ポーラー・ショート・カット

ポーラー・ショート・カット (Polar Short Cut) は、ショートドリンクに分類される、カクテルの一種である。なお、正式名称は、ポーラー・ショート・カット・カクテル(Polar Short Cut Cocktail)だが、通常、ポーラー・ショート・カットと省略するので、本稿でも、以降、ポーラー・ショート・カットと記述する。

ポーラー・ショート・カット

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基本情報
種別 ショートドリンク
作成技法 ステア
赤色
グラス   カクテル・グラス
度数 31度[1]
レシピの一例
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標準的なレシピ 編集

これらを、全て等量ずつ用いる。

作り方 編集

ダーク・ラム、ホワイト・キュラソー、ドライ・ヴェルモット、そしてチェリー・ヒーリングを同量ずつ量り取り、これらを全て氷を入れたミキシング・グラスで冷却しながら混ぜる。それを、氷が入らないようにカクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。

備考 編集

  • ホワイト・キュラソーには、コアントローが指定される場合がある[2][3][4]
  • ダーク・ラムの銘柄として、ネグリタが指定される場合がある[3][4]
  • ラムはゴールド・ラムでも良いとされることもある[5][6]
  • チェリー・ヒーリングは、他のチェリー・ブランデーでも良いとされることもある[5] [7][8][6]。なお、勘違いされることもあるのでここで補足しておくが、チェリー・ブランデーはブランデーの一種ではなく、リキュールの一種である。このことについての詳細は、リキュールの記事などを参照されたい。
  • ドライ・ベルモットの銘柄には、ノイリー・プラットが指定される場合がある[4]

歴史 編集

ポーラー・ショート・カットは、コペンハーゲン(デンマーク)と東京(日本)とを結ぶ、北極回りの航空路線(北回りヨーロッパ線。別名、ポーラールート。以降、北回りヨーロッパ線の呼称を用いる。)が開設されたことを記念して行われた、1957年のカクテルコンクールの優勝作品である[2][9] [8][10][5][7][6]。ちなみに、このカクテルに使用されるチェリー・ヒーリングは、この航空路線の一端であるコペンハーゲンを首都とする国で生産されているリキュール、すなわち、デンマーク産のリキュールとして知られている[11]。なお、このカクテルコンクールは、スカンジナビア航空が開催したもの[5][7][6]。ただし、デンマーク・バーテンダー協会も共催者として名を連ねている[10][4]。また、チェリー・ヒーリングを生産している企業も共催者として名を連ねている[6]。ちなみに、この北回りヨーロッパ線が開設されたのも、1957年である[11]

このカクテルの創作者は、バーテンダーのポール・ドジャール[2][9][11][5][6]。なお、彼はコペンハーゲンのバーテンダーである[5][9][6]。また、彼は新航路のスカンジナビア航空が運行する日本への1番機で日本へ行ったことでも知られている[2] [9]。そして、日本でこのカクテルを披露した[9]

なお、1998年現在、このカクテルが創作される契機となった北回りヨーロッパ線は、すでに廃止されてしまっている[11]。しかし、このカクテルは同航空路線廃止後も飲まれ続けている。

注釈 編集

  1. ^ ダーク・ラムとは、ラムの色による分類の1つ。色の濃い、暗い色のラムのこと。
  2. ^ ホワイト・キュラソーとは、無色のキュラソーのこと。
  3. ^ ドライ・ベルモットとは、辛口のベルモットのこと。
  4. ^ チェリー・ヒーリングは、サクランボを主要な原料とするリキュールの1種。ヒーリング・チェリー・リキュールなどとも呼ばれ、無論その呼称を用いても良いのだが、本稿では、一般的な略称の1つであるチェリー・ヒーリングという呼称に統一した。

出典 編集

  1. ^ 稲保幸 著『色でひけるカクテル』p.31 大泉書店 2003年12月18日発行 ISBN 4-278-03752-X
  2. ^ a b c d 『カクテルガイド』p.111
  3. ^ a b 『たのしむカクテル』p.141
  4. ^ a b c d 今井清 監修『カクテル・カタログ '96』p.160 成美堂出版 1996年2月1日発行 ISBN 4-415-04090-X
  5. ^ a b c d e f 『ザ・ベスト・カクテル』(改訂新版)p.112
  6. ^ a b c d e f g 『新版 バーテンダーズマニュアル』p.308
  7. ^ a b c 橋口孝司『カクテル銘酒事典』p.218
  8. ^ a b 『カクテル・レシピ1000』p.164
  9. ^ a b c d e 『スタンダードカクテル』p.152
  10. ^ a b 『たのしむカクテル』p.231
  11. ^ a b c d 『カクテル こだわりの178種』p.162

主な参考文献 編集

  • 稲保幸『カクテル こだわりの178種』 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  • 稲保幸『スタンダードカクテル』 新星出版 1993年2月25日発行 ISBN 4-405-09577-9
  • 稲保幸『カクテルガイド』 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  • 稲保幸『カクテル・レシピ1000』 日東書院 2005年7月10日発行 ISBN 4-528-01412-2
  • 花崎一夫 監修『ザ・ベスト・カクテル』(改訂新版) 永岡書店 1997年7月10日発行 ISBN 4-522-21283-6
  • 今井清『たのしむカクテル』 梧桐書院 1988年1月改訂版 ISBN 4-340-01204-1
  • 福西英三、花崎一夫、山崎正信 『新版 バーテンダーズマニュアル』 柴田書店 1995年10月31日発行 ISBN 4-388-05765-7
  • 日本バーテンダー協会 『ザ・カクテルブック』 1991年12月10日発行 ISBN 4-388-05666-9