ヤーコン
ヤーコン(英: Yacón、学名: Smallanthus sonchifolius)はキク科スマランサス属[1]の多年草。根にフラクトオリゴ糖が多く、ナシのような食感と甘みがあり、食用にされる。ヤーコンを「アンデス・ポテト」と呼ぶ例もあるが、同じくアンデス産のジャガイモと紛らわしく、不適当である。
ヤーコン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() ヤーコンの貯蔵根
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Smallanthus sonchifolius (Poepp. & Endl.) H. Rob. | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Yacón |
形態・生態編集
この節の加筆が望まれています。 (2013年11月) |
成長すると草丈は1.5-2mにもなる。
根は塊根型の貯蔵根となり、サツマイモのように肥大するが、栄養生殖器官としては機能しておらず、これだけ植えても芽(不定芽)は出ない。同じキク科のダリアと同様、塊根を生じる地下茎の芽(鱗片葉の腋芽)とセットになって、これに発芽時の栄養分を供給する働きを持つ。ただし、ダリアと異なり地下茎の芽は塊茎状に発達し、これ単独でも発芽して成長することができる。
分布編集
日本に最初に導入されたのは、1970年代に南米から朝鮮民主主義人民共和国を経由したものであったが、定着しなかった。その後、1985年にニュージーランドで栽培されていたものが1万株輸入され、現在日本で栽培されているものはこれから増殖されたものである。最近、この苗の原種はペルーから無断で持ち出されたものであるとして、各所にペルー政府から警告書が届いている。日本での栽培普及は、茨城大学農学部の月橋輝男らの研究グループの、機能性食品としての研究活動と深く結びついており茨城県阿見町で日本で初めて栽培に成功した。その後、日本各地でも栽培と、食品としての利用が広がりつつある。
人間との関わり編集
アンデス山脈一帯では、伝統的に先住民によって、よく知られたナス科のジャガイモのほか、カタバミ科など様々な科にまたがった芋状の根菜類が栽培化されてきたが、ヤーコンもそのひとつである[2]。
塊根は貯蔵栄養素としてデンプンではなくフラクトオリゴ糖を大量に蓄積しており、収穫後1-2か月の保存によって分解してオリゴ糖となり、甘みが生じる。生で食べると、かすかにポリフェノールに起因する渋みを感じるものの、甘くしゃきしゃきした、ナシの果実に近い食感を持つ[3]。そのため生食もされ、中華人民共和国では「雪蓮果」の商品名で主に果実店で売られている。また、炒める、煮る、揚げるなどの加熱調理もされる。加熱すると、加熱したヤマイモに似た食感となる。
食用としての伝統は日本では浅いため、食材そのものとしてよりも、豊富に含まれるフラクトオリゴ糖が乳酸菌の増殖に寄与する、プロバイオティクスの整腸作用や、作用メカニズム不明の血糖値抑制効果などの健康に対する効果が注目され、一種の機能性食品と扱われる傾向が強い。
農村の地域おこしのための特産品として、ヤーコン自体やそれを使用した食品の商品化が進められている地域もある。茨城大学農学部がある茨城県阿見町では、1999年より「あみだいち(ヤーコンマドレーヌ)」、「あみそだち(ヤーコンブッセ)」、「ヤーコン健康まんじゅう」「ヤーコンリーフサブレ」、「ヤーコンパウンドケーキ」、「ヤーコンかき揚げそば」「ヤーコンかき揚げ丼」などが販売されている。また、つくば市では、乾燥ヤーコンや水出しヤーコン茶などの製品化に成功した。北海道置戸町では発泡酒「ヤーコンドラフト」を開発し、販売している。福島県天栄村でも三大特産品としてPRしておりヤーコン茶やヤーコンうどん、ヤーコンカレーなどを販売している。大阪府豊能町でもヤーコンの特産品化計画が進められている。
葉もプロトカテク酸、クロロゲン酸、コーヒー酸、フェルリン酸などを含み、プロバイオティクスに役立つと考えられ、煎じて一種のハーブティーとして利用される。
脚注編集
参考文献編集
- 『地域食材大百科 第1巻(穀類・いも・豆類・種実)』農山漁村文化協会編、農山漁村文化協会、2010年。ISBN 978-4-540-09261-9。
関連項目編集
外部リンク編集
- "Smallanthus sonchifolius (Poepp. & Endl.) H. Rob". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2013年11月16日閲覧。 (英語)
- "Smallanthus sonchifolius". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Smallanthus sonchifolius" - Encyclopedia of Life (英語)
- ヤーコンネットワーク 茨城大学農学部 (旧サイト ヤーコン研究会)
- ヤーコン、アンデスポテト - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)