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ミ=ゴ。

ミ=ゴ(Mi-go)とは、クトゥルフ神話作品に登場する地球外生命体である。

概要編集

宇宙人(エイリアン)の一種。初出は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの小説『闇に囁くもの(執筆1930年2〜9月、発表1931年8月)』で、この時は、雪男、「ユゴスよりのもの(Fungi from Yuggoth)」と呼ばれていた。後発作品の『狂気山脈にて(執筆1931年2月~3月、発表1936年2月)』でも登場した。

ラブクラフトの小説『永劫より(Out of the Eons)』にユゴス星人が登場するが、これは、別の種族と考えられている。またダーレスの小説『風に乗りて歩むもの』にイタクァという雪男(イエティ)も登場するが、これも別の種族と考えられている。

生物的特徴編集

体長は、5フィート(約1.5m)ほど、ピンク色か薄赤色の甲殻類のような姿だが、性質としては菌類に近い生物である。渦巻き状の楕円形の頭には、アンテナのような突起物が幾つか生えている。鉤爪のついた手足を多数持ち、全ての足を使って歩行することも、一対の足のみで直立歩行することも出来る。背中には、一対の蝙蝠のような翼を持ち、この翼は、エーテルに対して作用する特殊な膜で構成され、地球上の大気中より宇宙での使用に適している。

体が地球の生物とは、異なる物質によって構成され、直接見たり触れたりすることはできるが写真等には写らない。また死亡すると1~2時間あるいは、数時間のうちに消滅してしまう。生身の体のまま、宇宙空間での活動が可能であり、自身の翼で星々の間を行き来する。また一種の冬眠状態になって生命活動を中断できる。しかし元来の生活環境に光が存在しなかったため、光を苦手としている。仲間同士では、頭部の変色させたり、ブザー音のような鳴き声かテレパシーで意思の疎通を行うが人間の発声も可能である。『闇に囁くもの』では、彼らの鳴き声が録音されている。

活動編集

本拠地は、遥か彼方の外宇宙あるいは、異次元にある。太陽系では、未知の惑星ユゴス冥王星あるいは、別の惑星)を前哨拠点としている。人間や鉱物資源を採取するために度々地球を訪れている。初めて地球を訪れたのは人類誕生以前ジュラ紀のことで、この時、先住種族である「古のもの」を北半球から駆逐している[1]。現在の地球上では、南北米大陸やヒマラヤ、ネパールなどで活動している。

姿を隠し人間と距離を置いているが、それでも幾つかの目撃例がある。ヒマラヤ雪男の正体は、ミ=ゴだともいわれている。また1927年11月3日のアメリカ合衆国バーモント州の記録的な大洪水の際には、氾濫する河川の中に奇妙な生物の死骸が浮かんでいるのが目撃されている。この地方の山岳部には、それ以前から奇妙な足跡や気味の悪い声についての噂があり、ミ=ゴに関するものと思われる古い伝承も残っている。ペナクック族(Pennacook)によれば、大熊座の方角から彼らがやって来て山から鉱物を採取していったという。

人間に手出しないのは、単に採掘作業を優先しているからであり、必要以上に自分達に近づくものに容赦しない。しかし時には、信頼できる人間を仲間に引き入れることもあるらしい。彼らに協力する人間は、見返りに様々な技術や知識の恩恵を受けることができるという。現在、アメリカ合衆国は、リトルグレイと密約を交わし、人類の拉致などを容認する見返りとして様々な技術提供を受けているが、このリトルグレイは、ミ=ゴが対人インターフェースとして創りだしたロボットであるとされている[2]

月にもコロニーがあり、彼らと協力関係にある人間たちが地下都市で生活している。ここには、シュブ=ニグラスの祭壇がある。

社会・科学技術編集

『闇に囁くもの』では、ニャルラトホテプとシュブ=ニグラスを信仰している描写があり、この点がクトゥルフ神話との関連性として挙げられる。

科学や医学が非常に発達しており外科手術は、頻繁に行われる。通常、テレパシーを使用するため発声器官は、あまり発達していないが、他の種族との会話に対応するための手術も存在する。また生きたまま、人間の脳を摘出し、特殊な円筒に入れて持ち運ぶということも行う。この時、体は、処理が施され、脳が戻るまで老化することもなく生き続ける。円筒を専用の装置に接続すれば、人工的に視覚・聴覚を再現し、会話も可能である。ミ=ゴは、この円筒を自らの最も気に入った個体あるいは、最も軽蔑する相手に対して使用されるとされている[3]

TTRPG「Delta Green」では、科学者、兵士、労働者の3つの階級社会に別れていると設定された。個体としては、ヌガー=クトゥン(N'gha-Kthun)という指揮官が存在するらしい[4]。基本的に彼らは、5対の手足を持ち科学者は、最初の1対を手として使用する。兵士は、必要に応じて翼などを増やすとされる。逆に労働者は、翼や手足を減らす外科手術を受ける。

邪神の崇拝、身体改造を忌避しない点に代表される精神構造が人間と相容れない思想面であるとされている。このため利己的で人間と敵対的な種族として扱われる。

解説編集

ラブクラフトは、チベット語の「Migou」を想像のアイディアにしたとしている。この語は、現地で雪男、山岳部に現れる謎の類人猿のような妖怪という意味で使われる。ラブクラフトは、『闇に囁くもの』の中でネパールの「Migou」とミ=ゴは、同一の存在であると設定している。ミ=ゴが一般に想像される雪男と全く違う姿でありながら作中でそう呼ばれるのは、このためである[5]

脚注・出典編集

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  1. ^ 『ラヴクラフト全集 4』(大瀧啓裕訳、東京創元社、1985年)収録「狂気の山脈にて」248 - 249頁。
  2. ^ Delta Green英語版』(Pagan Publishing社)より。
  3. ^ 『「クトゥルフ神話」がよくわかる本』(PHP文庫、2008年)
  4. ^ 『エンサイクロペディア・クトゥルフ』より。
  5. ^ ミ=ゴという名前が”雪男”を意味する、というラブクラフトの言葉遊び[要出典]

参考文献編集

『ラヴクラフト全集 1』 大西尹明訳、東京創元社、1974年。「闇に囁くもの」が収録されている。