ユー・リアリー・ガット・ミー

ユー・リアリー・ガット・ミー」(You Really Got Me)は、ロックバンド、キンクスの楽曲。レイ・デイヴィス作。1964年の8月にシングルが発売され、全英ナンバー1に輝いた。この曲のヒットでバンドはブレイクを果たし、アメリカのチャート7位を記録し、ブリティッシュ・インヴェイジョンの代表的バンドのひとつとしての地位を確立した。その後、この曲はデビュー・アルバム『キンクス』に収録された。

ユー・リアリー・ガット・ミー
キンクスシングル
初出アルバム『キンクス
B面 それでいいのさ
リリース
録音 1964年7月
イギリスの旗イギリス ロンドン
IBCスタジオ
ジャンル ロック
時間
レーベル パイ
作詞・作曲 レイ・デイヴィス
プロデュース シェル・タルミー
キンクス シングル 年表
ユー・スティル・ウォント・ミー
(1964年)
ユー・リアリー・ガット・ミー
(1964年)
オール・オブ・ザ・ナイト
(1964年)
ミュージックビデオ
「You Really Got Me」 - YouTube
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「ユー・リアリー・ガット・ミー」はパワーコードによって成立しているヒット曲の嚆矢であり[1]、後のロックンロール(特にヘヴィメタル)のミュージシャン達に非常に大きな影響を与えた。アメリカの音楽学者 Robert Walser は、この曲を「ヘヴィメタルを発明した作品」だといい[1]オールミュージックDenise Sullivan も「『ユー・リアリー・ガット・ミー』は、ハードロックヘヴィメタルにとって理想の曲であり続ける」と記している[2]

ローリング・ストーン(Rolling Stone)』誌が選んだ「オールタイム・グレイテスト・ソング500」と「オールタイム・グレイテスト・ギター・ソングス100」に於いて、それぞれ80位[3]と4位[4]にランクイン。

目次

歴史編集

「ユー・リアリー・ガット・ミー」は1964年の夏に録音されたが、この形に落ち着くまで様々なスタイルで演奏され試行錯誤が繰り返された。当時のキンクスは、それまでに出した2枚のシングルがチャート入りせず、ヒットを望む所属レコード会社のパイから大変なプレッシャーを受けていた。特にレイ・デイヴィスは、マネージャーやレコード会社に対して、画期的なサウンドとスタイルを作り出すために必要な時間と費用の提供を粘り強く働きかけていた。この曲を作るための作業を通じて、レイ・デイヴィスはバンドのリーダー、そして中心的なソングライターとしての実質を備えていった。

後のロックに大きな影響を与えたギターのディストーションサウンドは、ギタリストのデイヴ・デイヴィスギターアンプについているスピーカー振動板を剃刀で切り裂き、ピンで突き刺したことによって得られたものである[2]。このアンプは、デイヴィスが近所の楽器屋で購入したエルピコ社製のアンプの名前からとって"リトル・グリーン"の愛称で呼ばれていた。

この曲のギターソロに関する逸話は、ロックンロールの歴史の上でもっとも論議を呼びやすいもののひとつで、今日まで延々と繰り返され続けている。つまり、ギターソロを演奏しているのはキンクスのリードギタリスト デイヴ・デイヴィスではなく、当時セッションプレイヤーだったジミー・ペイジだったのではないかという噂である。この曲に熱中する多くの人々が主張してきたように、ギターソロはデイヴ・デイヴィス本人(当時17歳だった)が実際に演奏したものだと言われている。しかしそれでも、「ギターソロはジミー・ペイジによるもの」という噂は何十年にも亘り、広まり続けてきた[5]。 実際のところ、ペイジはキンクスのプロデューサー シェル・タルミーに雇われ、キンクスのファースト・アルバム『キンクス』の中の一部の曲にリズムギタリストとして参加していた。しかし、ペイジの参加したセッションは「ユー・リアリー・ガット・ミー」のセッションから数週間後に行なわれているのである。ペイジはいつも、この曲のギターソロを演奏したというエピソードを否定している。1977年のインタビューでは、「俺は『ユー・リアリー・ガット・ミー』では演奏していないよ。そんな噂は彼(レイ・デイヴィス)を怒らせる」とまで話している。 ロック歴史家のDoug Hinmanは、この噂をでっち上げ、広めたのはイギリスリズムアンドブルースミュージシャン達ではないかという説を提唱している。彼らの多くは、キンクスのようなティーンネイジャーの成り上がりバンドが、ここまでパワフルで、影響力を持ちうるブルースベースの楽曲を作り出せるわけがないと憤っていたのである。

「ユー・リアリー・ガット・ミー」のレコーディングには、何人かのセッションプレイヤーが参加している。ピアノは、ディープ・パープルジョン・ロード[6]か、アーサー・グリーンスレイドによるものである[7]。またレイ・デイヴィスは、自分のリズムパートをダブリング録音するために「Vic」というセッションギタリストが参加していたが、彼はペイジとは別人だったとインタビューで応えている。ドラムのパートは、プロデューサーのシェル・タルミーの指示により、キンクスのメンバーであるミック・エイヴォリーではなく、セッションドラマーのボビー・グレアムが叩いている。グレアムは初期キンクスのレコーディングでメインのドラムパートを演奏し続けた。面白いことに、ジョン・ロードシェル・タルミーも「ユー・リアリー・ガット・ミー」のセッションにジミー・ペイジが参加していたと主張している。タルミーによればペイジはリズムギター[8]、ロードによればギターソロを担当したという[9]

レイ・デイヴィスによれば、この曲の特徴的なリフキングスメンの曲「ルイ・ルイ」を弾いているときに思いついたのだという。歪ませたギターでリフを弾く手法は、「オール・オブ・ザ・ナイト」「ウェイティング・フォー・ユー」「セット・ミー・フリー」などといった、その後のキンクスの楽曲でも使い続けられている。ザ・フーピート・タウンゼントは、ザ・フーの最初のシングル「アイ・キャント・エクスプレイン」は、当時のキンクスのサウンドに意図的に似せたものだと話している(ザ・フーも、シェル・タルミーのプロデュースを受けていた)。

キンクスは、30年以上に亘る活動の中、様々なスタイルの音楽を発表してきたが、コンサートではいつも「ユー・リアリー・ガット・ミー」が演奏されてきた。レイ・デイヴィスデイヴ・デイヴィスも、ソロ名義でのコンサートで(大抵は締めくくりの曲として)この曲を演奏しつづけている。

カヴァー版編集

13thフロア・エレベーターズ、1966年

13thフロア・エレベーターズが66年にカバーしている。[10]アルバム『The Psychedelic Sounds of the 13th Floor Elevators』の2003年再発盤にライブバージョンを収録。

モット・ザ・フープル、1969年

モット・ザ・フープルのデビュー・アルバムにインストゥルメンタルバージョンを収録。[10]

801、1976年

ロキシー・ミュージックフィル・マンザネラブライアン・イーノらが結成したスーパーグループ、801のデビューアルバム『801 Live』にカバーバージョンが収録。[10]

ロバート・パーマー、1978年

ロバート・パーマーの1978年のソロアルバム『ダブル・ファン』にカバーバージョンを収録。アルバムはビルボードのTOP50にランクインしている。[10]

ヴァン・ヘイレン、1978年
ユー・リアリー・ガット・ミー
ヴァン・ヘイレンシングル
初出アルバム『炎の導火線
B面 アトミック・パンク
リリース
録音 1977年9月 - 10月
ジャンル ハードロックヘヴィメタル
時間
レーベル ワーナー・ブラザース・レコード
作詞・作曲 レイ・デイヴィス
プロデュース テッド・テンプルマン
ヴァン・ヘイレン シングル 年表
ユー・リアリー・ガット・ミー
(1978年)
悪魔のハイウェイ
(1978年)
ミュージックビデオ
「You Really Got Me」 - YouTube
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アメリカハードロックバンド ヴァン・ヘイレンが1978年のデビューアルバム『炎の導火線』に収録したバージョン[10]は、この曲のカバーのなかでは恐らく最も有名なものだろう。この曲はラジオ上でヒットし、14年前のキンクスのときと同様、バンドの好調な滑り出しを後押しした。[11]ラジオのオンエアでは、アルバムでこの曲の直前に収録されているインストゥルメンタル「暗闇の爆撃」と一緒に流されることが多かった。[12]

このバージョンは、日産・スカイライン(R34)やスズキ・スイフトスポーツCMでも用いられている。

オインゴ・ボインゴ、1981年

アメリカニューウェーブバンド オインゴ・ボインゴによる1981年のカヴァー・バージョンはオリジナル版からずいぶんかけ離れており、ディーヴォが行なったようなカヴァーのスタイルと近いものがある。デビュー・アルバムの「オンリー・ア・ラッド」に収録。[10]

スライ&ザ・ファミリー・ストーン、1983年

スライ&ザ・ファミリー・ストーンが、最後のスタジオ・アルバム『エイント・バット・ザ・ワン・ウェイ』にてカヴァー。[10]

メタリカ、2009年

マディソン・スクエア・ガーデンで行なわれたロックの殿堂25周年記念コンサートにて、メタリカのステージにレイ・デイヴィスがゲスト出演、「オール・オブ・ザ・ナイト」と共にセッションした。

チャート成績編集

ビルボードの集計。

シングル チャート 順位
1964年 "ユー・リアリー・ガット・ミー" by キンクス Pop Singles 7位
1978年 "ユー・リアリー・ガット・ミー" by ヴァン・ヘイレン Pop Singles 36位

脚注編集

  1. ^ a b Walser, Robert (1993). Running with the Devil: Power, Gender, and Madness in Heavy Metal Music, p.9. Wesleyan University Press. ISBN 0819562602.
  2. ^ a b Review of "You Really Got Me", Denise Sullivan, Allmusic, All Music.com
  3. ^ [1]
  4. ^ [2]
  5. ^ http://www.rockhall.com/inductees/led-zeppelin Rock and Roll Hall of Fame: Led Zeppelin
  6. ^ Jon Lord Official Fan Site - Pictured Within www.picturedwithin.com
  7. ^ Ray Davies Unravels The Kinks Interview, Bill Holdship, CREEM Magazine, December 1981. Retrieved 2009-09-29
  8. ^ Full interview transcript with Shel Talmy, producer of the Who and Kinks, Richie Unterberger, richieunterberger.com
  9. ^ Jon Lord's Purple Reign Joe Lalaina, Modern Keyboard Magazine, January, 1989
  10. ^ a b c d e f g Recorded Performances of "You Really Got Me" from Allmusic The Guide 2008 lists Tommy Angelo, Pimpi Arroyo, Big Al & the Atomsmashers, The Blizzards, Bloomsbury Pops, Boy Howdy, Marty Casey, Los Chicos, David Clay, Alan Clayson & the Argonauts, Combination No. 10, Daddy Mack Blues Band, Dalek I Love You, Paul Di'Anno, Dianno, Dirty Tricks, Doctor Mix & the Remix, Eclipse, 801, Eve 6, Forcefield, Friar Tuck and The Monks, Girl, The Gonn, Herb Gross & the Invictas, Charlie Haas, The Hammersmith Gorillas, Happy Schnapps Combo, Heavy Cruiser, Hexstatic, Hit Crew, Jive Bunny and the Mastermixers, Jerry Wayne Jodice, Juggernaut Jug Band, Seth Kibel, The Knickerbockers, the London Symphony Orchestra, Lords of the New Church, Wayne Morris, Mott the Hoople, Negative Ken, Bill Nighy, No Mercy, Oingo Boingo, Los Pacificos, Jimmy Page, Robert Palmer, Patron Saints (band), Iggy Pop, Radio Cult, Retros, Robots in Disguise, Rosetta Stone (band), Helen Schneider, Siggi Schwarz, Silicon Teens, Skeletal Earth, スキッド・ロウ, スライ&ザ・ファミリー・ストーン, The Small Faces, Smart Alec, The Smithereens, Stackwaddy, ザ・ストゥージズ, Studio 99, Sugar Beats, Gina T., 13th Floor Elevators, Thundermug (band), Tight Fit, Tom Baker, Toots & the Maytals, ヴァン・ヘイレン, Venus in Bluejeans, Mariska Veres, Vintage Buzz, Warfare, WaveGroup, The West Coast Pop Art Experimental Band, and The Wilde Flowers.
  11. ^ Rock & Roll Hall Of Fame Inductee 2007 - Van Halen March 12, 2007 retrieved May 8, 2009
  12. ^ http://forum.guitarherogame.com/Default.aspx?g=posts&t=6745, retrieved 2009-01-29.