マートン・フチョビッチ

マートン・フチョビッチMárton Fucsovics, ハンガリー語: Fucsovics Márton, 発音 [ˈfut͡ʃovit͡ʃ ˈmaːrton], 1992年2月8日 - )は、ハンガリーニーレジハーザ出身の男子プロテニス選手。ATPランキング自己最高位はシングルス31位、ダブルス189位。これまでにATPツアーでシングルス1勝を挙げている。身長188cm。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

マートン・フチョビッチ
Márton Fucsovics
2023年全米オープンでのマートン・フチョビッチ
基本情報
国籍  ハンガリー
出身地 同・ニーレジハーザ
生年月日 (1992-02-08) 1992年2月8日(32歳)
身長 188cm
体重 82kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2009年
ツアー通算 1勝
シングルス 1勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 4,904,310 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 4回戦(2018・20)
全仏 4回戦(2020)
全英 ベスト8(2021)
全米 3回戦(2020)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 2回戦(2024)
全仏 2回戦(2020・22)
全英 2回戦(2021)
全米 1回戦(2018・21-23)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 2回戦(2019)
全仏 2回戦(2019)
国別対抗戦最高成績
デビス杯 1回戦(2018)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 31位(2019年3月4日)
ダブルス 189位(2019年4月22日)
2024年3月11日現在

選手経歴 編集

ジュニア時代 編集

5歳からテニスを始める。8歳のときには3〜4歳も年上の選手に勝利できるほどの実力をつけていた。2003年には国際大会やNIKEジュニアツアーにも参戦して、デビスカップハンガリー代表にも選抜された。テニスだけではなくバスケットボールでも才能を発揮していたが、テニスの道を選んだ。

18歳のときには2010年ウィンブルドン選手権ジュニア男子シングルス英語版で優勝し、ジュニア世界ランキング1位となった。ユースオリンピックにもトップシードとして出場した。

2016年 グランドスラム初出場 編集

4大大会ではなかなか予選を突破することが出来なかったが2016年全米オープンで予選を勝ち上がり初出場した。1回戦でニコラス・アルマグロに 1-6, 4-6, 6-7で敗れた。年間最終ランキングは158位。

2018年 ツアー初優勝 編集

 
2018年全仏オープンでのマートン・フチョビッチ

キャンベラ・チャレンジャーでは決勝でアンドレアス・セッピに敗れ、準優勝。全豪オープンでは2回戦で第13シードのサム・クエリーを 6-4, 7-6(6), 4-6, 6-2 で破る殊勲を挙げ、4回戦進出。4回戦では昨年度覇者及び第2シードのロジャー・フェデラーに4-6, 6-7(3), 2-6で敗れた。BNPパリバ・オープンでは2回戦でマリン・チリッチに5-7, 3-6で敗れた。マイアミ・オープンではマクシミリアン・マーテラーに4-6, 4-6のストレートで初戦敗退。

モンテカルロ・マスターズではダニール・メドベージェフに初戦敗退。ローマ・マスターズでは予選敗退するも、5月のジュネーヴ・オープンで初のATPツアー決勝に進出。決勝でペーター・ゴヨフチクを 6–2, 6–2で破りツアー初優勝を果たした[1]全仏オープンでは1回戦でバセク・ポシュピシルをストレートで破り、2回戦では第16シードのカイル・エドマンドに0-6, 6-1, 2-6, 3-6で敗れた。ウィンブルドン選手権では1回戦でジュリアン・ベネトーに5-7, 5-7, 3-6のストレートで初戦敗退。

ナショナル・バンク・オープンでは2回戦でスタン・ワウリンカに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンの3回戦でもワウリンカに敗れた。全米オープンでは1回戦で第6シードのノバク・ジョコビッチに3-6, 6-3, 4-6, 0-6で敗れた。上海マスターズでは2回戦でゴヨフチクに敗退。パリ・マスターズでは1回戦でブノワ・ペールを6-4, 6-4で破るも、2回戦のファビオ・フォニーニ戦を前に棄権。年間最終ランキングは36位。

2019年 トップ35入り 編集

 
2019年ウィンブルドンでのマートン・フチョビッチ

全豪オープンでは2回戦でボルナ・チョリッチに敗退したが、2月のソフィア・オープンでは2回目のATPツアー決勝に進み、ダニール・メドベージェフに敗れたが、世界ランキング自己最高31位を更新。ABNアムロ世界テニス・トーナメントではベスト8入り。準々決勝では錦織圭に敗退。ドバイ・テニス選手権でもベスト8入り。準々決勝ではロジャー・フェデラーに敗れた。

 
2019年全仏オープンでのマートン・フチョビッチ

全仏オープンでは1回戦でディエゴ・シュワルツマンに敗退。ウィンブルドン選手権では2回戦でファビオ・フォニーニに敗退。全米オープンでは1回戦でニコロズ・バシラシビリに敗退。年間最終ランキングは70位。

2020年 グランドスラム4回戦進出 編集

カタール・エクソンモービル・オープンでは予選からベスト8入り。準々決勝ではミオミル・キツマノビッチに敗れた。全豪オープンでは1回戦で第13シードのデニス・シャポバロフ、2回戦でヤニック・シナーらを下すも、4回戦では第3シードのロジャー・フェデラーに敗退。その後は新型コロナウィルスの蔓延によりツアーが一時中断。

ツアー再開後のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは3回戦ではフランシス・ティアフォーにストレートで敗れた。全米オープンでは2回戦で第14シードのグリゴール・ディミトロフを破るま、3回戦ではフランシス・ティアフォーに敗れた。全仏オープンでは1回戦で第4シードのダニール・メドベージェフを破る白星を挙げ、4回戦では第13シードのアンドレイ・ルブレフに敗れた。パリ・マスターズでは予選通過をするも、1回戦でボルナ・チョリッチに敗れた。年間最終ランキングは55位。

2021年 ウィンブルドンベスト8 編集

全豪オープンでは2回戦で第17シードのスタン・ワウリンカを破り、3回戦では第14シードのミロシュ・ラオニッチに敗れた。3月のABNアムロ世界テニス・トーナメントでは予選からATPツアー・500シリーズ初の決勝進出。決勝ではアンドレイ・ルブレフに敗れたが、世界ランキング50位までに復調。その後のカタール・エクソンモービル・オープンドバイ・テニス選手権でも準々決勝でルブレフに敗れた。マイアミ・オープン2回戦でもルブレフに敗れた。

モンテカルロ・マスターズではロレンツォ・ソネゴに、ローマ・マスターズにそれぞれアレクサンダー・ブブリクに初戦敗退。BNLイタリア国際では3回戦まで進むもドミニク・ティエムに敗れた。全仏オープンでは2回戦で第27シードのファビオ・フォニーニにストレートに敗れた。

ノーシードで挑んだウィンブルドン選手権では1回戦で第19シードのヤニック・シナー、2回戦ではイジー・ベセリー(不戦勝)、3回戦で第9シードのディエゴ・シュワルツマン、4回戦で第5シードアンドレイ・ルブレフを破り、グランドスラムベスト8入りを果たすと同様にトップ10選手2人から勝ち星を挙げた。準々決勝では第1シードのノバク・ジョコビッチに敗れたが、世界ランキング40位台に復帰した。

全米オープンでは1回戦でアンドレアス・セッピに初戦敗退。パリ・マスターズでは1回戦でファビオ・フォニーニを破るも、2回戦でノバク・ジョコビッチに敗れた。年間最終ランキングは40位。

2022年 チャレンジャー5勝目 編集

 
2022年モンテカルロ・マスターズでのマートン・フチョビッチ

全豪オープンでは1回戦でドゥシャン・ラヨビッチに3-6, 6-4, 1-6, 7-6(6), 1-6で初戦敗退。BNPパリバ・オープンではマッケンジー・マクドナルドに初戦敗退。マイアミ・オープンではカルロス・アルカラスに2回戦で3-6, 2-6のストレートで敗退。

モンテカルロ・マスターズでは2回戦でディエゴ・シュワルツマンに敗退。バルセロナ・オープンでは3回戦でキャメロン・ノーリーに敗れた。マドリード・オープンでは予選敗退。ローマ・マスターズでは予選2回戦で途中棄権。全仏オープンでは2回戦で第20シードのマリン・チリッチに6-4, 4-6, 2-6, 3-6の逆転で敗れた。

BMWオープンでは2回戦で第3シードのホベルト・ホルカシュにフルセットの熱戦を制するも、3回戦のニック・キリオス戦で途中棄権。ハレ・オープンでも1回戦のロベルト・バウティスタ・アグート戦でも途中棄権。ウィンブルドン選手権ではアレクサンダー・ブブリクに1-6, 2-6, 4-6のストレートで初戦敗退し、世界ランキング59位から97位まで下降した。

全米オープンでは1回戦でマキシム・クレッシーに6-7(4), 7-5, 5-1の時点で相手の途中棄権により、次戦に駒を進めが、2回戦でアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナに6-7(3), 7-5, 6-3, 0-6, 6-7(3)のフルセットの末に敗れた。ブラチスラヴァ・チャレンジャーⅡでは優勝し、ATPチャレンジャーツアー5勝目を挙げた。年間最終ランキングは87位。

2023年 マスターズ4回戦進出 編集

1月、キャンベラ・チャレンジャー英語版決勝ではリアンドロ・リーディ英語版を破り、ATPチャレンジャーツアー6勝目を挙げた。全豪オープンではフェデリコ・コリア英語版に4-6, 7-5, 2-6, 7-6(6), 2-6のフルセットの末に1回戦を制し、2回戦でロイド・ハリス英語版を6-2, 6-3, 5-7, 6-4で勝利。3回戦ではヤニック・シナーに6-4, 6-4, 1-6, 2-6, 0-6の2セットアップからの逆転で3回戦で敗退した。

2月、南フランス・オープンでは2回戦のシナー戦を前に棄権した。

3月、BNPパリバ・オープンではマスターズ初の4回戦進出。4回戦では昨年度覇者テイラー・フリッツに4-6, 3-6のストレートで敗れたが、世界ランキング73位まで復調した。マイアミ・オープンでは2回戦でホルガ・ルーネに3-6, 5-7で敗退。

4月、モンテカルロ・マスターズではボーティック・ファン・デ・ザンスフルプに、マドリード・オープンではマルコ・チェッキナートにそれぞれ初戦敗退。

5月、ローマ・マスターズでは大会初の3回戦進出。3回戦でキャメロン・ノリーに敗れた。全仏オープンでは2回戦で第3シードのノバク・ジョコビッチにストレートで敗退。

6月、ボス・オープンでは1回戦でデニス・シャポバロフを3-6, 6-3, 6-4で、2回戦で呉易昺を6-4, 4-6, 6-4で下し、準々決勝ではテイラー・フリッツを6-4, 7-5で下して、準決勝進出するも、準決勝ではフランシス・ティアフォーに3-6, 6-7(11)で敗退。

7月、ウィンブルドン選手権では1回戦でタロン・フリークスポール英語版を6-4, 6-2, 6-4、2回戦ではマルコス・ギロン英語版を7-6(2), 6-3, 4-6, 6-4で破るも、3回戦では第3シードのダニール・メドベージェフに4-6, 6-3, 4-6, 4-6で敗退。

8月、ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは予選敗退。全米オープンでは1回戦で第31シードのセバスチャン・コーダに7-6(4), 4-6, 7-6(1), 4-6, 6-4のフルセットで下して、2回戦ではリンジー・ヒジカタ英語版に1-6, 2-6, 1-6のストレートで敗れた。

9月、アスタナ・オープン英語版ではゼバスティアン・オフナー英語版に6-2, 2-6, 3-6で初戦敗退。

10月、上海マスターズでは2回戦でフェリックス・オジェ=アリアシムに7-6(3), 4-6, 6-3で破り、大会初の3回戦進出。3回戦ではフランシスコ・セルンドロ英語版に6-3, 4-6, 5-7で敗れた。パリ・マスターズではアレクサンダー・ズベレフに6-4, 5-7, 4-6で初戦敗退。

11月、ソフィア・オープンではベスト8入り。準々決勝ではパーヴェル・コトフ英語版に3-6, 6-7(3)のストレートで敗れた。年間最終ランキングは59位。

2024年 編集

全豪オープンでは第13シードのグリゴール・ディミトロフに6-4, 3-6, 6-7(1), 2-6の逆転で初戦敗退となった。

ATPツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 3回 (1勝2敗) 編集

大会グレード
グランドスラム (0–0)
ATPファイナルズ (0–0)
ATPツアー・マスターズ1000 (0–0)
ATPツアー500 (0–1)
ATPツアー250 (1–1)
サーフェス別タイトル
ハード (0–2)
クレー (1–0)
芝 (0–0)
カーペット (0–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2018年5月26日   ジュネーヴ クレー   ペーター・ゴヨフチク 6–2, 6–2
準優勝 1. 2019年2月10日   ソフィア ハード(室内)   ダニール・メドベージェフ 4–6, 3–6
準優勝 2. 2021年3月7日   ロッテルダム ハード(室内)   アンドレイ・ルブレフ 6–7(4–7), 4–6

プレースタイル 編集

ハンガリーNo.1プレーヤー。堅実なグランドストロークを持ち、回転が多くかかったボールをコントロールしてラリーを制する。珍しくロブが得意であり、前に来た相手をパッシングショットではなく、絶妙なロブで抜くことができる。

ラケットはプロ転向当初はテクニファイバー、2017年からYONEX「EZONE98」、ストリングは「POLYTOUR PRO 125」を使用。

シューズはNIKEのシューズを履いていることが多いが、芝シーズンはヨネックス、練習時はミズノのシューズも使用することがある。

ウェアはプロ転向時から2019年までセルジオ・タッキーニ、2020年からハンガリーのファッションブランド「DORKO」を着用。2022年からはイタリアの高級ファッションブランドである「ハイドロゲン」と契約し、着用している。

成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

グランドスラム 編集

大会 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 通算成績
全豪オープン A A A Q3 Q2 Q1 Q1 4R 2R 4R 3R 1R 9–5
全仏オープン A A A Q1 Q2 Q2 Q2 2R 1R 4R 2R 2R 6–5
ウィンブルドン Q2 A Q1 Q3 Q3 Q1 1R 1R 2R NH QF 1R 5–5
全米オープン A A Q1 Q2 Q2 1R 1R 1R 1R 3R 1R 2R 3–7
勝–敗 0–0 0–0 0–0 0–0 0–0 0–1 0–2 4–4 2–4 8–3 7–4 2–4 23–22

大会最高成績 編集

大会 成績
ATPファイナルズ A 出場なし
インディアンウェルズ 4R 2023
マイアミ 3R 2021
モンテカルロ 2R 2019, 2022
マドリード 2R 2019
ローマ 3R 2023
カナダ 2R 2018
シンシナティ 3R 2018, 2020
上海 3R 2023
パリ 2R 2018, 2021
オリンピック 1R 2021
デビスカップ 1R 2018
ATPカップ A 出場なし

脚注 編集

外部リンク 編集