マクラーレン・オートモーティブ
マクラーレン・オートモーティブ(McLaren Automotive)は、イギリス自動車メーカーである。マクラーレンのロードカー部門として2009年に設立された。モータースポーツ部門であるマクラーレンレーシングと同様にマクラーレングループに属する。本稿では1990年に設立されたマクラーレン・カーズについても述べる。
種類 | 子会社 |
---|---|
設立 | 1989年 |
業種 | 自動車製造 |
事業内容 | 自動車の製造,販売 |
代表者 | マイク・フルーウィット(CEO)[1] |
関係する人物 | ロン・デニス(創業者) |
外部リンク | http://media.mclarenautomotive.com/ |
概略編集
マクラーレン・オートモーティブの前身であるマクラーレン・カーズ(McLaren Cars)は1990年に設立。高性能市販車の開発を始める。
1994年、ゴードン・マレーのデザインによる処女作、マクラーレン・F1(McLaren F1)を発表。1995年にはその競技用仕様であるマクラーレン・F1・GTRがル・マン24時間レースに出場し、レース中の雨でプロトタイプのマシンがリタイヤしていく中、J.J・レート/ヤニック・ダルマス/関谷正徳の駆るカーナンバー59のマクラーレンF1GTRが安定した走行で総合優勝した。 2003年9月、メルセデス・ベンツが「SLRマクラーレン」を発表。開発・生産はマクラーレン・カーズ(現マクラーレン・オートモーティブ)が担当。受注販売のみとはいえ量産車として販売される。
2009年、マクラーレン・オートモーティブ設立。マクラーレン・グループから資本的に独立し、グループを離脱する方針を発表。グループ離脱に伴いクレディ・スイスを通じて2億5千万ポンドの投資を受け新たに工場を建設、約800人を雇用する方針も明らかにされており、2011年から、量産車としてMP4-12Cを発売し、本格的に自動車メーカーとしてスタートする。会長は引き続きロン・デニスが務める[2]。しかし実際にはグループからの離脱は行われず、2012年にはF1チーム代表のウィットマーシュがグループCEOに就任し、一時同社の経営についても指揮を執っていた[3]。
2011年9月、アジア太平洋地域を統括する100%子会社「マクラーレン・オートモーティブ・アジアPTEリミテッド」をシンガポールで設立。2012年3月にはアジア太平洋地域初のショールームを大阪にオープンさせる。同年6月、東京にマクラーレン東京をオープンさせる。9月、パリモーターショー12にてコンセプトモデル、P1を発表[4]。
2015年2月に主力スーパーカーセグメントである『スーパーシリーズ』の販売台数が累計5000台に達したと発表。2015年3月、ジュネーブショーにて675LT及びP1GTRを発表。同年には日本でも更なるディーラーが、福岡・名古屋と開店した。
2016年、2022年までに15のニューモデルを投入する計画である「トラック22」を発表した[5]。
2018年7月22日にイギリスで開催されたグッド・ウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて2025年までに18のニューモデルを投入する計画である「トラック25」を発表した[6]。
- 日本での販売網(2019年現在)
- ・八光自動車工業(大阪・名古屋)
- ・國際株式會社(東京)
- ・永三モータース(台湾の高級車ディーラー「永三汽車」の日本法人・福岡)
- ・ブルース株式会社(SKY GROUP/モトーレンニイガタ・東京)
ラインナップ編集
アルティメットシリーズ | ||||||
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3つのシリーズからなるラインナップの最上位スーパーカー。 | ||||||
外観 | 車名 | 排気量 | エンジン | 駆動方式 | 最高出力 | 解説 |
P1 GTR | 3,799cc | V型8気筒ツインターボ | MR | 1,000PS | サーキット専用車 台数限定 | |
P1 | 916PS | 台数限定(世界375台) | ||||
Senna | 3,999cc | 800PS | 台数限定(世界500台) | |||
スピードテール | V型8気筒ツインターボ+電気モーター | 1050PS | F1同様の座席配置をもつ3人乗りの車両 | |||
スーパーシリーズ | ||||||
主力スーパーカーモデル。先進性を象徴するテクノロジーのひとつとしてカーボン製シャシー『カーボン・モノセル』を採用している。 | ||||||
外観 | 車名 | 排気量 | エンジン | 駆動方式 | 最高出力 | 解説 |
720S | 3994cc | V型8気筒ツインターボ | MR | 720PS | 2017年3月発表。650Sの後継モデル。新エンジンを搭載し排気量は200cc増加。720は720馬力を表す。ディヘドラルドアはルーフ部分も開くようになった。 | |
アルトゥーラ | 2993cc | V型6気筒ツインターボ | MR | 680PS | マクラーレン初のハイブリットカー。 | |
スポーツシリーズ | ||||||
マクラーレンにおけるエントリーシリーズであり、初のスポーツカーセグメント車 | ||||||
外観 | 車名 | 排気量 | エンジン | 駆動方式 | 最高出力 | 解説 |
570S | 3,799cc | V型8気筒ツインターボ | MR | 570PS | 2015年4月のニューヨーク国際オートショーで発表された[7]。 | |
540C | 540PS | 2015年4月の上海モーターショーで発表された[8]。 | ||||
570GT | 570PS | 2016年3月のジュネーブモーターショーで発表される。 | ||||
グランドツアラー | ||||||
マクラーレン初のGTカーである。 | ||||||
外観 | 車名 | 排気量 | エンジン | 駆動方式 | 最高出力 | 解説 |
GT | V型8気筒ツインターボ | MR | 620PS | 2019年5月15日に発表された。マクラーレン初のグランドツアラー。 | ||
現行車種はすべてディヘドラルドアを採用している。 |
過去の車種編集
外観 | 車名 | 排気量 | エンジン | 駆動方式 | 最高出力 | 解説 |
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F1 | 6,100cc | V型12気筒NA | MR | 636PS | 1991年発表。エンジンはBMW製。 | |
MP4-12C | 3,799cc | V型8気筒ツインターボ | 600PS | 2011年発表。 | ||
675LT | 3,799cc | 675PS | LTはF1 GTRの“ロングテール”を継承。搭載されるM838TLエンジンの馬力は675馬力にアップしている。100kgに及ぶ軽量化により乾燥重量は1230Kg。 | |||
650S | 3799cc | 650PS | P1の下位モデルに位置し、MP4-12Cの上位モデル。車名の650Sは650馬力を表す。 | |||
625C | 3799cc | 625PS | アジア限定モデル。日本では未発売。Cはクラブを意味する。 |
マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)編集
マクラーレン・オートモーティブのビスポーク部門であり、さらに5つの部門に分かれる。 MSOディファインド
パーソナリゼーションを担うMSOの部門のうちの1つ。 カーボン・ファイバー製のリア・ディフューザーや、MSOエクステンデッド・サイド・ドアブレード、フル・カーボン・ファイバー製リアデッキとミラーアーム等特別なオプションをデザイン、提供している。
MSOビスポーク
MSOビスポークは、さらなるカスタマイズのために、オリジナルカラーのペイント、レザーやステッチのカラー、インテリア素材のオーダー、さらにはボディー仕様までマクラーレンのオーナーの要望に応じ、ほぼ無制限の範囲でのカスタマイゼーションを提供する。 マクラーレン・650Sを発売以来、マクラーレン・プロダクション・センターで生産された650Sの20%はMSOによりプロデュースされた。生産台数375台のP1は、1台1台のオーナーの希望に応えて375通りに仕上げられている。 また、実際の道路で行う試験走行や認証試験のために用意されたMcLaren X-1の製造も同部門が担当した。
MSOリミテッド
MSOの名を冠する「650S」と「12C」の限定モデルは、MSOリミテッドで設計・開発・生産される。 2014年のグッドウッド・スピードフェスティバルで発表した「MSO 650S」も同部門のプロダクトに含まれている。
MSOヘリテージ
現在のMSOのかたちは、2011年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスにおいて発表された。 以前は、マクラーレン・F1オーナー向けにサービス、メンテナンス、カスタマイズを提供する目的で、1990年代にはマクラーレン・カスタマー・ケアプログラムと称されていた。このサービスは現在もマクラーレンで継承されており、MSOヘリテージチームが担当。同部門はMcLaren F1に関する知識と専門技能を提供しており、メルセデス・ベンツ・SLR マクラーレンも担当している。
MSOプログラムズ
MSOプログラムズは、P1GTRドライバープログラムを担当するため設立された。P1GTRの製造とメンテナンスはMSOによって行われ、オーナーは世界のF1サーキットで開催されるサーキットイベントに参加することができる。
マクラーレンGT編集
マクラーレンGTは、マクラーレン・オートモーティブにおけるGTレース活動の全てを担当のために設立され、マクラーレンGTレース車の開発から製造までを担っている。マクラーレンGTによって最初に開発された車は、MP4-12C GT3であり、 現在は650S GT3、650S SPRINTのデザイン、開発及び生産を行っている。マクラーレンテクノロジーセンターが設立される以前より、マクラーレン・レーシングからの技術を受け継いでいる。
出典編集
- ^ マクラーレン 「アップルから正式な買収提案はなかった」(F1-Gate.com 2016年11月20日)
- ^ McLaren restructures Group to create independent McLaren Automotive company - 公式プレスリリース(2009年4月16日)
- ^ ロン・デニスがマクラーレンF1部門のボスに復帰 - オートスポーツ・2014年1月17日
- ^ 【パリモーターショー12】マクラーレンの新型スーパーカー、P1 …パワーは960psクラスか(Response. 2012年10月1日)
- ^ 新型車がぞくぞくデビューマクラーレンの市販計画はどうなっている?web CGweb CG
- ^ マクラーレン日本支社代表「トラック25実現で日本市場は重要な役割担う」Response
- ^ 【NYオートショー2015】マクラーレン、エントリー・レベルの新モデル「570S」を発表。auto Blog 2015年4月10日
- ^ 英マクラーレン、上海ショーで最もお求めやすいマクラーレン「540C クーペ」世界初公開。Car Watch 2015年4月20日
外部リンク編集
- マクラーレンオートモーティブの公式サイト(日本語)
- マクラーレンオートモーティブメディアページ(英語)
- マクラーレン東京の公式サイト(日本語)
- マクラーレン大阪の公式サイト(日本語)