カーソル
カーソル(英: cursor)はコンピュータのユーザインタフェースを構成する要素のひとつで、文字の入力位置を示す[1]。この語の語源はラテン語で「走者」もしくは「競争者」を意味する「cursor」である。
一般的なカーソルの姿
編集文字入力インタフェース
編集コンソールやテキストエディタといった文字入力インタフェースにおけるカーソルは、次に入力される文字がテキスト中のどこに追加されるかを示す。古くから見られる形式では、塗りつぶされた四角形または下線として表示される。目立たせるために点滅させる場合も多い。点滅するカーソルは1968年にチャールズ・A・キーズリング[2]によって発明された[3]。また、挿入モードでは下線で上書きモードでは四角形など、カーソルの形状を使ってモード切替を利用者に伝えるシステムもある。
近年のビットマップによる画面表示では、文字の間に表示される縦線あるいはキャレット等でカーソルを表示する場合も多い。こうすることで文字間への「挿入」をより直接的に表現できるようになり、またプロポーショナルフォントでもカーソル形状の変化を抑えることができる。反面、四角形のカーソルに比べて画面上で目立ちにくくなるという欠点もある。
旧式のワードプロセッサ(ワープロ)のカーソル
編集ワードプロセッサも参照。
メニュー選択インタフェース
編集あらかじめ与えられた選択肢の中から操作を選択して指示する、メニュー選択型のインタフェースでは、どの選択肢を選ぼうとしているのか示す必要がある。具体的な形状としては、選択肢の前に矢印を表示したり、あるいは選択肢自身を反転表示したりといった方法がとられる。
GUI
編集GUI環境において、操作対象を示すために表示される矢印などの小さな図形もカーソルと呼ばれていたが、「カーソルの操作」の節で後述するとおり、マウスで操作されることが多いので、現在はマウスポインタ(mouse pointer)と呼ばれる。多くのGUIでは状況に応じてマウスポインタの形が変化する。
マウスポインタの形状
編集特殊なカーソル
編集プログラミング言語LOGO
編集プログラミング言語LOGOでは、画面上の亀(タートル)に対して「旋回」「前進」などのコマンドを与えることで図形を描くことができる。タートルは現在位置と進行方向を保持する。
カーソルの操作
編集コンピュータシステムのキーボードの多くは、上下左右の4方向へのカーソル移動キー(方向キー、矢印キー)を持つ。また、コントロールキーと他のキーの組み合わせでカーソルの移動を指示するインターフェイスもある。ダイヤモンドカーソルは、その一例である。
UNIXで人気の高いテキストエディタのviとEmacsは、それぞれ独特のカーソル移動操作を採用している。他のアプリケーションでも、これらのカーソル移動を再現するためのカスタマイズ方法を提供しているものが散見される。
ゲーム機では、メニュー型インタフェースを採用して十字キーで操作させるものが多い。
GUIでは主にマウスなどのポインティングデバイスを使って操作することができるのは、マウスポインタである。カーソルの操作は前述の方向キーまたはマウスポインタで指した位置でマウスをクリックすることにより移動することができる。
マウスオーバー
編集マウスオーバー(英: mouseover)とは、カーソルを何らかの要素の上に重ね合わせている状態のことである。マウスホバー、オンマウス、ポイントとも言う[注 1]。「マウスオーバー[注 2]する」と表現すると、マウスポインタを何らかの要素の上に重ね合わせる操作のことになる。
ロールオーバー
編集ロールオーバー(英: rollover)とは、マウスオーバーによって期待される現象のことである[注 1]。
代表的な現象
編集ツールチップ
編集プレビュー
編集Microsoft Windows 7、Windows 8およびWindows 10におけるAero Peekが一例である。
この他にも、Wikipediaの記事へのリンクにマウスオーバーした際のページのプレビュー(英: page preview)[注 3]機能もロールオーバーに含まれる。
脚注
編集出典
編集- ^ bit 編集部『bit 単語帳』共立出版、1990年8月15日、46頁。ISBN 4-320-02526-1。
- ^ 英: Charles A Kiesling
- ^ (英語) Blinking cursor for crt display, (1967-08-24) 2021年4月11日閲覧。