マリオン劇場(マリオンげきじょう、1991年12月21日 - 2009年1月9日閉館)は、北海道札幌市中央区にて古谷興業株式会社が経営・運営していた映画館ミニシアター)である。有楽町マリオン(有楽町センタービル)及び、青森県弘前市にかつて存在した映画館『弘前マリオン劇場』とは異なる。

マリオン劇場
Marion Theater
情報
通称 レディースシアター・マリオン
正式名称 マリオン劇場
完成 1991年
開館 1991年12月21日
開館公演 ぼくの美しい人だから[1]
閉館 2009年1月9日
最終公演 夢のまにまに
収容人員 96人
設備 DOLBY STEREO
用途 映画上映
運営 古谷興業株式会社
(支配人:古谷龍夫[1]
所在地 066-0063
北海道札幌市中央区南3条西2丁目1-1 塚本マリオンビル(H&Bプラザ)地下1階
アクセス 豊水すすきの駅2番出口よりすぐ
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マリオンシネマ
Marion Cinema
情報
正式名称 マリオンシネマ
開館 2009年5月1日
開館公演 初恋の想い出[2]
閉館 2012年5月7日
収容人員 36人
設備 DVDプロジェクタ
用途 映画上映
運営 古谷興業株式会社
所在地 066-0063
北海道札幌市中央区南3条西2丁目10-1(狸小路2丁目) リバティータワービル4階
アクセス 豊水すすきの駅2番出口より徒歩1分
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本項では、同館の後継館だったマリオンシネマ(2009年5月1日開館 - 2012年5月7日閉館)及び、両劇場が入居していた塚本マリオンビルとリバティータワービルについても述べる。

データ 編集

マリオン劇場
  • 所在地:札幌市中央区南3条西2丁目1-1 塚本マリオンビル(通称:H&Bプラザ)地下1階
  • 座席数:96席
マリオンシネマ
  • 所在地:札幌市中央区南3条西2丁目10-1 (狸小路2丁目)リバティータワービル(旧:塚本ビールタワー)4階
  • 座席数:36席

歴史 編集

マリオン劇場 編集

 
マリオン劇場でデジタル・ニューマスター版が上映されていた『ローマの休日』(監督ウィリアム・ワイラー、1953年)。主演のオードリー・ヘプバーン(写真左)とグレゴリー・ペック

1991年12月21日、札幌市中央区南3条西2丁目の塚本マリオンビル地下1階に開設。こけら落としはルイス・マンドーキ監督・スーザン・サランドン主演のユニバーサル映画作品『ぼくの美しい人だから』だった。この年は8月10日に松竹遊楽館が半年に及ぶ大改装を経てリニューアルオープンした一方、スガイビル(現:ディノス札幌中央)内にあったグランドシネマ(4階)、シネマロキシ、シネマ5(共に5階)の3スクリーンが撤退し、それぞれボウリング場(4階)、カラオケボックス(5階)に転換。同年9月30日には日活系映画館のロッポニカ札幌(旧:札幌日活劇場)、翌1992年3月には南8条西4丁目にあったミニシアター「ジャブ70ホール」がなくなり、同年7月4日には競合する市民映画館「シアターキノ」が南3条西6丁目にオープンするなど、同市内の映画館に大きな変動が見られた時期でもあった。

当初はレディースシアター・マリオンという名称でスタートし、主に女性向きのミニシアター系作品を数多く上映していたが、次第に女性向き以外の洋画・邦画もかけるようになり、その際にマリオン劇場という正式名称が定着していった。1996年にはイタリア映画イル・ポスティーノ』(監督マイケル・ラドフォード)を上映しヒットに導いた一方[1]、1997年には札幌市保健所から「環境衛生保健所長表彰」を受けている[3]

しかし2003年、札幌駅前に大型シネマコンプレックス札幌シネマフロンティア」がオープンしてから、同市中心部にあった映画館の多くが軒並み閉館。同年末時点で当館とスガイビル内の映画館6スクリーン、札幌東宝プラザ札幌東宝公楽、シアターキノなどが残った。それでも2004年1月17日~2月6日にはオードリー・ヘプバーン主演『ローマの休日』のデジタル・ニューマスター版をムーブオーバーしたり[4]、2006年には黒木和雄監督の遺作となった『紙屋悦子の青春[5]、2007年3月期には吉井怜主演の『LOVE MY LIFE』(監督川野浩司[6]の上映もあった。この頃になると、塚本マリオンビルの上層階にアイン薬局(1階[7])などのメディカルモールが相次いで入居しており、その際に“H&Bプラザ”という愛称が付けられている。

2008年7月9日には、同年7月26日に日本公開を控えていたドリームワークス製作のアニメ映画『カンフー・パンダ』の先行試写会が当館で開催されていたが[8] 、2009年1月9日、観客数減少などの事情によりマリオン劇場は閉館。最後の番組は木村威夫監督の邦画『夢のまにまに』であった。現在、跡地にはレストラン「Galle」(ガレ)[9]が入居している。

ちなみにラジオ番組『アタックヤング』(STVラジオ)のパーソナリティを務めていたミュージシャンの“SACON”こと左近誠道は、閉館間際の2008年12月21日にヒュー・ジャックマン主演の『彼が二度愛したS』(監督マーセル・ランゲネッガ-)を観たことを自身のブログで明かしている[10]

マリオンシネマ 編集

マリオン劇場閉館から4か月後の2009年5月1日、狸小路2丁目のリバティータワービル4階に移転し、館名をマリオンシネマと改めて再出発した。移転先だったリバティータワービルはかつて塚本ビールタワーという名称で営業しており、駐車場のある上層階壁面にビールの中に飛び込む人間をイメージした壁画が描かれていた。新劇場は36席(前列の24席が青、後列の12席が赤で構成[2])を有し、規模の小ささからか、上映方式はフィルム(35mm及び16mm)ではなくDVDプロジェクターによる映写となっていた。

最初の上映作はフォ・ジェンチィ監督・ヴィッキー・チャオ主演の韓国映画『初恋の想い出』[2]であったが、その後は主に官能小説を原作とした洋画ポルノの上映が多く、旧劇場時代末期のような状況が続いていた。それでも2010年5月15日~5月21日には、同年2月20日よりシネマート六本木東京都)で上映されていた井口昇監督作『きょーれつ!もーれつ!古代少女ドグちゃんまつり』[11]、2011年6月4日~7月8日には、鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転』[12]が上映されていた。

当館の営業期間中には東宝公楽(2010年8月31日)とディノスシネマズ札幌白石(2011年5月8日)、東宝プラザ[13](2011年8月31日)が相次いで閉館に追い込まれた。そして東宝プラザ閉館から9か月後の2012年5月7日、マリオンシネマは営業開始からわずか3年で閉館し、マリオン劇場時代を含めた20年半の歴史にピリオドを打った[14]。閉館8か月後の2013年1月25日、同館跡地に非営利団体運営による貸ホール狸小路2丁目シアターがオープンしたが、古谷興業が同シアターを買収しすすきのに所在していた成人映画館「有楽シネマ」を移転という形で2016年5月14日、「有楽シアター」としてリニューアルオープンしたが、2019年9月30日にビルの解体のため閉館。同年10月末から11月にかけてシティーボーイズビル地下1階に「ススキノ有楽シアター」として移転オープンする予定。なお、同社は同シアターのみを経営している。

なお、マリオン劇場→マリオンシネマ時代を通して、映画館自体の公式ホームページは存在しなかった。

フロア構成 編集

※いずれも2016年5月現在。

塚本マリオンビル(H&Bプラザ) 編集

入居施設
8階 アイランド札幌形成外科・美容外科クリニック
7階 山崎泌尿器科クリニック、廣仁会 褥瘡・創傷治癒研究所
6階 廣仁会 札幌皮フ病研究所
5階 札幌皮膚科クリニック[15]
4階 浜田内科消化器科クリニック
3階 くぼメンタルクリニック、株式会社進幸「POPケアセンター」医療法人社団 廣仁会事務局、有限会社エー・イー・シー
2階 美容室「KESTRA」(ケストラ)
1階 アイン薬局札幌中央店[7]
地下1階 レストラン「Gille」[9]

リバティータワービル 編集

入居施設
最上階 駐車場
4階 有楽シアター(成人向け映画館)
3階 「風月」狸小路店[16]居酒屋「盆栽」タヌキ店[17]、日本料理店「花啝」(はなわ)
2階 カレー店「くろかり」[18]
1階 カレー店「くろかり」、タコライスとパンケーキの店「アンマー」、駐車場入口
地下1階 豪快居酒屋舟盛屋別邸「炙り茶屋」、株式会社エゾプロジェクト(「舟盛屋」「炙り茶屋」運営会社)

※かつては1階にドトールコーヒーショップ(現在は狸小路3丁目に移転[19])、4階には狸小路2丁目シアターがそれぞれ入居していた。

脚注・出典 編集

  1. ^ a b c 和田由美 (2014年5月23日). “札幌マリオン劇場”. ほっかいどう映画館グラフィティー. 朝日新聞北海道支社. 2014年6月19日閲覧。
  2. ^ a b c マリオンシネマ本日オープン!”. poroco編集部ブログ (2009年5月1日). 2013年11月29日閲覧。
  3. ^ 過去の環境衛生保健所長表彰について”. 生活衛生. 札幌市 (2012年10月30日). 2013年11月29日閲覧。
  4. ^ ローマの休日(製作50周年記念デジタル・ニューマスター版):上映情報”. パラマウント ジャパン. 2013年11月29日閲覧。
  5. ^ 紙屋悦子の青春/公開劇場のご案内”. パル企画. 2013年11月29日閲覧。
  6. ^ 3月!ガッツ!!”. 吉井怜オフィシャルブログ「Aquamarin 18」 (2007年3月1日). 2014年6月19日閲覧。
  7. ^ a b アイン薬局 札幌中央店”. 店舗検索. アインファーマシーズ. 2013年11月29日閲覧。
  8. ^ 劇場アニメ「カンフー・パンダ」のゲームが7月24日に発売決定!”. 電撃オンライン. KADOKAWA (2008年5月29日). 2013年11月29日閲覧。
  9. ^ a b DINING”. sapporo-open.com. エルム企画株式会社. 2013年11月29日閲覧。
  10. ^ 左近誠道 (2008年12月21日). “2度愛したS。”. SACON Official Blog「サコン コサコン ココサコン」. 2014年7月13日閲覧。
  11. ^ INFORMATION≫札幌・マリオンシネマでの“まつり”公開が決定!!”. 古代少女ドグちゃん. StarChild/キングレコード. 2013年11月29日閲覧。
  12. ^ 劇場情報”. 映画「ミツバチの羽音と地球の回転」. 2013年11月29日閲覧。
  13. ^ 現在は貸ホール「札幌プラザ2・5」となっている。
  14. ^ この年の9月30日には帯広市にあったミニシアター「CINEとかちプリンス劇場」も閉鎖されている。
  15. ^ 札幌皮膚科クリニック”. クリニック一覧. 医療法人社団 廣仁会. 2013年11月29日閲覧。
  16. ^ もんじゃ焼・鉄板焼「風月」狸小路2丁目店OPEN!”. 風月. 2013年11月29日閲覧。
  17. ^ 店舗紹介”. 株式会社コモセン. 2013年11月29日閲覧。
  18. ^ 裏参道牛肉店”. 大平畜産工業. 2013年11月29日閲覧。
  19. ^ ドトールコーヒーショップ札幌狸小路店”. 店舗情報. 株式会社ドトールコーヒー. 2013年11月29日閲覧。