マズルカ
マズルカ(ポーランド語: mazurek, クラシックの曲名としては mazurka が古くより一般的に使われている)は、4分の3拍子を基本とする特徴的なリズムを持つ、ポロネーズと並んで有名なポーランドの民族舞踊およびその形式(舞曲)。
概要編集
19世紀、ポーランド貴族(シュラフタ)のあいだで流行した。ショパンは諸地方の舞曲の要素を統合し、マズルカを芸術作品として昇華させた。同世紀にはマズルカのリズムを持ったポルカ「ポルカ・マズルカ」も誕生した。
第1拍は付点リズムが多く、第2もしくは第3拍にアクセントが置かれる。この基本のリズムとテンポの踊りを「マズル(Mazur)」と呼び、より速いテンポの「オベレク(Oberek)」、ゆっくりとしたテンポの「クヤヴィヤック(Kujawiak)」など、地方により多様な名称のものがある。これらは伝統的には別種の舞曲として認識されるが、ショパンはそれらを曲の中で並置させて1曲のマズルカとしてまとめている。
主なマズルカの作曲家編集
ポーランド編集
- ユゼフ・クサヴェルィ・エルスネル - ショパンの師匠として有名。
- カロル・クルピンスキ
- マリア・シマノフスカ
- スタニスワフ・モニューシュコ - オペラ「ハルカ」、「幽霊屋敷」
- フレデリック・ショパン - 50曲以上。マズルカ (ショパン) を参照
- ヘンリク・ヴィエニャフスキ
- ユリウシュ・ザレンプスキ
- カロル・シマノフスキ
- アレクサンデル・ザジツキ
- アレクサンデル・タンスマン - タンスマンのピアノ作品一覧を参照
ポーランド以外編集
ロシア、フランスなどの作曲家がマズルカを書いた。その多くはショパンの影響を受けたピアノ曲である。
- フランツ・リスト
- アントニン・ドヴォルザーク - ピアノ曲『6つのマズルカ』
- ミリイ・バラキレフ - ピアノ用に7曲のマズルカを書く。バラキレフはショパンの影響を強く受けていた。
- アレクサンドル・ボロディン - 『小組曲』のうち2曲がマズルカ
- アレクサンドル・スクリャービン - 多数のマズルカを書いたことで知られる
- クロード・ドビュッシー
- モーリス・ラヴェル - 初期のピアノ曲集『パレード』所収
- アラム・ハチャトゥリアン - 『仮面舞踏会』のマズルカが有名
マズルカはバレエにしばしば組み込まれた。なかでもドリーブ『コッペリア』(舞台はポーランド)第1幕のマズルカは有名である。またチャイコフスキーも『白鳥の湖』や『眠れる森の美女』にマズルカを組み込んでいる。 他にも全日本吹奏楽コンクールにて、 2013年課題曲Iとして三澤 慶作曲の 「勇者のマズルカ」という曲が 作られている。この曲はテンポがはじめ 160とかなり速めで、中間部が88でゆったり、 そして再び160、終盤で168と急緩急の 構成で作られている。
名称編集
マズルカのポーランド語での名称は「マズレック」(mazurek)であり、「マズルカ」(mazurka)はその対格形もしくは生格形である。ポーランド語では「マズルカを踊る」などと言う場合には "tańczyć mazurka"(eは欠落)というように対格形が要求される。主格よりもこの格で用いられることが多いゆえか、「元のかたち」が "mazurka" であると認識されたために広く「マズルカ」として定着したものと思われる。
また、ポーランドにおいてはダンスが「マズル」、その舞曲が「マズレック」として区別されているようである。
ちなみに、ポーランドの国歌は『ドンブロフスキのマズルカ』で、勇壮なマズルである。