モーゼル
マウザー (ドイツ語: Mauser、ドイツ語発音: [ˈmaʊ̯zɐ] [1])は、1872年にマウザー兄弟が設立した銃器メーカーで、ワルサー社と並ぶドイツの老舗である。ボルトアクションライフルの設計で現代に多大な影響を残した[2]。
種類 | GmbH |
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略称 | マウザー、マウゼル、マウザー・ヴェルケ |
本社所在地 |
![]() 78727 ![]() |
設立 |
1811年7月31日(王立ライフル工場として) 1872年 |
業種 | 機械 |
事業内容 | 銃砲 |
主要株主 | ラインメタル |
関係する人物 | マウザー兄弟 |
外部リンク | http://www.mauser-online.com (廃止) |
特記事項:2004年、ラインメタル武器弾薬社が吸収合併。所在地・電話番号は引き続きマウザー・オベルンドルフ支店 (Niederlassung Mauser Oberndorf) が使用。 |
種類 | GmbH |
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略称 | マウザー、マウゼル |
本社所在地 |
![]() 88316 ![]() |
設立 | 1999年 |
業種 | 機械 |
事業内容 | 小銃 |
主要株主 |
![]() |
外部リンク |
http://www.mauser.com/ http://www.mauserwaffen.de/ (内容は同じ) |
現在は、主流の軍需部門はドイツのラインメタルグループのラインメタル武器弾薬社 (Rheinmetall Waffe Munition GmbH) の一部となり、民生部門はアメリカのSIGARMS傘下のマウザー狩猟武器社 (Mauser Jagdwaffen GmbH) となっている。
歴史編集
1811年、ヴュルテンベルク王国のフリードリヒ1世が、ネッカー川河畔のオベルンドルフの修道院に、王立ライフル工場 (Königliche Württenbergische Gewehrfabrik) を建造した。
この王立ライフル工場で、フランツ・マウザーと、息子の兄ヴィルヘルムと弟パウル(ペーター・パウル)のマウザー兄弟は職工として働いていたが、下記の事情により工場および会社を設立し、王立ライフル工場を買い取った。弟のパウルが銃器の開発・設計を担当し、兄のヴィルヘルムが営業を担当した[2]。
1867年にマウザー兄弟は、ボルト・アクション銃の新しい閉鎖機構を発明し、1868年、特許をアメリカで取得した。アメリカのレミントン社のサミュエル・ノリスが契約をし、レミントン・モーゼル銃を量産した。ノリスは引き続き、ライフルM1878をプロイセン王国の制式銃とする契約を取り付けた。当初は、製造は王立ライフル工場で、マウザーは部品下請けの立場だったが、王立工場の製造能力が追いつかず、マウザーでも製造となった。
1872年(1873年とも)、兄弟はマウザー社を設立し、1874年、王立ライフル工場を買い取った。
1877年の露土戦争で連発式ライフルのウィンチェスターが大戦果を挙げたのを受け、1884年、マウザーも連発式のM71/84を製造した。これを基本設計とした銃が、世界各国で採用され、連発式ライフルの市場を制覇した。
1878年から拳銃の生産を開始したが、初期のモデルのリボルバーC78「ジグザグ」はヒットしなかった。
1889年、ドイツ武器弾薬製造社 (Deutsche Waffen- und Munitionsfabriken A.G.; DWM) に買収された。
1896年には、自動拳銃C96(ブルームハンドル)を開発した。C96はポツダムでドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が試射したエピソードで知られるが、制式採用はされなかった。民間向けでは、ウィンストン・チャーチルが軍籍時代に私物銃として使ったことでも知られる。
1898年、ライフルモデル98を発売した。このモデルは多くの派生モデルを生み、ロングセラーとなった。
2つの世界大戦では、第一次世界大戦のゲヴェーア98、第二次世界大戦のカラビナー98kなど各種の銃が制式採用された。戦間期には、自動車などの民生品も製造した。第二次世界大戦では、戦火による直接の被害は少なかったが、占領中にフランス軍による略奪と破壊で、大きな被害を受けた。
1945年、一度解体されたが、1956年に再建された。なお、この間の1949年に退社したエトムント・ヘッケラーとテオドア・コッホが、1950年にヘッケラー&コッホを設立した。
1995年(ラインメタルの公式年表による。買収は段階的になされたので異なる年を挙げる資料もある)、ラインメタル・ベルリン(現 ラインメタル)に買収され子会社のマウザー製作オベルンドルフ武器システム社 (Mauser-Werke Oberndorf Waffensysteme GmbH) となった。その後は艦砲用機関砲などの重火器が主力製品となる。
1999年、民生用の狩猟銃・スポーツ銃部門がマウザー狩猟武器社 (Mauser Jagdwaffen GmbH) に分社され、2000年にSIGアームズ(現 SIG SAUER)に買収された。
2004年、マウザー製作オベルンドルフ武器システム社はラインメタル武器弾薬社 (Rheinmetall Waffe Munition GmbH) に吸収され、マウザー兄弟が設立したマウザー社は消滅した。
日本における「Mauser」の読み方について編集
「モーゼル」との表記は「Mauser」の実際の発音からはかけ離れており、モーゼル川 (Mosel) のような別の単語と混同される可能性がある。
「モーゼル」は、明治陸軍造兵界での訳出「マウゼル」から来ているものと推測される。このうち「ゼル」の部分については、「ser」を舞台ドイツ語発音に従って読んだものともとれる。「モー」については、ドイツ語の「au」は常に「アウ」のように発音されるので音写ではなく、カナ書きの「マウ」を歴史的仮名遣いと読み違えたなど、日本語独自の訛りに由来するものと思われる。
航空界および戦後防衛産業界では、実際に話されている発音に近い「マウザー」、あるいはかつての正式社名であるマウザー・ヴェルケ(ヴェルケ (Werke) は「製造所」の意味)が使われる事が多い。戦中の例としてはMG151航空機関砲が「マウザー砲」や「マ式」と呼ばれている。
製品編集
拳銃編集
サブマシンガン編集
散弾銃編集
小銃編集
対物ライフル編集
機関銃・機関砲編集
外部リンク編集
- Mauser Waffen: Mauser Sprachwahl - マウザー狩猟武器社公式サイト
- Rheinmetall Waffe Munition GmbH - マウザー本体の後継会社ラインメタル武器弾薬社
- Historie Mauser-Werke Oberndorf Waffensysteme - ラインメタルサイト内の「マウザーの歴史」