記法について編集
同じ函数を表す記号だが、表記にはいくつかバリエーションがある。
- : 組合せ論で使用
- : 解析学、特殊函数論で使用
- : (その他の記法)
特殊函数論では (x)n を昇冪[* 2]
-
を表すのに用いるが、組合せ論では (x)n を降冪[* 3]
- .
として用いる。混乱を避けるため、昇冪を (x)n, 降冪を (x)n でそれぞれ表すこともよく行われる[* 4]。さらに Graham, Knuth & Patashnik (1988) は全く別の冪乗に似た記号を用いる。
差分学における降冪は微分学における冪の類似対応物である。
特殊函数としての定義編集
特殊函数論におけるポッホハマー記号は一般には(x は実または複素変数として)ガンマ函数を用いて
-
と定義される。すると x = m および n が自然数のとき、
-
が成り立つ。
各
n に対するポッホハマー記号
(x, n) のグラフ
- ポッホハマー記号 (x, n) は複素変数 x に関して有理型函数である。
- 任意の自然数 n ∈ N に対して (x, n) は x の多項式であり、x = 0 を共通根に持つ。
- 変数 x の符号を反転するとき
-
- 径数 n の符号を反転するとき、以下の関係式が成り立つ:
-
-
- 商の法則:
-
- 特殊値:
-
-
- 二項係数との間に以下の関係がある:
-
ポッホハマー記号は函数の冪級数展開を表すのに用いられる。いくつか例を挙げれば、
- ニュートンの一般二項定理:
-
- 超幾何函数:
-
ポッホハマー記号の q-類似に q-ポッホハマー記号がある。これは
-
で定義される。
多重ポッホハマー記号編集
多重指数に対するポッホハマー記号を以下のように定めることができる:
-
- Pochhammer, L. (1888). “Ueber die Differentialgleichung der allgemeineren hypergeometrischen Reihe mit zwei endlichen singulären Punkten”. Journal für die reine und angewandte Mathematik 102. http://www.digizeitschriften.de/dms/resolveppn/?PPN=GDZPPN002160536.
- Graham, Ronald L.; Knuth, Donald E.; Patashnik, Oren (1988), Concrete Mathematics: A Foundation for Computer Science, Addison-Wesley
- Seaborn, James B. (1991). Hypergeometric Functions and their applications. New York: Springer Verlag. ISBN 0-387-97558-6
- * Knuth, Donald E. (1992), “Two notes on notation”, American Mathematical Monthly 99 (5): 403–422, arXiv:math/9205211, doi:10.2307/2325085, JSTOR 2325085, https://jstor.org/stable/2325085
外部リンク編集