京都びわこドリーム号

マリーン号から転送)

京都びわこドリーム号(きょうとびわこドリームごう)とは、かつて埼玉県さいたま市東京都豊島区および神奈川県横浜市と、滋賀県米原市彦根市東近江市草津市大津市および京都府京都市とを結んでいた高速バスである。旧称「びわこドリーム号」。

大宮線 3列シート車導入当時の西武バス車両
日産ディーゼル・スペースウィング U-RA520SBN
(画像は西武観光バス移籍後)
「マリーン号」運行開始当時の近江鉄道車両
日産ディーゼル・スペースウィング U-RA520RBL
(3列シート車導入当時の大宮線も共通運用)

本項では、かつてダブルトラック路線として運行されていたが、「びわこドリーム号」に先がけて廃止となった 品川・横浜 - 彦根・大津線 「マリーン号」 についても記す。双方の路線開業に滋賀県側のバス事業者として近江鉄道が関与していた。

概要 編集

1989年6月23日西武バス近江鉄道共同運行で「池袋 - 大津線」を運行開始した[1]。座席指定制のため、乗車には予約が必要であった。

3年後の1992年6月19日京浜急行電鉄と近江鉄道の共同運行で、品川・横浜 - 大津線「マリーン号」を運行開始した。また同日より「池袋 - 大津線」の東京側起終点を埼玉県大宮駅まで延伸し「大宮・池袋 - 大津線」となる。

1999年12月16日には「大宮・池袋 - 大津線」の運行が西武バス大宮営業所から西武観光バスへ移管され、廃止まで西武観光バス大宮営業所が担当した。

2008年1月15日出発便をもって「マリーン号」は廃止され、同年4月21日をもって近江鉄道は「大宮・池袋 - 大津線」からも撤退した。これにより近江鉄道は長距離高速バス路線から撤退することとなった。翌4月22日の運行より近江鉄道に代わって西日本JRバスが参入し、それに伴いJRバスの夜行高速バスの愛称「ドリーム号」を冠して「びわこドリーム号」の愛称が付与された。ただし当時は、西武側では引き続き「大津線」という名称を併記していた(西日本JRバス参入まで同路線に路線愛称はなかった)。また同日より横浜シティ・エア・ターミナル (YCAT) への乗り入れを開始した。

1980年代後半から1990年代にかけては日本全国各地で高速バス路線の開業ブームが起き、首都圏の大都市と地方都市を結ぶ都市間高速離バス路線が相次いで開通した。しかし夜行高速バスは運行コストがかかるため、需要を過大に見込んで同一区間や並行区間で開業されたダブルトラック路線では競合により、短期間での撤退や共倒れになる路線も少なくなかった。

2010年(平成22年)9月1日より、西日本JRバスと西武観光バスの両社ともワンマン運転に移行し、三ヶ日ICでの乗務員交代を考慮したダイヤに変更した。途中での乗務員交代はあるものの、2人乗務である「ドリームさいたま号」と同様にどちらもワンマン運転であり、[要説明]車両の所属にかかわらず、東名高速道路の三ヶ日IC付近にある静岡県三ケ日駐車場以西を西日本JRバス京都営業所、同IC以東を西武観光バス大宮営業所の乗務員が担当していた。JRバスの乗務員がJRグループ以外の他社のバスに乗務する稀な例で、同様の形態はかつて伊良湖ライナー号豊橋鉄道JR東海バス)でも行われていた。

2015年8月1日から「びわこドリーム号」は京都駅まで路線を延伸[2]。これにより西武バス大宮営業所・大宮駅西口 - 京都駅間の停留所では、同日から「京阪神ドリームさいたま号」を一部経路変更の上で改称した「ドリームさいたま号」と区間が重複するようになり、同区間では実質的な増便となった。また京都駅への乗り入れ開始を機に、西武側の正式名称も大津線から「びわこドリーム号」に変更した。

しかし首都圏 - 京阪神間の路線は元から需要が多く、従来から東海道新幹線との競争が激しかった上に、2000年代以降の規制緩和により急増したツアーバスが大量に流入してダブルトラックどころではない過当競争となり、熾烈な低価格競争が繰り広げられていた区間であった。

2017年12月22日からは「京都びわこドリーム号」に名称を変更した[3][4]。なお、これに伴うダイヤ改正運賃の改定はなかった。

2019年6月21日には運賃改定とダイヤ改正を行ったものの、同年11月11日運行分をもって「ドリームさいたま号」と統合され、運行を終了した[5][6]。これにより、米原市彦根市など滋賀県東部に停車・発着する夜行高速バスはなくなった。

運行会社 編集

マリーン号 編集

沿革 編集

運行系統 編集

停留所一覧 編集

京都びわこドリーム号・マリーン号のバス停留所一覧。

横浜では「京都びわこドリーム号」はYCAT、「マリーン号」は横浜駅東口に停車していた。

○ - 停車
数字 - 停車(数値は駅コード
∥ - 通過
運行会社 西武観光バス 羽田京急バス 所在地
西日本JRバス 近江鉄道
停留所名 京都びわこドリーム号 旧 大宮大津線 旧 マリーン号
西武バス大宮営業所 ○07 埼玉県さいたま市大宮区
大宮駅西口 ○06
サンシャインシティ × 東京都豊島区
池袋駅東口 ○09
下落合駅 × 東京都新宿区
品川バスターミナル × 東京都港区
YCAT/横浜駅東口 ○08[注 1] [注 2] 神奈川県横浜市西区
米原駅西口 ○15 滋賀県米原市
彦根プリンスホテル × 滋賀県彦根市
彦根駅 ○14
八日市営業所 ○13 滋賀県東近江市
草津駅東口 ○12 滋賀県草津市
南草津駅東口 滋賀県草津市
びわ湖大津プリンスホテル × 滋賀県大津市
大津駅
浜大津 ×[注 3]
京都駅 京都府京都市下京区

クローズドドア方式を採用しているため、上表の二重線をまたぐ場合(すなわち滋賀県・京都府内のいずれかの停留所と、それ以外のいずれかの停留所の区間を利用する場合)でないと利用不可。

運行経路 編集

京都びわこドリーム号 編集

途中、東名高速道路の海老名サービスエリアと名神高速道路の養老サービスエリアで各20分間の開放休憩がある。

大宮・池袋 - 彦根・大津線 編集

西武観光バスと近江鉄道の共同運行時代。

  • 埼玉県さいたま市 - 首都高速埼玉大宮線 - 東京都(豊島区 - 新宿区) - 首都高速4号新宿線 - 中央自動車道 - 名神高速道路 - 国道8号 - 滋賀県米原市 - 滋賀県大津市

マリーン号 編集

車両 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ YCAT
  2. ^ 横浜駅東口
  3. ^ 2015年7月31日の運行をもって廃止。かつての駅コードは「10」。

出典 編集

  1. ^ a b c “高速バス2線免許”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1989年6月3日) 
  2. ^ a b 高速乗合バス「びわこドリーム号」京都駅へ乗り入れを開始します。”. 西武バス. 2015年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月9日閲覧。
  3. ^ a b 高速乗合バス びわこドリーム号 名称変更について”. 西武バス. 2017年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月9日閲覧。
  4. ^ a b 「京都~大宮」線の路線愛称名の変更について”. 西日本ジェイアールバス (2017年11月17日). 2017年12月26日閲覧。
  5. ^ a b ドリームさいたま号・京都びわこドリーム号の路線統廃合と一部停留所廃止のお知らせ”. 西武バス (2019年10月9日). 2019年10月10日閲覧。
  6. ^ a b 大阪・京都〜大宮線及び京都・滋賀〜大宮線のダイヤ改正について”. 西日本ジェイアールバス (2019年11月7日). 2019年11月8日閲覧。
  7. ^ a b “来月2日からJR草津駅に停車 西武・近江鉄道 東京-大津間”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1990年7月20日) 
  8. ^ “西武高原バスと近江鉄道の高速バス免許 運輸省”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1992年5月29日) 
  9. ^ 高速乗合バス 運賃改定のお知らせ”. 西武バス (2019年6月19日). 2019年6月30日閲覧。
  10. ^ 【6/21改正】高速路線バスのダイヤ改正と運賃改定を行います。”. 西日本ジェイアールバス (2019年5月29日). 2019年6月30日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集