マクベス (交響詩)

リヒャルト・シュトラウスが作曲した交響詩

音詩マクベス』(Macbeth作品23は、リヒャルト・シュトラウスが作曲した最初の交響詩。シュトラウスの他の交響詩に比べて演奏や録音は少ない。

音楽・音声外部リンク
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Strauss:Macbeth - アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。

作曲の経緯 編集

シェイクスピアの『マクベス』を題材として、1886年から1889年にかけて作曲された。作曲者自身が作曲面において「完全に新しい道」を切り拓いたと自負した作品だったが[1]、初演で好評を得られず、完成から2年後の1891年、2作目の交響詩『ドン・ファン』で成功を収めた後に改訂された〔そのため作品番号が『ドン・ファン』より後になっている〕。

初演 編集

楽器編成 編集

3管編成(下表)

編成表
木管 金管
Fl. 3(3番はPicc.持替) Hr. 4 (F管) Timp. Vn.1
Ob. 2, E.Hr. 1 Trp. 3 (F管), B.Tp. 1 (D管) Cymb., Tom., B.Dr., S.Dr. Vn.2
Cl. 2 (B管), B.Cl. 1 (B管) Trb. 3 Va.
Fg. 2, C.Fg. 1 Tub. 1 Vc.
Cb.

曲の構成 編集

外形はニ短調ソナタ形式で作曲されている[2]。アレグロ・ウン・ポコ・マエストーソ。演奏時間は約20分。

シュトラウスの他のどの作品よりも徹底して改訂されており、もっぱら展開部再現部に集中的に手が加えられた。これらの改訂は、当時の作曲者が、伝えたい内容と音楽形式との均衡をとるのにどれほど悪戦苦闘を重ねたかを示している。

ニューグローブ音楽大事典』の項目執筆者ブライア・ギリアムは、本作品について次のようにまとめている。

「新しい道であろうがなかろうが、『マクベス』は演奏会場のレパートリーとして確固たる地位を見出すことに失敗した。後続の2作品である『ドン・ファン』と『死と浄化』には、主題の説得力や、音楽の運びの確信に満ちた筆致が歴然としているのに、『マクベス』にはどれも欠けているのである。しかも、内声を抑えて主要主題を浮かび上がらせようと試みて、管弦楽法に手を加えたにもかかわらず、それでも『マクベス』は、響きの明瞭さにおいて『ドン・ファン』や『死と浄化』に太刀打ちできていない[1]。」

註記 編集

  1. ^ a b MacDonald, New Grove (2001), 24:506.
  2. ^ MacDonald, New Grove (2001), 24:805.

参考文献 編集

  • ed. Stanley Sadie, The New Grove Dictionary of Music and Musicians, Second Edition (London: Macmillian, 2001) ISBN 0-333-60800-3
    • Bryan Gilliam, "Strauss, Richard (Georg)"
    • MacDonald, Hugh, "Symphonic poem"

外部リンク 編集