マルクスの疎外論

本記事ではカール・マルクス(以下,マルクス)が提唱した疎外論(そがいろん)について扱う。

マルクスの主張では、有機的身体と非有機的身体に分かれ、自然に抗う「自然疎外」が起こることで生命が始まったように、近代的・私的所有制度が普及し、資本主義市場経済が形成されるにつれ、資本・土地・労働力などに転化する[要校閲] 。それに対応し本源的共同体も分離し、人間は資本家・地主・賃金労働者などに転化する。同時に人間の主体的活動であり、社会生活の普遍的基礎をなす労働過程とその生産物は、利潤追求の手段となり、人間が労働力という商品となって資本のもとに従属し、ものを作る主人であることが失われていく。また機械制大工業の発達は、労働をますます単純労働の繰り返しに変え、機械に支配されることによって機械を操縦する主人であることが失われ、疎外感を増大させる。こうしたなかで、賃金労働者は自分自身を疎外(支配)するもの(資本)を再生産する。資本はますます労働者、人間にとって外的・敵対的なもの、「人間疎外」となっていく。

マルクスは「疎外された労働」が再生産されるこのような社会関係を『経済学・哲学草稿』(1844年)で分析し、『経済学批判要綱』(1857年 - 1858年)や『資本論』(1867年、1885年、1894年)に継承した。