メレテー

ギリシア神話の女神

メレテー古希: Μελέτη, Meletē)は、ギリシア神話女神で、「古きムーサ」とも呼ばれる、三柱のムーサのなかの一柱である。他の女神は、アオイデームネーメーである。

ホメーロスとヘーシオドス 編集

ホメーロスは、ムーサを一柱の詩の女神として呼びかけ歌っている。これが本来の姿であったと考えられる。他方、ムーサたちの数を9柱とし、その名を具体的に列挙したのは、ヘーシオドスで、『テオゴニアー』においてその名を述べている。しかし、詩人の文学的構成とは別に、古代ギリシアの各地に古くから伝わっていた伝承では、ムーサの数はカリスモイライと同様に3柱とされていた。

アルクマーンの言葉 編集

紀元前7世紀古代ギリシア抒情詩人アルクマーンは、ムーサたちが三柱で、その父と母は、ヘーシオドスが述べるようにゼウスムネーモシュネーではなく、ウーラノスガイアであると述べたと古注に記されている。

パウサニアースの記録 編集

パウサニアースもまた『ギリシア案内記』で、ムーサたちの父はウーラノスであると記しており、さらに三柱のムーサの名は、メレテー、アオイデームネーメーであるとしている。ここにおいてメレテーは「古きムーサ」の一人の名であり、その名の意味は「演出」である。

小惑星の名として 編集

1857年に発見された小惑星56番は、この女神の名よりメレテと命名された。

参考文献 編集

  • ホメーロス『オデュッセイア』岩波文庫。
  • ヘシオドス『神統記』岩波文庫。/53-79行/
  • 呉茂一『ギリシア神話』新潮社、1969年版。/148-149頁/

外部リンク 編集