モノステアリン酸グリセロール

モノステアリン酸グリセロール(Glycerol monostearate, GMS)は、食品乳化剤として用いられるモノグリセリドである[1]。白色無臭で甘い薄片状粉末であり、吸湿性を持つ。化学的には、ステアリン酸グリセロールエステルである。

Glycerol monostearate
Structural formula of 1-glycerol monostearate
1-glycerol monostearate (1-isomer)
Structural formula of 2-glycerol monostearate{{{画像alt1}}}
2-glycerol monostearate (2-isomer)
識別情報
略称 GMS
CAS登録番号 31566-31-1 チェック, 123-94-4, 621-61-4
PubChem (1-): 24699(2-): 79075
ChemSpider (Mix): 23095 チェック
KEGG D01947 チェック
ChEMBL CHEMBL255696 チェック
特性
化学式 C21H42O4
モル質量 358.56 g mol−1
外観 白色固体
密度 1.03 g/cm3
への溶解度 不溶性
危険性
引火点 230 °C (446 °F) (open cup)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造、合成、天然の存在 編集

モノステアリン酸グリセロールには、モノステアリン酸-1-グリセロールとそのエナンチオマー、モノステアリン酸-2-グリセロールの3つの立体異性体が存在する。これらの性質は似ており、通常は混合物として得られる。

食品に用いるものは、野菜動物脂肪由来のトリアシルグリセロールとグリセロールからグリセロリシス反応(グリセロール分解)により作る[2]

天然には、膵リパーゼによる脂肪の分解生成物として、体内で生成する。また、種子からとれる油の中にも非常に低濃度で含まれることがある。

利用 編集

モノステアリン酸グリセロールは、増粘剤、乳化剤、固化防止剤防腐剤等の用途で、食品添加物として用いられる。また、吸湿性粉末の保護、医薬品離型剤樹脂潤滑剤化粧品やヘアケア製品にも使用されている[3]

「こく」を与えるためや老化防止剤として、パン製造では広く用いられている。アイスクリームホイップクリームには、滑らかな食感を与える。

プラスチックに添加すると、帯電防止剤、白化防止剤として作用し、食品用包装材に用いられる。

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ Jens Birk Lauridsen (1976). “Food emulsifiers: Surface activity, edibility, manufacture, composition, and application”. Journal of the American Oil Chemists' Society 53 (6): 400-407. doi:10.1007/BF02605731. 
  2. ^ Sonntag, Norman O. V. (1982). “Glycerolysis of fats and methyl esters - Status, review and critique”. Journal of the American Oil Chemists' Society 59 (10): 795A-802A. doi:10.1007/BF02634442. ISSN 0003-021X. 
  3. ^ Glycerol monostearate Cheminfo