ヨエニス・セスペデス

キューバの野球選手 (1985 - )

ヨエニス・セスペデス・ミラネスYoenis Céspedes Milanés, 1985年10月18日 - )は、キューバグランマ州カンペチュエラ出身の元プロ野球選手外野手)。右投右打。愛称はスペイン語でザ・パワーを意味するラ・ポテンシア[1]

ヨエニス・セスペデス
Yoenis Céspedes
ニューヨーク・メッツ時代
(2015年10月26日)
基本情報
国籍ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国に亡命)
出身地  キューバ
グランマ州カンペチュエラ
生年月日 (1985-10-18) 1985年10月18日(38歳)
身長
体重
5' 10" =約177.8 cm
220 lb =約99.8 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 外野手
プロ入り 2012年 アマチュアFA
初出場 2012年3月28日
最終出場 2020年8月1日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム キューバの旗 キューバ
WBC 2009年2023年

弟のヨエルキ・セスペデスもプロ野球選手(外野手)。代理人は、ラッパージェイ・Zが経営するロック・ネーション・スポーツ英語版[2]

経歴 編集

キューバ時代 編集

キューバの名門体育大学であるマニュエル・ファハルド国立体育大学を卒業。

2003年より、キューバ国内リーグであるセリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルアラサネス・デ・グランマに所属。

2007年には2007年パンアメリカン競技大会野球キューバ代表に選出された。

2009年第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)キューバ代表に選出された[3]。同大会では、全試合に出場し、大会通じて打率.458、2本塁打、5打点の活躍で大会ベストナインに選ばれる。第2ラウンドの日本戦では小笠原道大の打球を落球した。

国内リーグでは、2010-2011シーズンにおいて打点王本塁打王ホセ・アブレイユと同本数)に輝いた。

2011年11月にドミニカ共和国亡命した。

アスレチックス時代 編集

 
オークランド・アスレチックスでの現役時代
(2012年4月27日)

2012年2月13日にオークランド・アスレチックスと総額3600万ドルの4年契約を結んだ。この契約は2003年にホセ・コントレラスニューヨーク・ヤンキースと結んだ、4年契約総額3200万ドルを抜いて亡命キューバ選手としての過去最高額となった。この年は129試合に出場して打率.292、23本塁打、82打点などの成績を残した[4]

2012年3月28日に日本東京にある東京ドームでのシアトル・マリナーズとのMLB日本開幕戦でメジャーデビューを果たした。最終的にア・リーグ新人王投票では、2位19票3位6票で計63票を獲得し、全体では2位となった[5][6]

2013年オールスターゲームに選出されなかったものの、前日に開催されたホームランダービーに選出され[7]、優勝した。この年は135試合に出場して打率.240、26本塁打、80打点、7盗塁を記録した。

2014年は初めてオールスターゲームに選出された。前日に開催されたホームランダービーに2年連続2度目の出場を果たし、1999年ケン・グリフィー・ジュニア以来史上2人目の連覇を達成した。

レッドソックス時代 編集

 
ボストン・レッドソックスでの現役時代
(2014年9月19日)

2014年7月31日にジョン・レスタージョニー・ゴームスとのトレードで、ボストン・レッドソックスへ移籍した[8]。この年は自己最多となるシーズン通算152試合に出場した。本塁打は自己最少の22に留まった一方で、36二塁打・6三塁打はいずれも自己最多となった。また得点圏打率.309を記録し、MLB移籍後では初となるシーズン100打点を挙げた。

タイガース時代 編集

 
デトロイト・タイガースでの現役時代
(2015年7月30日)

2014年12月12日にリック・ポーセロとのトレードで、アレックス・ウィルソンゲイブ・スパイアーと共にデトロイト・タイガースへ移籍した[9]

2015年左翼手のレギュラーで起用される。102試合に出場で打率.293、28二塁打、18本塁打、61打点を記録した。左翼の守備は99試合で守りに就き、5失策を犯して守備率.977だった。

メッツ時代 編集

2015年7月31日にマイケル・フルマールイス・セッサとのトレードで、ニューヨーク・メッツに移籍した[10][11]。メッツでは57試合に出場し、打率.287、17本塁打、44打点、長打率.604を記録。特に本塁打は、タイガース比でマイナス45試合にもかかわらず、1本少ないだけというハイペースだった。守備は左翼手と中堅手を守り分けた。2チーム計での打撃成績は、159試合で打率.291、35本塁打、105打点、7盗塁。オフの11月2日にFAとなった[12]

2016年1月26日にメッツと総額7500万ドルの3年契約(2016年オフに契約破棄が可能)を結んだ[13]。シーズンでは開幕から安定した成績を残し、前半戦を打率.302、リーグ5位タイの21本塁打を記録して、自身2度目のオールスターゲームにファン投票で選出された。この年は132試合の出場で、打率.280、31本塁打、86打点だった。オフに残りの2年契約を破棄し[14]、FAとなった。球団は1720万ドルのクオリファイング・オファーを提示した[15]が、11月14日に拒否した[16]。11月30日に4年1億1000万ドルでメッツと契約を結んだ[17]

2017年4月11日のフィラデルフィア・フィリーズ戦では3本塁打を放ったが、同27日のアトランタ・ブレーブス戦で左ハムストリングの張りを起こして故障者リスト入り[18]。5月10日に復帰したが、8月25日のワシントン・ナショナルズ戦には右脚のハムストリングを負傷して、そのままシーズンを終えた。81試合の出場に留まった。

2018年は開幕から出場し、4月18日のナショナルズ戦では満塁本塁打を記録した。しかし5月中旬に股関節屈筋の故障で故障者リスト入り。復帰戦となった7月20日のニューヨーク・ヤンキース戦で本塁打を打つも、試合後に石灰化した両足の踵の手術の可能性について明かし[19]、同25日に手術を受けることをGM補佐が明らかにした[20]。38試合の出場に終わった。

2019年は両踵手術から回復中の5月18日にフロリダ州にある自身の牧場で地面の穴にはまり、激しく転倒[21]。足をひねり、負傷した足首を骨折して全休した[22]。オフに翌年の契約を見直し、もともと2950万ドルだった基本給を大幅減の600万ドルにすることに合意した[23]

2020年は2年ぶりにMLBの試合に出場。しかしシーズン途中にシーズン辞退を表明した。以降、試合に出場することはなく、8試合の出場に留まった。オフの10月28日にFAとなった[24]

2022年オフはドミニカ共和国のウィンターリーグ・リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・デ・ラ・レプブリカ・ドミニカーナアギラス・シバエーニャスでプレーした[25]

人物 編集

母親のエステラ・ミラネス(Estela Milanés)は、元ソフトボール選手であり2000年シドニーオリンピックではキューバ代表(投手)で出場した。弟はヨエルキ・セスペデスで2019年6月にキューバから亡命したプロ野球選手である。

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2003-2004 GRA 84 332 288 50 87 17 7 9 145 42 3 3 5 2 28 0 9 65 3 .302 .382 .503 .885
2004-2005 89 396 339 69 106 22 5 15 183 51 5 2 2 4 34 4 17 59 10 .313 .403 .540 .943
2005-2006 88 398 339 89 119 24 4 23 220 78 8 3 0 2 44 12 13 43 16 .351 .444 .649 1.093
2006-2007 89 400 340 79 103 24 3 17 184 66 15 10 1 3 42 14 14 53 10 .303 .402 .541 .943
2007-2008 89 403 366 82 104 16 2 26 202 78 4 4 0 3 32 6 2 50 8 .284 .345 .552 .897
2008-2009 85 387 328 83 106 19 0 24 197 76 4 4 0 6 43 2 10 40 15 .323 .417 .601 1.018
2009-2010 87 392 342 87 118 19 4 22 211 67 5 3 0 1 42 4 7 45 10 .345 .426 .617 1.043
2010-2011 90 415 354 89 118 17 1 33 236 99 11 3 0 3 49 5 9 40 17 .333 .424 .667 1.091
2012 OAK 129 540 487 70 142 25 5 23 246 82 16 4 0 3 43 5 7 102 9 .292 .356 .505 .861
2013 135 574 529 74 127 21 4 26 234 80 7 7 0 3 37 5 5 137 8 .240 .294 .442 .737
2014 101 432 399 62 102 26 3 17 185 67 3 2 0 4 28 3 1 80 8 .256 .303 .464 .767
BOS 51 213 201 27 54 10 3 5 85 33 4 0 0 3 7 0 2 48 5 .269 .296 .423 .719
'14計 152 645 600 89 156 36 6 22 270 100 7 2 0 7 35 3 3 128 13 .260 .301 .450 .751
2015 DET 102 427 403 62 118 28 2 18 204 61 3 4 0 4 19 2 1 87 9 .293 .323 .506 .829
NYM 57 249 230 39 66 14 4 17 139 44 4 1 0 1 14 3 4 54 5 .287 .337 .604 .942
'15計 159 676 633 101 184 42 6 35 343 105 7 5 0 5 33 5 5 141 14 .291 .328 .542 .870
2016 132 543 479 72 134 25 1 31 254 86 3 1 0 6 51 8 7 108 14 .280 .354 .530 .884
2017 81 321 291 46 85 17 2 17 157 42 0 1 0 2 26 5 2 61 7 .292 .352 .540 .892
2018 38 157 141 20 37 6 0 9 70 29 3 0 0 2 13 2 1 50 1 .262 .325 .496 .821
2020 8 34 31 3 5 1 0 2 12 4 0 0 0 0 2 0 1 15 1 .262 .325 .496 .821
CNS:8年 611 3123 2342 539 743 141 25 136 1342 458 44 29 8 21 265 42 72 355 72 .317 .403 .573 .976
MLB:8年 834 3490 3191 475 870 173 24 165 1586 528 43 20 0 28 240 33 31 742 67 .273 .327 .497 .824
  • 各年度の太字はリーグ最高
  • キューバで通常用いられる個人通算成績は、プレーオフや選抜リーグなども合算するため、この表の合計とは一致しない[26]

WBCでの打撃成績 編集

















































2009 キューバ 6 25 24 5 11 1 3 2 24 5 0 0 0 0 1 0 0 5 2 .458 .480 1.000
2023 2 8 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 .000 .250 .000
  • 太字は大会最高

年度別守備成績 編集



左翼(LF) 中堅(CF)
























2012 OAK 56 93 6 3 0 .971 48 128 3 0 0 1.000
2013 94 187 9 4 1 .980 18 37 1 0 0 1.000
2014 82 135 12 3 0 .980 9 9 0 1 0 .900
BOS 43 81 4 2 0 .977 -
'14計 125 216 16 5 0 .979 9 9 0 1 0 .900
2015 DET 99 204 9 5 1 .977 -
NYM 35 43 1 0 0 1.000 40 81 3 2 0 .977
'15計 134 247 10 5 1 .981 40 81 3 2 0 .977
2016 80 135 4 4 0 .972 63 115 5 1 0 .992
2017 74 137 6 6 1 .960 -
2018 35 63 4 0 0 1.000 -
MLB 598 1078 55 27 3 .977 178 370 12 4 0 .990

表彰 編集

記録 編集

背番号 編集

  • 52(2012年 - 2018年、2020年)

代表歴 編集

脚注 編集

  1. ^ Explaining Mets Players Weekend nicknames MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月28日閲覧
  2. ^ 今どきのFA選手の売り込みはクリエーティブに 日刊スポーツ (2015年12月7日) 2016年1月20日閲覧
  3. ^ 2009 Tournament Roster[リンク切れ] The official site of World Baseball Classic (英語) 2015年11月29日閲覧
  4. ^ Yoenis Céspedes”. sports.yahoo.com. 2012年11月13日閲覧。
  5. ^ Cespedes runner-up in AL Rookie of Year voting” (英語). MLB.com (2012年11月12日). 2012年11月13日閲覧。
  6. ^ ダルビッシュ、新人王逃す エンゼルス・トラウトら受賞”. 朝日新聞デジタル (2012年11月13日). 2012年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月13日閲覧。
  7. ^ Jane Lee (2014年7月10日). “Cespedes added to AL Home Run Derby team” (英語). MLB.com. 2016年1月28日閲覧。
  8. ^ "Red Sox Acquire OF Yoenis Cespedes and Competitive Balance Draft Pick from Athletics for LHP Jon Lester and OF Jonny Gomes". MLB.com (Press release) (英語). 31 July 2014. 2016年1月28日閲覧
  9. ^ In separate deals, Tigers land Cespedes, Simon
  10. ^ “メッツ、タイガースからキューバの大砲Y.セスペデスを獲得”. Yahoo! Japanニュース. ISM (Yahoo! Japan). (2015年8月1日). オリジナルの2015年8月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150803022332/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150801-00000211-ism-base 2016年1月28日閲覧。 
  11. ^ Detroit Tigers Acquire Michael Fulmer and Luis Cessa from New York Mets in exchange for Yoenis Cespedes” (英語). MLB.com (2015年7月31日). 2016年1月28日閲覧。
  12. ^ Transactions | mets.com” (英語). MLB.com (2015年11月2日). 2016年1月28日閲覧。
  13. ^ Cash Kruth (2016年1月26日). “Yo know it! Cespedes' NY return now official” (英語). MLB.com. 2016年1月28日閲覧。
  14. ^ Anthony DiComo (2016年11月6日). “Cespedes reportedly opts out of contract” (英語). MLB.com. 2016年11月15日閲覧。
  15. ^ "Mets roster moves" (Press release). MLB.com (New York Mets). 7 November 2016. 2016年11月15日閲覧
  16. ^ Steve Adams (2016年11月14日). “Yoenis Cespedes To Reject Qualifying Offer”. MLB Trade Rumors. 2016年11月15日閲覧。
  17. ^ Anthony DiComo (2016年11月30日). “Cespedes, Mets strike 4-year deal”. MLB.com. 2016年12月1日閲覧。
  18. ^ Cespedes placed on DL with pulled hamstring”. MLB.com. 2019年11月21日閲覧。
  19. ^ メッツの強打者ヨエニス・セスペデス、両踵の手術を決断へ”. www.sportingnews.com. 2019年11月21日閲覧。
  20. ^ メッツ・セスペデスが手術へ、来季に影響の可能性も”. nikkansports.com. 2019年11月21日閲覧。
  21. ^ “MLB=メッツのセスペデス外野手、転倒して足首を複雑骨折”. Reuters. (2019年5月21日). https://jp.reuters.com/article/mlb-mets-cespedes-idJPKCN1SR083 
  22. ^ 故障まみれの“不良債権”セスペデスに復活の日は来るのか。削除された動画に打撃練習の様子”. ベースボールチャンネル. 2019年11月21日閲覧。
  23. ^ メッツ・セスペデス 基本給は2350万ドル減の600万ドルに”. Yahoo!ニュース. 2020年2月18日閲覧。
  24. ^ Manny Randhawa and Paul Casella (2020年11月16日). “2020-21 free agents, position by position” (英語). MLB.com. 2020年11月18日閲覧。
  25. ^ 注目集めるWBCキューバ代表、セスペデスも出場表明 メッツなどで活躍 地元メディア報道”. nikkansports.com. 2023年1月29日閲覧。
  26. ^ Federación Cubana de Béisbol Aficionado - Cronología Archived 2013年11月1日, at the Wayback Machine.
  27. ^ “メジャーリーグ シルバースラッガー賞発表 引退オルティスの名も”. スポニチアネックス. (2016年11月11日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/11/11/kiji/K20161111013703170.html 2016年11月11日閲覧。 

関連項目 編集

外部リンク 編集