ミシェル・ヨー
ミシェル・ヨー（Michelle Yeoh, 1962年8月6日 - ）は、香港、ハリウッドで活躍する女優。中国系マレーシア人。本名は楊 紫瓊（Yeoh Chu Kheng）。旧芸名はミシェール・キング（Michelle King）またはミシェル・カーン（Michelle Khan）[1]。
| Michelle Yeoh ミシェル・ヨー | |||||||||||||||||
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 2017年、カンヌ国際映画祭にて | |||||||||||||||||
| 本名 | 楊 紫瓊 | ||||||||||||||||
| 生年月日 | 1962年8月6日（61歳） | ||||||||||||||||
| 出生地 |
 マレーシア ペラ州イポー | ||||||||||||||||
| 民族 | 中国系マレーシア人 | ||||||||||||||||
| ジャンル | 女優 | ||||||||||||||||
| 活動期間 | 1984年 - | ||||||||||||||||
| 配偶者 |
ディクソン・プーン（1988-1992） ジャン・トッド（2004- ） | ||||||||||||||||
| 主な作品 | |||||||||||||||||
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『ポリス・ストーリー3』 『プロジェクトS』 『ワンダー・ガールズ』シリーズ 『宋家の三姉妹』 『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』 『グリーン・デスティニー』 『SAYURI』 『サンシャイン 2057』 『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』 『バビロンA.D.』 『レイン・オブ・アサシン』 『The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛』 『メカニック:ワールドミッション』 『クレイジー・リッチ!』 『イップ・マン外伝 マスターZ』 『ラスト・クリスマス』 『ガンパウダー・ミルクシェイク』 『シャン・チー/テン・リングスの伝説』 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 | |||||||||||||||||
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プロフィール 編集
マレーシアのイポーで、華僑の両親の間に生まれた[2]。4歳からバレエを習い、15歳からロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスに留学したが、17歳のころ怪我が元で断念し、演技と振付を学んで卒業した[2]。マレーシアに帰国後、ミス・マレーシアに選ばれ、1983年のミス・ワールドに出場した[2]。
1984年、ジャッキー・チェンと共演するCMで芸能デビュー[3]。香港映画製作会社D&Bフィルムズ（德寶電影公司）と専属契約し、サモ・ハン・キンポー監督・主演作『デブゴンの快盗紳士録』で「ミシェル・カーン」の名で女優デビューした[4]。1985年、初主演作『レディ・ハード 香港大捜査線』でアクション映画に挑戦。格闘技経験はなかったが、バレエ仕込みの身体表現で激しいカンフーアクションや危険なスタントシーンを演じ[3][4]、レディ・アクションスターの先駆けとなった。1986年の『皇家戦士』では真田広之と共演した。
1988年、D&Bフィルムズの社長ディクソン・プーンと結婚したのを機に女優を引退したが、3年後に離婚[2]。1992年、ジャッキー・チェンとの共演作『ポリス・ストーリー3』で復帰した。この映画では「走行中の貨物列車の屋根にオートバイで飛び乗る」というスタントを代役なしで演じた[3]。
1997年、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』で「ミシェル・ヨー」としてハリウッドへ進出。ジェームズ・ボンドと対等に渡り合う「戦うボンドガール」として注目を浴びた。2000年、アカデミー賞外国語映画賞ほか4部門を受賞した『グリーン・デスティニー』ではアン・リー監督と出会い、演技面で大きな転機となった[4]。
アクション映画で活躍する一方で、『宋家の三姉妹』『SAYURI』などの文芸映画、『クレイジー・リッチ!』『ラスト・クリスマス』などのコメディ映画、『バビロンA.D.』『スタートレック:ディスカバリー』（TVドラマシリーズ）などのSF作品にも幅広く出演している。『カンフー・パンダ2』『ミニオンズ フィーバー』ではアニメ映画の吹替えを行った。
2004年、フェラーリF1チーム代表のジャン・トッドと婚約（事実婚）し、19年後の2023年7月に正式な婚姻を結んだ[5]。トッドは2009年から2021年まで国際自動車連盟（FIA）会長を務めた。トッドの職務に付き添い、ヨーがサーキットに姿を見せることもある[6]。
2007年、レジオンドヌール勲章を受章した[7]。『グリーン・デスティニー』の女剣士、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガールとして有名となり、フランスとマレーシアの文化の架け橋となったことが認められたのが主な理由と語られている。
2013年にはマレーシア国王より最高勲章「タンスリ」を授与された[8]。2022年、映画芸術への貢献を認められ、アメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) から名誉美術博士号を授与された（アジア人アーティスト初）[9]。また、2022年TIME誌が選ぶ「アイコン・オブ・ジ・イヤー」に選ばれた[10]。
2023年、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の主演エヴリン役が評価され、第80回ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)、第29回全米映画俳優組合賞主演女優賞、第95回アカデミー賞主演女優賞を受賞。アジア系俳優が男女を問わずアカデミー主演賞を獲得するのは史上初の快挙となった[11]。受賞に際しヨーは「私のような見た目のすべての男の子と女の子へ、これは希望と可能性の印です。夢がかなう証しです。そして女性の皆さん、『あなたはもう盛りを過ぎた』なんて誰にも言わせてはなりません」とコメントしている[12]。
同年、国際オリンピック委員会（IOC）はインド・ムンバイにて行われたIOC総会において、ヨーをIOC委員に選出した。ヨーはスカッシュにおいて、マレーシアのジュニア女王になった経歴があり、同選挙の委員長を務めたイギリス王女のアン・エリザベス・アリス・ルイーズも投票前にその旨を紹介している[13][14]。
ギャラリー 編集
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2000年カンヌ映画祭
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2009年カンヌ映画祭
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2014年
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ヨーと夫ジャン・トッド（2016年）
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香港アベニュー・オブ・スターズにあるヨーの手形
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主な出演作品 編集
| 公開年 | 邦題 原題 |
役名 | 製作国（地域） | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1984 | デブゴンの快盗紳士録 猫頭鷹與小飛象 |
.svg){kind=small} イギリス領香港 |
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| 1985 | 七福星 夏日福星 |
柔道教室教師 | ||
| レディ・ハード 香港大捜査線 皇家師姐 |
アンナ刑事 | |||
| 1986 | 皇家戦士 皇家戰士 |
ミッシェル | ||
| 1987 | チャイニーズ・ウォリアーズ 中華戰士 |
ミンミン・フー | ||
通天大盜 |
楊寧 | |||
| 1992 | ポリス・ストーリー3 警察故事3 超級警察 |
ヤン | ||
| 1993 | 新流星蝴蝶剣 秘術VS妖術（VHS邦題） 新流星蝴蝶劍 |
コウ | イギリス領香港 台湾 |
『新流星蝴蝶剣』（DVD邦題） |
| プロジェクトS 超級計劃 |
ヤン・ホア | イギリス領香港 |
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| ワンダー・ガールズ 東方三侠 東方三侠 |
サン | |||
| ワンダー・ガールズ 東方三侠2 現代豪侠傳 |
サン | |||
| マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限 太極張三豐 |
秋雪（チウ・シュエ） | |||
| 1994 | ファントム・セブン/香港機動警察 七金剛 |
イン | ||
| レディ・ファイター 詠春拳伝説（VHS邦題） 詠春 |
イム・ウィンチュン | 『詠春拳』（DVD邦題） | ||
| 1996 | スタントウーマン/夢の破片 阿金 |
カム | ||
| 1997 | 宋家の三姉妹 宋家皇朝 |
宋靄齢 | イギリス領香港 日本 |
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| 007 トゥモロー・ネバー・ダイ Tomorrow Never Dies |
ウェイ・リン | .svg){kind=small} イギリス アメリカ合衆国 |
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| 1999 | もういちど逢いたくて 星月童話 星月童話 |
 香港 日本 |
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| 2000 | グリーン・デスティニー 臥虎蔵龍 Crouching Tiger, Hidden Dragon |
ユー・シューリン |  中国 台湾 香港 アメリカ合衆国 |
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| 2002 | レジェンド 三蔵法師の秘宝 天脈傳奇 |
イン | 中国 香港 台湾 |
出演・製作総指揮 |
| 2004 | シルバーホーク 飛鷹 |
ルル・ウォン / シルバーホーク | 香港 |
出演・製作総指揮 |
| 2005 | SAYURI Memoirs of a Geisha |
豆葉 | アメリカ合衆国 |
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| 2006 | サンシャイン2057 Sunshine |
コラゾン | イギリス |
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| 2008 | ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 The Mummy Tomb of the Dragon Emperor |
ツイ・ユアン | アメリカ合衆国 |
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| チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道 The Children ob Huang Shi |
ミセス・ウォン |  オーストラリア 中国 ドイツ |
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| バビロンA.D. BABYLON A.D. |
シスター・レベッカ | アメリカ合衆国 |
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| 2010 | 酔拳 レジェンド・オブ・カンフー 蘇乞兒 |
ユ | 香港 |
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| レイン・オブ・アサシン 剣雨 |
曽静 | 中国 |
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| 2011 | カンフー・パンダ2 Kung Fu Panda 2 |
予言おばば | アメリカ合衆国 |
声の出演 |
| The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛 The Lady |
アウンサンスーチー | .svg){kind=small} フランス イギリス |
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| 2016 | Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー Crouching Tiger, Hidden Dragon: Sword of Destiny |
ユー・シューリン | アメリカ合衆国 中国 |
『グリーン・デスティニー』の続編 Netflixオリジナル映画 |
| メカニック:ワールドミッション Mechanic: Resurrection |
メイ | アメリカ合衆国 フランス |
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| モーガン プロトタイプL-9 Morgan |
ルイ・チェン博士 | アメリカ合衆国 イギリス |
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| 2017 | ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス Guardians of the Galaxy Vol. 2 |
アリータ | アメリカ合衆国 |
カメオ出演 |
| 2017-2020 | スタートレック:ディスカバリー Star Trek: Discovery |
フィリッパ・ジョージャウ | テレビシリーズ 計24話出演 | |
| 2018 | クレイジー・リッチ! Crazy Rich Asians |
エレノア・スン＝ヤン | ||
| イップ・マン外伝 マスターZ 葉問外傳: 張天志 |
クワン | 香港 中国 |
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| スタートレック:ショートトレック Startrek:Short Treks |
フィリッパ・ジョージャウ | アメリカ合衆国 |
アンソロジー | |
| 2019 | ラスト・クリスマス Last Christmas |
サンタ | ||
| 2021 | コンティニュー Boss Level |
ダイ・フェン | ||
| ガンパウダー・ミルクシェイク Gunpowder Milkshake |
フローレンス | |||
| シャン・チー/テン・リングスの伝説 Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings |
イン・ナン | |||
| 2022 | エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス Everything Everywhere All at Once |
エヴリン・ワン・クワン | 出演・製作総指揮 | |
| ミニオンズ フィーバー Minions: The Rise of Gru |
マスター・チャウ | 声の出演 | ||
| ハンクの肉球大決戦 Paws of Fury: The Legend of Hank |
ユキ | 声の出演 日本劇場未公開 | ||
| スクール・フォー・グッド・アンド・イービル The School for Good and Evil |
エマ・アネモネ教授 | |||
| ウィッチャー 血の起源 The Witcher: Blood Origin |
スキアン | アメリカ合衆国 ポーランド |
Netflixオリジナルシリーズ 計4話出演 | |
| 2023 | アメリカン・ボーン・チャイニーズ 僕らの西遊記 American Born Chinese |
観音菩薩 | アメリカ合衆国 |
テレビシリーズ 計7話出演 |
| トランスフォーマー/ビースト覚醒 Transformers: Rise of the Beasts |
エアレイザー | 声の出演 | ||
| 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 A Haunting in Venice |
ジョイス・レイノルズ | |||
| 2024 | The Tiger's Apprentice |
Mrs. Lee | 声の出演 ポストプロダクション | |
Wicked: Part One |
マダム・モリブル | アメリカ合衆国 イギリス |
撮影中 | |
| 2025 | アバター3（仮題） Avatar 3 |
カリナ・モーグ博士 | アメリカ合衆国 |
ポストプロダクション |
Wicked: Part Two |
マダム・モリブル | アメリカ合衆国 イギリス |
撮影中 |
日本語吹き替え 編集
塩田朋子がほぼ専属で担当している。
脚注 編集
- ^ “ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)について”. allcinema. 2023年3月17日閲覧。
- ^ a b c d Gilbey, Ryan (2009年1月1日). “All-action heroine” (英語). ガーディアン 2009年7月10日閲覧。
- ^ a b c 瀧川かおり (2023年3月14日). “アジア人初のアカデミー賞主演女優賞受賞! ミシェル・ヨーの女優としての足跡をたどる”. リアルサウンド. 2023年3月17日閲覧。
- ^ a b c “ミシェル・ヨーが語る、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に巡り合うまでの物語”. ローリングストーン (2023年3月13日). 2023年3月17日閲覧。
- ^ “ミシェル・ヨー結婚！元フェラーリCEOジャン・トッド77歳と”. シネマトゥデイ (2023年7月28日). 2023年7月29日閲覧。
- ^ “FIAを率いて11年。フェラーリ全盛期から変わらぬ統率力を発揮し続ける会長／F1レース関係者紹介（8）”. autosport web (2020年6月5日). 2023年3月17日閲覧。
- ^ “ミシェル・ヨー、レジオン・ドヌール勲章を受章”. AFPBB News. (2007年10月4日) 2009年7月16日閲覧。
- ^ “She's Tan Sri Michelle Yeoh now”. Yahoo News. 2013年6月1日閲覧。
- ^ “ミシェル・ヨー、AFIより名誉博士号を授与される アジア人アーティスト初”. シネマカフェ (2022年8月15日). 2023年3月20日閲覧。
- ^ “米誌タイム「今年の人」にウクライナのゼレンスキー大統領”. BBC NEWS JAPAN. (2022年12月8日) 2023年3月20日閲覧。
- ^ “【アカデミー賞速報】主演女優賞はミシェル・ヨー、アジア系の主演賞は史上初”. 映画ナタリー (2023年3月13日). 2023年3月17日閲覧。
- ^ 「アカデミー賞、国際化くっきり アジア人初の主演女優賞」『日本経済新聞』2023年3月17日朝刊、文化面。
- ^ “新ＩＯＣ委員にミシェル・ヨーさんら”. 時事通信 (2023年10月17日). 2023年10月17日閲覧。
- ^ “オスカー俳優ミシェル・ヨーさん 新IOC委員に選出”. AFP通信 (2023年10月17日). 2023年10月17日閲覧。
外部リンク 編集
- ミシェル・ヨー - allcinema
- ミシェル・ヨー - KINENOTE
- Michelle Yeoh - IMDb（英語）
- ミシェル・ヨーのイメージ検索 中国語サイトでのニュース写真、壁紙など
- ミシェル・ヨー Web Theatre（英語）