マイケル・バティ(Michael Batty CBE, FBA, FRS, FAcSS1945年1月11日 - )は、イギリス都市計画家地理学者ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) バートレット校英語版教授[1][2]

マイケル・バティ
Michael Batty
生誕 (1945-01-11) 1945年1月11日(79歳)
国籍 イギリスの旗 イギリス
別名 マイク・バティ
職業 都市計画家地理学者
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バティは、UCLに着任した1995年に開設された、高等空間解析センター英語版 (CASA) の所長 (Director) を務め、後に座長 (Chairman) となった[3]

CASA におけるバティの業績は、都市システムのコンピュータ・モデルを中心としたものであった。2011年には、国際地域学会英語版からウィリアム・アロンゾ賞を、2012年には大学コンソーシアムGIS研究賞 (the University Consortium GIS Research Award) を贈られ[4]、さらに2013年には「地理学ノーベル賞」とも称されるヴォートラン・ルッド国際地理学賞を贈られた。2015年には王立地理学会 (RGS) から金メダル(創立者メダル)を授与され、2016年には王立都市計画家協会英語版 (RTPI) からも金メダルを授与された。2016年9月には複雑システム学会 (Complex Systems Society) からシニア・スカラー賞 (the Senior Scholar Award) を贈られた。

学歴 編集

マイケル・バティはリヴァプールに生まれ、1950年から1956年までノースウェイ・カウンティ小学校 (Northway County Primary School)[5]1956年から1962年までクォーリー・バンク男子高等学校英語版で学んだ。

マンチェスター大学に進み、都市農村計画英語版を専攻し、1966年に1級オナー付きのBAを取得して卒業した。彼のPhDは、ウェールズ大学の科学技術院 (Institute of Science and Technology) から1984年に授与された。学位論文「Pseudo Dynamic Urban Models(擬似動態的都市モデル)」は[6]、2012年にオンラインで公開された[7]

研究職歴 編集

バティは研究者としての経歴を、1966年に都市農村計画の助講師 (Assistant Lecturer) に任じられたマンチェスター大学で始めた。その後、10年間にわたり、レディング大学で、研究助手 (Research Assistant)、講師 (Lecturer)、リーダー英語版と昇任しながら地理学を担当した。この間に1年間、オンタリオ州ウォータールー大学における土木工学部門の交通計画の客員准教授となった。1979年、バティはウェールズ大学科学技術院(後のカーディフ大学の前身のひとつ)へ移り、都市計画担当の教授となった。この時期には、部門長や環境設計学部長 (Dean of the Faculty of Environmental Design) などを歴任した。1990年、バティはアメリカ合衆国国立科学財団 (NSF) による国立地理情報分析センター英語版 (NCGIA) を指揮するために渡米し、その拠点となっていたニューヨーク州立大学バッファロー校に赴任して、その地理学教授となった。

バティは、コンピュータ科学や、工学、計画学、地理学など、様々な客員としての身分も持っていたが、その中には、イリノイ大学メルボルン大学香港大学ブリストル大学ミシガン大学などのものがあり、カーディフ大学[8]アリゾナ州立大学の客員にもなっている[9]

研究 編集

バティの研究は、都市や地域の構造のシミュレーションをするための分析手法やコンピュータによるモデルの開発に、焦点が当てられていた。

初期の業績は、集計による土地利用交通モデルフランス語版に関わるものであり、その内容は最初の著書『Urban Modelling』にまとめられている[10]

次いでバティは、都市の視覚的表現と、そのモデルに焦点を移し、その内容の一部は、2冊目の著書『Microcomputer Graphics』に盛り込まれた[11]。バティは、ポール・ロングリー英語版との共著として『Fractal Cities'』を刊行した[12]

この本は、都市は自己模倣を重ねるフラクタル過程によって、ボトムアップから構造が生成されるのではないか、という考え方を提示した。都市分析と計画における複雑性の理論については、著書『Cities and Complexity』で焦点が当てられており[13]、その概要はバティの「ComplexCity」のウェブサイトで公開されている[14]

バティは、その後も『The New Science of Cities』を発表し[15]、数多くの着想を結び付けて、立地よりもフロー(流動性)の方が、都市を理解する上で、また都市のデザインや計画の過程を理解する上で鍵になるのだ、という考え方を展開している。

バティは編者としても『Agent-Based Models of Geographical Systems'[16]や『Virtual Geographic Environments』を手がけている[17]

公刊された研究業績の詳細は、自身が公開している履歴書[18]や、個人サイトで知ることができる[19][20]

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ Mike Batty's CASA UCL Web Page”. 2014年10月28日閲覧。
  2. ^ UCL Academic Honour KPI Summary Table”. 2014年10月28日閲覧。
  3. ^ UCL CASA Web Home Page”. 2011年4月18日閲覧。
  4. ^ University Consortium for Geographic Information Science Mike Batty Web Page”. 2014年10月28日閲覧。
  5. ^ Northway County Primary School”. 2014年11月3日閲覧。
  6. ^ Batty, M. (1984年). “Pseudo Dynamic Urban Models”. 2014年10月28日閲覧。
  7. ^ Batty, M. (2012年). “Research, Write, Type, Submit, Pass, and 30 Years Later...”. 2013年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月28日閲覧。
  8. ^ Cardiff School of Planning and Geography Mike Batty Web Page”. 2014年10月28日閲覧。
  9. ^ Arizona State University School of Geographical Sciences and Urban Planning Mike Batty Web Page”. 2014年10月28日閲覧。
  10. ^ Batty, M. (1976), Urban Modelling: Algorithms, Calibrations, Predictions, http://www.casa.ucl.ac.uk/urbanmodelling/ 2014年10月28日閲覧。 
  11. ^ Batty, M. (1987), Microcomputer Graphics, http://www.amazon.co.uk/Microcomputer-Graphics-M-Batty/dp/0412285401 2014年10月28日閲覧。 
  12. ^ Batty, M., Longley, P. (1994), Fractal Cities, http://www.fractalcities.org 2014年10月28日閲覧。 
  13. ^ Batty, M. (2005), Fractal Cities, http://mitpress.mit.edu/books/cities-and-complexity 2014年10月28日閲覧。 
  14. ^ A Science of Cities”. 2014年10月28日閲覧。
  15. ^ Batty, M. (2013), The New Science of Cities, http://www.complexcity.info/about-the-book/ 2014年10月28日閲覧。 
  16. ^ Batty, M.; Heppenstall, A.J.; Crooks, A.T. et al., eds. (2011), Agent-Based Models of Geographical Systems, http://www.gisagents.org/2011/11/new-book-agent-based-models-of.html 2014年10月28日閲覧。 
  17. ^ Batty, M.; Lin, H., eds. (2011), Virtual Geographic Environments, ISBN 9781589483248, http://esripress.esri.com/display/index.cfm?fuseaction=display&websiteID=206&moduleID=0 2014年10月28日閲覧。 
  18. ^ Batty, M. (2014年). “curriculum vita”. 2014年11月3日閲覧。
  19. ^ Batty, M.. “spatialcomplexity weblog”. 2014年11月3日閲覧。
  20. ^ Batty, M.. “the science of cities weblog”. 2014年11月3日閲覧。