ヤマボウシ(山法師、山帽子、学名 Cornus kousa)はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。

ヤマボウシ
Yamabousi tubomieda.jpg
ヤマボウシの花(6月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ミズキ目 Cornales
: ミズキ科 Cornaceae
: ミズキ属 Cornus
亜属 : ヤマボウシ亜属 Benthamidia
: ヤマボウシ B. japonica
学名
Cornus kousa Buerger ex Hance subsp. kousa[1]
シノニム
和名
ヤマボウシ(山法師)
英名
Kousa Dogwood
Japanese Flowering Dogwood

名称編集

和名ヤマボウシの由来は、頭状の花序を僧兵の頭に、総苞片を白い頭巾に見立てた事によるとする説がある[4]

別名ではヤマグワともよばれる[5]。ヤマボウシの日本一の名所といわれる箱根[6]では昔「クサ」と呼ばれていたので学名に kousa とつけられた[4]

分布・生育地編集

日本では本州東北地方南部から九州屋久島まで[5]、および朝鮮半島中国に分布する。山地や野山にふつうに見られる[7]

特徴編集

 
ヤマボウシの未成熟な果実(8月)
 
ヤマボウシの果実(9月)

落葉広葉樹中高木[8][5]。通常高さ5 - 10メートル (m) 、幹の直径50センチメートル (cm) 程度までの小高木だが、稀に高さ20 m、直径1 mに達する。株立ちと1本立ちのものある[8]。幹は灰褐色。は対生し、楕円(だえん)形または卵円形で長さ4 - 12 cm、全縁でやや波打つ。

花期は5 - 7月[7]。白色の花弁に見える総包片が4枚あり、総苞片の中心に淡黄緑色で小さいが、球状になって多数密集する[5]。花形は、ハナミズキ(アメリカヤマボウシ)に非常によく似ている[7]。花付きが良く、満開時は花の重みで枝がしなる[8]

果実集合果で、直径1 - 3 cmで球形、秋(9 - 10月頃)に赤く熟して、粘核性で甘味があり食用になる[5]種子は、大きさ約3ミリメートル (mm) の乳白色で、1果に8粒入っている[5]

栽培編集

西日を嫌うため、敷地の東側から南方に植えて育てられる[7]。本来山の谷筋などに自生する樹木であるので、水はけのよい常に水が存在する場所を好む。栽培する土壌の質は、日なたの適当に湿度を保った砂壌土にして、根は深く張る[8]。植栽適期は2 - 3月[5]、または3月下旬 - 4月上旬か10月中旬 - 11月[8]とされる。樹形は自然に整うが、不要枝を剪定する場合は1月中旬 - 3月中旬に行い、さらに必要なときは9月中旬 - 10月中旬に行う[8]

病気では特に目立ったものはないが、害虫ではアブラムシ、カイガラムシが付くことがあり、すす病(昆虫の排泄物に黒いカビが生えたもの)を誘発する。また、幹に穴を開けて食害するテッポウムシが付くことがあり、注意が必要。

品種編集

品種改良によって、実の大きな品種(ビッグアップル)、斑入りの品種(ウルフアイ)、赤みがかった花をつける品種(源平・サトミ)、黄色の花をつける品種(金陽)などの多彩な種が流通している。 なお、トキワヤマボウシあるいはホンコンエンシスという園芸名で流通している常緑の品種は中国原産のB.hongkongensisである。

利用編集

街路樹・庭園樹・公園樹としても用いられ、あまり大きくならないので庭木に向いている[7]。春に葉に先だって花が咲くハナミズキと異なり、葉が出たあとに花が咲くヤマボウシは、落ち着いた雰囲気を醸す[7]。株立ちは根元まで鑑賞の対象にされる[7]。材は器具材として用いられる。近縁にハナミズキ(アメリカヤマボウシ)があるが、こちらの果実は集合果にならず、個々の果実が分離している。

ヤマボウシは、同じヤマボウシ亜属の近縁種であるハナミズキ(アメリカヤマボウシ)の深刻な病害であるハナミズキ炭疽病に抵抗性がある。ハナミズキ炭疽病の感染地域では、感染によってハナミズキの街路樹が枯死すると、ハナミズキ炭疽病に抵抗性があるヤマボウシまたはハナミズキのヤマボウシ交配品種に植え替える病害対策が行われることがある。

果肉はやわらかく黄色からオレンジ色でありマンゴーのような甘さがある。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感がある。果実酒にも適する。

また、ヤマボウシの果実は食用にできるが、ハナミズキの果実には毒があり食用にできない。この点からも公園など公共の場に植えられているハナミズキがヤマボウシに置き換えらるケースもある。

市町村の木編集

市の木
町の木

脚注編集

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cornus kousa Buerger ex Hance subsp. kousa” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月27日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Dendrobenthamia japonica (Siebold et Zucc.) Hutch.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月27日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Benthamidia japonica (Siebold et Zucc.) H.Hara” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月27日閲覧。
  4. ^ a b 高橋秀男ほか 2012, p. 645.
  5. ^ a b c d e f g 山﨑誠子 2019, p. 192.
  6. ^ 高橋秀男ほか 2012, pp. 642, 644.
  7. ^ a b c d e f g 山﨑誠子 2019, p. 193.
  8. ^ a b c d e f 正木覚 2012, p. 108.

参考文献編集

  • 高橋秀男ほか『山渓ハンディ図鑑4 樹に咲く花 離弁花➁』川畑博高ほか、㈱山と渓谷社、2012年5月1日。
  • 正木覚『ナチュラルガーデン樹木図鑑』講談社、2012年4月26日、108頁。ISBN 978-4-06-217528-9
  • 山﨑誠子『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、192 - 193頁。ISBN 978-4-7678-2625-7

関連項目編集