メルリール湖(アラビア語: شط ملغيغ‎, Chott Melrhir, Chott Melghir, Chott Melhir)は、アルジェリアの北東部にある塩湖。面積は季節によって変化するが、最大面積は6,700km2でアルジェリア最大である[3]。名称に含まれるChottは英語の「dry lake」や「salt lake」を意味し、サハラ砂漠地域に多くみられる。

メルリール湖
Chott Melrhir NASA.jpg
衛星写真。中央付近の薄緑/白色がメルリール湖だが、この写真では大部分が干上がっている。左下にはMeorouane湖が黒っぽく映っている。
位置 座標: 北緯34度20分 東経6度20分 / 北緯34.333度 東経6.333度 / 34.333; 6.333
集水域面積 68,750km2[1][2]
流域国 アルジェリア
面積 6,700km2
平均水深 52m
水面の標高 -40m
湖沼型 塩湖
カブリートス島
沿岸自治体 ボカ・デ・カチョン、ラ・デスクビエルタ、ポストレール・リオ、ネイバドゥベルヘヒマニ
Project.svg プロジェクト 地形
テンプレートを表示
アルジェリアの地図。メルリール湖は北東部にある。

地理編集

チュニジア東岸のガベス湾から西方のサハラ砂漠内部に低地が延びている。北アフリカ最大の塩湖であるジェリド湖(チュニジア)を越えて内陸に向かい、低地の最西端にメルリール湖がある。湖面標高は一定ではないが、海抜を下回る-40m(-131ft)であり、湖周辺はアルジェリアの最低地点である[4]。たいていの時期において、湖の東西幅は130kmよりも長い[5]。近隣の都市としては、北東60kmにビスクラがあり、南85kmにはエル・ウェド英語版トゥーグラがある[6]

水文編集

冬の雨季には北や北西から数多くのワジ(雨季のみ水が流れる涸れ川)が流れ、湖はワジから流れ込む水で満たされる。最大のワジはジェディ川とアラブ川であり[2][7]オーレス山地英語版の斜面を西から東に下りながらメルリール湖まで流れる[8]。その他のワジにはアビオド谷やビスクラ谷などがある[1][9]。夏期には湖とほとんどの川が乾きメルリール湖は塩田に変化する[3][10]。湖水の年間蒸発量は9.6km3から20km3の間で変化し、湖近くの土壌からの蒸発は14 km3に達する[2]。メルリール湖の南西に位置する近くのメルアン湖とは、場所によっては4kmという狭さとなる恒久的な乾燥地の筋で隔てられている[6]

地質編集

モロッコからアルジェリア北部にかけて伸びるアトラス山脈が形成される際に大地が圧縮された結果、中新世更新世前期にメルリール湖が形成された[11]。湖底は主に石膏や泥で構成され、夏期は塩で覆われている。湖はニンニクのような臭気を放つ[12]。湖やその周辺の乾燥した土壌は耕地に見えるが、その高濃度の塩分のためにほとんど不毛の土地である。同様の理由で、土壌は一晩かけて多くの水分を取りこみ、一日の大部分は部分的に湿った状態を維持している[13]

気候編集

メルリール湖周辺は暑く乾燥しており、降水量が少なく湖面からの蒸発量が多い。平均最低気温は摂氏11.4度、平均最高気温は34.2度だが、季節によっては最低気温が0度となることもある。年間降水量は160mmを下回る。風速は2.7m/秒から5.3m/秒の間であり、6月から9月には南東に向けて、秋から早春にかけては北西に向けて吹くことが多い。冬と夏には頻繁に砂嵐が起こり、年平均39日も発生する[1][2]

動植物編集

湖の浅瀬は塩水に適応した72種の植物で構成される希少な植物を含んでいる。ヒユ科シーラベンダーイグサアツケシソウフトイなどである。アルジェリアではここにしかない種がいくつかあり、Fagonia microphyllaOudneya africanaZygophyllum cornutumLimoniastrum feiiAmmosperma cinereaなど14種は固有種である[2]。それらは30cmの高さまで成長し、主にアヒルサケイフサエリショウノガンオオフラミンゴなど比較的豊かな鳥類相を形成する[6][14]。湖水は0.4kg/lにも達する高濃度の塩分で満ちており[2]ブラインシュリンプなど少数の動物種しか維持できない[15]。湖周辺ではイノシシゴールデンジャッカルノウサギキツネなどが観察されている[2]。2003年6月、メルリール湖はラムサール条約登録湿地となり、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地として認められた[16]

ギャラリー編集

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ a b c Benkhaled A., Bouziane M.T, Achour B. (June 2008). “Detecting trends in annual discharge and precipitation in the Chott Melghir basin in Southeastern Algeria”. Larhyss Journal 7: 103–119. ISSN 1112-3680. http://www.larhyss.net/pdf/journal/7/8_Benkhaled_et_al_Larhyss_Journal_7_Juin_2008.pdf. 
  2. ^ a b c d e f g Chott Melghir[リンク切れ], Ministere de l’Agriculture. Direction Generale des Forets
  3. ^ a b В. М. Котляков Мельгир Словарь современных географических названий、2003–2006
  4. ^ CIA World Factbook 2010, Book 2010 ISBN 1-60239-727-9, p. 10
  5. ^ Chott Melrhir, Encyclopædia Britannica on-line
  6. ^ a b c Robert Mepham, R. H. Hughes, J. S. Hughes (1992) A directory of African wetlands, IUCN, ISBN 2-88032-949-3 pp. 23–24
  7. ^ Chott Melhrir
  8. ^ Jean-Louis Ballais (French). Des oueds mythiques aux rivières artificielles: l'hydrographie du Bas-Sahara algérien. pp. 107–127. http://physio-geo.revues.org/1173 
  9. ^ Annales des mines: Mémoires, Cadrilian-Gœury et Vor. Dalmont, 1880 pp. 154, 159, 172
  10. ^ Algérie. États et Territoires (in French)
  11. ^ Andrew Goudie (2002) Great warm deserts of the world: landscapes and evolution Oxford University Press, ISBN 0-19-924515-0, p. 113
  12. ^ The Annals and magazine of natural history: zoology, botany, and geology, Taylor and Francis (1871) p. 377
  13. ^ Henry Woodward Geological magazine, Volume 1, Cambridge University Press., 1864, p. 28
  14. ^ Erik Carp (1980) Directory of wetlands of international importance in the Western Palearctic, IUCN, ISBN 2-88032-300-2, p. 28
  15. ^ Samraoui, Boudjéma et al. (2006). “Large branchiopods (Branchiopoda: Anostraca, Notostraca and Spinicaudata from the salt lakes of Algeria”. J. Limnol. 65 (2): 83–88. http://www.iii.to.cnr.it/pubblicaz/jl65_2/02_samraoui.pdf. 
  16. ^ The List of Wetlands of International Importance, p. 5

外部リンク編集