ヤマユリ(山百合、学名:Lilium auratum)とはユリ科ユリ属の多年生植物。山地に生える日本特産のユリで、夏に咲く花は大型で白く、山中でもよく目立ち、強い芳香を放つ。鱗茎は食用のユリ根になり、別名リョウリユリともよばれている。

ヤマユリ
Lilium auratum1.jpg
ヤマユリ(大阪府2007年7月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: ユリ属 Lilium
: ヤマユリ L. auratum
学名
Lilium auratum Lindl.
和名
ヤマユリ (山百合)
英名
gold-banded lily

名称編集

和名ヤマユリは、山中に生えることからつけられた[1][2]学名は「黄金色のユリ」の意。中国植物名(漢名)は、金百合(きんひゃくごう)、日本漢名では山百合(さんひゃくごう)とよばれる[3]。鱗茎は食用になり、リョウリユリ(料理百合)ともいわれる[3]

地方によって様々な別の呼び名があり、ヨシノユリ(吉野百合、芳野百合)[3]、エイザンユリ(叡山百合)[3]、ホウライジユリ(蓬莱寺百合、鳳来寺百合)[1]などともよばれていて、各産地に因んで名付けられている[1]

花言葉は、「荘厳」である[2]

分布・生育地編集

日本特産のユリ[4]北陸地方を除く本州近畿地方以北の山地に分布し、山地山野の林縁や草地に自生する[4][5]北海道には移入され、観賞用に多く栽培もされる[4][2][5]

特徴編集

地上のは直立し、草丈は1 - 1.5メートル (m) [4][6]。地下の鱗茎扁球形で、黄色をおびた白色、10 cm程の大きさである[4]は深緑色をした広披針形で先は尖り、短い葉柄がついて互生する[4]

花期は夏(7 - 8月)で[6]、茎の先に1 - 数個、ときに20個ほどの白いを横向きに咲かせる[4][2]。花は6つある花被片が、外に弧を描きながら広がって、花径は15 - 18センチメートル (cm) になり[2]ユリ科の中でも最大級であり、その重みで茎全体が弓なりに傾くほどである[4]。花被片の内側中心には黄色の太い筋があり、紅褐色の小さな斑点が散らばる[4]。ヤマユリの変わりものには様々な呼び名がつけられていて、花被片の中央に太い赤色があるものを「紅筋」、斑点が少ない純白の花を「白黄」、花被片の斑点が黄色のものを「白星」という。褐色の花粉が出て、花の香りは日本自生の花の中では例外的ともいえるほど、甘く濃厚でとても強い[4]。発芽から開花までには少なくとも5年以上かかり、また株が古いほど多くの花をつける。風貌が豪華で華麗であることから、「ユリの王様」と呼ばれる。

花後にできる果実蒴果で、長さ6 cmほどの円筒形で3室に分かれている[5]。中には種子が約300個ほど入っていて、熟すと果実が3裂して、風に揺らされて散布される[5]。種子の大きさは、長さ約1 cmの扁平な半円形で、周囲に翼がついており、中心部に楕円形で長さ約5ミリメートル (mm) の種子本体がある[5]。種子は翌年の春に発芽せず、その年の夏を越して秋になってから発芽する[5]

栽培編集

排水が良く湿度を適度に保つ膨軟地を好む性質があり、半日陰で根元が乾燥しない高畦に植栽される[4]繁殖は、鱗茎を分けて植えるか、実生によって行われる[4]

ヤマユリを基に改良した園芸品種は、オリエンタル・ハイブリッドとよばれている[2]

利用編集

食用編集

鱗茎は、オニユリ等と同様にユリ根として食用となる。多糖類の一種であるグルコマンナン(コンニャクにも多く含まれる)を多量に含み、縄文時代には既に食用にされていた。生のユリ根を煮て調理するとき、よく煮ると糊状となり、美味で去痰の効果もある[4]

薬用編集

鱗茎は生薬になり、中国のユリの鱗茎である百合(びゃくごう)の名を、日本産ヤマユリに充てている[4]。調整法は、秋に種子が成熟した後に、鱗茎を掘り採って水洗いした後、鱗茎の裂片をほぐして天日乾燥させる[4]、もしくは湯通しして天日乾燥する[3]鎮咳強壮、口腔内や胃粘膜の保護に役立つとされ、民間療法では、温まるときに出る咳や、微熱があり動悸があるときの不眠に、乾燥したユリ根1日量5 - 10グラムを400 ccで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている[3][4]。ただし、寒気や冷えが出ている咳への使用は禁忌とされている[3]。またおできには、乾燥した百合を粉末にして、で練って患部に貼る民間療法が知られる[3]

その他編集

  • 1873年ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、ヨーロッパで注目を浴びる。それ以来、ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつであった。西洋では栽培品種の母株として重用された。

脚注編集

  1. ^ a b c 大嶋敏昭監修 2002, p. 425.
  2. ^ a b c d e f 主婦と生活社編 2007, p. 121.
  3. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 115.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 馬場篤 1996, p. 112.
  5. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 222.
  6. ^ a b 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0 p. 431

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集