言している[2]

    「冷たい街の情景」は、1969年 (1969)の時点ですでに、前作の収録曲と並んでライブ演奏されていた[6]

    日本盤が出た際の邦題は『ポセイドンのめざめ』であったが、これは名詞「wake(航跡)」と動詞「wake(めざめる)」を取り違えたために生じた誤訳である[7]。本来のアルバムタイトルの意味は「ポセイドンの跡を追って」、「ポセイドンに続いて」などとなる[7]。そのため、CD化以降は原題をそのままタイトルとすることが多くなった。また、日本ではアルバムタイトル曲がANAのCMソングに使用された(出演は甲田益也子)。

    イギリスではアルバム・チャートで第4位まで上がり、前作を上回る成績を記録した。これはキング・クリムゾンの全アルバムの中で最高位となっている[1]

    収録曲編集

    SIDE A編集

    1. 平和 / 序章  – PEACE - A BEGINNING  – (0:51)
      Fripp / Sinfield
    2. 冷たい街の情景(インクルーディング:トレッドミル42番街[8])  – PICTURES OF A CITY (including 42nd at Treadmill)  – (7:57)
      Fripp / Sinfield
    3. ケイデンスとカスケイド  – CADENCE AND CASCADE  – (4:35)
      Fripp / Sinfield
    4. ポセイドンのめざめ(インクルーディング:リブラのテーマ)  – IN THE WAKE OF POSEIDON (including Libra's Theme)  – (8:24)
      Fripp / Sinfield

    SIDE B編集

    1. 平和 / テーマ  – PEACE - A THEME  – (1:15)
      Fripp
    2. キャット・フード  – CAT FOOD  – (4:52)
      Fripp / Sinfield / McDonald
    3. デヴィルズ・トライアングル  – THE DEVIL'S TRIANGLE  – (11:30)
      Fripp
      (i) マーデイ・モーン  – (a) MERDAY MORN  – (3:47)
      Fripp / McDonald
      (ii) ハンド・オブ・セイロン  – (b) HAND OF SCEIRON  – (4:01)
      Fripp
      (iii) ガーデン・オブ・ワーム  – (c) GARDEN OF WORM  – (3:45)
      Fripp
    4. 平和 / 終章  – "PEACE - AN END"  – (1:54)
      Fripp / Sinfield

    参加メンバー編集

    クレジット編集

    King Crimson
    Robert Fripp  – guitars, mellotron (tracks 2, 4, and 7), celesta (track 3), electric piano (track 7), devices, production
    Peter Sinfield  – words, production
     
    Former King Crimson personnel
    Michael Giles  – drums
    Greg Lake  – vocals (except track 3)
     
    Future King Crimson personnel
    Mel Collins  – saxophones (track 2), flute (track 3)
    Gordon Haskell  – vocals (track 3)
     
    Additional personnel
    Peter Giles  – bass guitar
    Keith Tippett  – piano
    Tony Page & Robin Thompson  – recording & engineering

    脚注編集

    1. ^ a b KING CRIMSON | Artist | Official Charts - 「Albums」をクリックすれば表示される
    2. ^ a b c d e f g h i j k 舩曳将仁「特集 キング・クリムゾン『セーラーズ・テールズ 1970-1972』」『レコード・コレクターズ』第37巻第2号、株式会社ミュージック・マガジン、2018年2月1日、 66-69頁、 JANコード 4910196370282。“全曲ガイド『ポセイドンのめざめ』”
    3. ^ アルバムには収録されなかったが、ライブでは演奏されており、『アースバウンド』などで聴くことができる。また、後にベスト・アルバム『新世代への啓示』(en:A Young Person's Guide to King Crimson)に収録された。
    4. ^ キング・クリムゾン 70年3月英TV番組『Top Of The Pops』から「Cat Food」のパフォーマンス映像がYouTubeに”. amass (2015年1月9日). 2016年9月27日閲覧。
    5. ^ レイクが後年在籍したエマーソン・レイク・アンド・パウエルアルバムでは、「火星」であることを明記した上でバンド・アレンジを施した作品が収録された。
    6. ^ エピタフ -1969年の追憶-』に収録。ただしタイトルは「ア・マン・ア・シティ」となっている。
    7. ^ a b 高岸冬詩 (2012年12月25日). “水面に浮かぶ言葉:プログレアルバム試論『ポセイドンの航跡』 (PDF)”. みやこ鳥 首都大学東京機関リポジトリ. 首都大学東京. 2016年6月30日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年6月6日閲覧。
    8. ^ 最初の日本盤発売時には「トレッドミル42番街」ではなく「踏み車の42番目」と表記されていた。