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モキュメンタリー: mockumentary)は、映画テレビ番組のジャンルの1つで、架空の人物や団体、虚構の事件や出来事に基づいて作られるドキュメンタリー風表現手法である。モキュメンタリーは擬似を意味する「モック[1]と、「ドキュメンタリー」のかばん語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。また、「フェイクドキュメンタリー」と呼ばれる場合もある。

概要編集

作風はコメディから、よりもっともらしく捏造されたシリアスなものなど幅広い。しかし、あくまで事実を伝えるドキュメンタリーとして構成していくため、ドキュメンタリーの慣例に則って虚構のインタビューやニュース映像、関係者の証言、関係各位などの感謝の言葉などが織り交ぜられてゆく。

このジャンルの起源は、はっきりとは分かっていない。映像作品以前では1938年に放送され実況中継風の演出が話題となったラジオドラマ『宇宙戦争』が有名だが、映画では1950年代に現れている。1980年代に架空のバンド"スパイナル・タップ"を追ったクリストファー・ゲストの作品『スパイナル・タップ』で有名になった。その後の1990年代には、魔女伝説を扱った低予算映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が興行収入の面で大きな成功を収めた例として挙げられる。

「モキュメンタリー」という言葉は、前述の『スパイナル・タップ』の監督ロブ・ライナーがインタビューで用いた1980年代中頃に大衆化したと考えられている。言葉の確かな初出は分かっていないが[2] 、『オックスフォード英語辞典』には1965年から掲載されている[3]

主な作品編集

映画編集

  • 人間蒸発 - 1967年の日本映画。今村昌平監督。失踪した婚約者を追う女性を描く。公開当時は真贋はぼやかされている。
  • オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ - 1978年のテレビ映画。架空のロックバンド、「ザ・ラトルズ」のメンバーたちを描く。
  • 食人族 - 1983年のイタリア映画。ルッジェロ・デオダート監督。きわめてショッキングな内容と真贋論争が話題となり、モキュメンタリー映画の原点的存在となった。
  • カメレオンマン - 1983年のアメリカ映画。ウディ・アレン監督。ウディ・アレン自身が扮する、特殊能力を持った主人公ゼリグを追った作品。
  • スパイナル・タップ - 1984年のアメリカ映画。ロブ・ライナー監督。架空のロックバンド、「スパイナル・タップ」のメンバーたちを描く。
  • ボブ★ロバーツ - 1992年のアメリカ映画。ティム・ロビンスアメリカ合衆国上院に立候補する政治家を演じた。
  • ありふれた事件 - 1992年のベルギー映画。連続殺人犯の素顔を密着ドキュメンタリー・タッチで描いてゆく作品。
  • 光と闇の伝説 コリン・マッケンジー - 1996年のニュージーランド映画。ピーター・ジャクソンとコスタ・ボーテス監督。20世紀初頭のニュージーランドで世界のあらゆる映画を先取りしたものの歴史の中に消えた伝説の映画監督コリン・マッケンジーを追った作品。
  • アラン・スミシー・フィルム - 1997年のアメリカ映画。
  • ブレア・ウィッチ・プロジェクト - 1999年のアメリカ映画。"ブレア・ウィッチ"の伝説を追う学生をドキュメンタリー・タッチで描いた低予算映画。作品をウェブと連動させ、大ヒットした。
  • ドッグ・ショウ! - 2000年のアメリカ映画。ドッグ・ショーに賭ける人々を描いている。クリストファー・ゲスト監督。
  • みんなのうた - 2003年のアメリカ映画。3組のフォーク・ミュージシャンを追った作品。クリストファー・ゲスト監督。
  • フランキー・ワイルドの素晴らしき世界- 2004年のイギリス・カナダ合作映画。聴覚を失ったDJの物語だが、フランキー・ワイルドという人物は実在しない。
  • ノロイ - 2005年の日本映画。白石晃士監督。
  • ホスピタル - 2005年のアメリカ映画。
  • ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 - 2006年のアメリカ映画。イギリス人コメディアンのサシャ・バロン・コーエンが、カザフスタン人ジャーナリストに扮してアメリカを旅するコメディ。
  • 大統領暗殺 - 2006年のイギリス映画。「もしも(当時在任中の)ジョージ・W・ブッシュ大統領が暗殺されたら」という仮定を元に、架空の米国大統領暗殺事件の真相に迫る。日本では、「ブッシュ暗殺」としていた当初の邦題が映倫に不許可とされ変更となった事が話題となった。冒頭で「この作品はフィクションであり、登場する実際の組織や人物は全て、本作品の内容とは全く無関係である」と明言される、モキュメンタリー映画としては異例の構成になっている。
  • アルマズ・プロジェクト – 2007年のアメリカの映画。
  • パラノーマル・アクティビティ – 2007年のアメリカの映画。ある恋人同士の間に起きる怪現象を描く。オーレン・ペリ監督作品。
  • 大日本人 - 2007年の日本映画。松本人志監督。巨大生物を退治する男へのインタビューという設定。
  • アホリックス リローデッド - 2008年のアメリカ映画。
  • ダイアリー・オブ・ザ・デッド - 2008年のアメリカ映画。ジョージ・A・ロメロ監督。
  • クローバーフィールド - 2008年のアメリカ映画。
  • LOOK - 2008年のアメリカ映画。
  • THE 4TH KIND フォース・カインド – 2009年のアメリカ映画。夫を亡くした心理学者がその死の真相を探り遭遇した事件を、ドキュメンタリーの映像と再現ドラマの映像から描く。事実に基づいた作品であるという宣伝がされていた。
  • パラノーマル・エンティティ – 2009年のアメリカ映画(オリジナルビデオ)。ある家の中で起きる怪現象を描く。シェーン・ヴァン・ダイク監督作品。
  • 狂々スタント狂想曲 - 2010年の日本映画。スタントマンの仕事場や私生活の裏側を描く。
  • 容疑者、ホアキン・フェニックス - 2010年のアメリカ映画。
  • トロール・ハンター – 2010年のノルウェー映画。ノルウェーの田舎町で熊の密猟事件を取材していたとき、伝説の生き物トロールが出現。学生3人はトロールの衝撃的な生態をカメラに収める。
  • シロメ - 2010年の日本映画。白石晃士監督のホラー作品。ももいろクローバー(後のももいろクローバーZ)が映画初出演を果たした。
  • バチアタリ暴力人間 - 2010年の日本映画。
  • エビデンス 第6地区 - 2011年のアメリカ映画。
  • セブン・ナイト・イン・アサイラム - 2011年のアメリカ映画。
  • アパートメント:143 – 2011年のスペイン映画。 妻の死を契機に怪現象に悩まされるようになり、精神科医ヘルザーが率いる超心理学科学者チームに調査を依頼する。
  • スピーク - 2011年のアメリカ映画。
  • アポロ18 - 2011年のアメリカ、カナダ合作映画。隠蔽されていたアポロ18号の記録映像、という体裁で公開された。
  • グレイヴ・エンカウンターズ - 2011年のカナダ映画。
  • デビル・インサイド - 2012年のアメリカ映画。
  • エリア407 絶滅大陸 - 2012年のアメリカ映画。クリスマスに帰省する少女たちを乗せた飛行機が乱気流で墜落。生存者たちは暗闇の向こうにいる凶暴な何かに追いかけられながら外界との連絡を試みようとする中で見たものとは?
  • POV〜呪われたフィルム〜 - 2012年2月18日に公開された日本のホラー映画。
  • V/H/Sシリーズ - オムニバス・ホラー作品
    • V/H/S シンドローム - 2012年のアメリカ映画。
    • V/H/S ネクストレベル - 2013年のアメリカ映画。
    • V/H/S ファイナル・インパクト - 2014年のアメリカ映画。
  • RE-KILL[リ・キル] 対ゾンビ特殊部隊 - 2013年のアメリカ映画。作中のドキュメンタリーテレビ番組「RE-KILL[リ・キル]」がゾンビと戦う軍隊に命がけの密着取材をする。
  • ジャングル-不滅- ※DVDタイトル:ジャングル サバイバル・ゲーム - 2013年のオーストラリアの映画。
  • サクラメント 死の楽園 - 2013年のアメリカ映画(日本では2015年11月28日に公開)。1978年に発生した人民寺院集団自殺がモデルになっている。
  • アンフレンデッド - 2014年のアメリカ映画(日本では2016年7月30日に公開)。全編パソコン上のSNSだけで展開させていく体裁でネットいじめを苦に自殺した少女の呪いが、SNSを通して彼女の幼なじみと友人たちに降りかかるのを描く。
  • シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア - 2014年のニュージーランド映画。ヴァンパイア物ホラー・コメディ。共同脚本・監督のタイカ・ワイティティとジェマイン・クレメントはメインキャストのヴィアゴとブラド役で出演もしている。
  • パラノイアック - 2015年の日本映画。フリーゲームを実写化した作品。
  • search/サーチ - 2018年のアメリカ映画。全編パソコンの画面上で展開されるという体裁で行方不明になった16歳の娘を捜す父親を描く。

テレビドラマ編集

  • 第三の選択 - 1977年にイギリスのアングリア・テレビジョンエイプリルフール向けに製作した番組(実際の放送は6月)。アポロ計画以前から月に基地を建設し、米ソが協力して火星移住計画を進めているという陰謀論を描いた作品。
  • 青春トライ'97 衝撃映像:恐怖のポキノン星人 - 1997年、朝日放送群馬県で放送されたローカル番組という体裁で、夢を追って努力する群馬県在住の青年を追ううちに、地球に多数潜伏している地球外生命体ポキノン星人、果ては人魚やタイムトラベラーを追う話になっていく、長編のコント的な番組。演劇集団「Piper」を結成した川下大洋が、後藤ひろひとに「ニセドキュメンタリーをやろう」と持ち掛けて製作され[4]、出演者は土田英生楠見薫三上市朗久保田浩など、直前まで後藤が団長をしていた劇団遊気舎や劇団M.O.P.に所属する劇団員が中心である[4]。深夜放送にも関わらず、放送した朝日放送に「怖くて眠れない」などの苦情が殺到したという[4]
  • 青春トライ'98 カメラはとらえた!驚異の怪奇現象 ちょろりん小僧の恐怖!/驚愕映像!東西スパイ戦争 - 1998年、朝日放送。コンセプトは前年に製作された『青春トライ'97』を踏襲しており、内容が2本立てになっている。長期入院していた女性の社会復帰を取材している最中、その女性と撮影した写真にその場にいなかったはずのTシャツ姿の青年が写っており、その青年の正体を探る第一話と、四国から東京に家出してきた少女に取材中、その少女がハワイスパイをしていると告白したことから、日本でのスパイ活動の実態を追う第二話から構成される。『青春トライ'97』の出演者やロケ地が再び登場するが、両作を本物のドキュメンタリーと思った視聴者から「去年と同じ人物が死んでいる」と苦情があったという[5]
  • The Office - 2001年BBC製作のコメディ番組。ロンドン郊外の冴えない製紙会社で働く人々を描く。後にアメリカ版も製作された。
  • Opération Lune - 2002年にフランスのArteが製作したアポロ計画陰謀論を描いた作品。実際の発言を編集する事により「政府要人による証言」を捏造している。
  • Konspiration 58 - 2002年にスウェーデン・テレビが製作したテレビ映画1958 FIFAワールドカップは実際、スウェーデン国内で開催しなかったという設定である。
  • 放送禁止 - フジテレビとイーストが製作し2003年から放送。「ある事情で放送禁止となったVTRを再編集し放送する」という設定のドラマ。
  • 行列のできる刑事 - 2008年9月23日に放映された、「世にも奇妙な物語 秋の特別編」のうちの1話。
  • ぜんぶウソ - 2009年に放送されていた日本テレビ製作のバラエティ番組
  • 私のホストちゃん〜しちにんのホスト〜 - テレビ朝日メディアミックス・ジャパン制作。架空のホストクラブ『バニラ』での出来事を放送する。一部実在するホストや元カリスマホストのドキュメンタリーもある。
  • タイムスクープハンター - NHKの歴史教養番組。未来の記者が時を遡って過去の一般人の生活や文化を取材する設定。
  • 豆腐姉妹 - 吉高由里子主演。吉高家の3姉妹という設定の物語で、三女・由里子は本人の日常に密着したというドキュメントスタイルで進行した。
  • 俺たちに明日はある - フジテレビ系列局製作。2014年7月26日に『武器はテレビ。SMAP×FNS27時間テレビ』内で放送。解散という噂が流れたSMAPへの密着取材という設定。
  • She (テレビドラマ) - 2015年、フジテレビ系『土ドラ』(25分バージョン第1弾)として制作。学校で起きた殺人事件の謎をドキュメントタッチで綴るという設定。
  • さすらい温泉♨遠藤憲一 - 2019年、テレビ東京系。遠藤憲一が俳優をやめて派遣の仲居になるという設定。関係者や遠藤本人へのインタビューが挿入される。

漫画編集

その他編集

脚注編集

  1. ^ : mock
  2. ^ Roscoe, Jane; Craig Hight (2001). Faking it: Mock-documentary and the Subversion of Factuality. Manchester University Press. ISBN 0719056411. 
  3. ^ “mockumentary, n.”. Oxford English Dictionary. Oxford University Press. (2010 draft entry). http://dictionary.oed.com 2010年7月28日閲覧。. 
  4. ^ a b c 青春トライ♪ - 川下大洋の「ドナ禁♪」 - yahoo!ブログ”. 2019年8月17日閲覧。
  5. ^ 土田英生を信じるな! - 後藤ひろひとOFFICIAL SITE ひろぐ - yahoo!ブログ”. 2019年8月17日閲覧。

関連項目編集