ラグビーイングランド代表
ラグビーイングランド代表(ラグビーイングランドだいひょう)は、ラグビー・フットボール・ユニオンにより組織される、イングランドのラグビーユニオンのナショナルチームである。エンブレムは薔薇。A代表は「サクソンズ(Saxons)」の愛称を持ち、チャーチャルカップに参加している[1]。
ユニオン | ラグビー・フットボール・ユニオン | ||
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エンブレム | 真紅の薔薇 | ||
グラウンド | トゥイッケナム・スタジアム | ||
ヘッドコーチ | スティーブ・ボーズウィック | ||
主将 | ジェイミー・ジョージ | ||
最多キャップ | ベン・ヤングス (127) | ||
最多得点選手 | オーウェン・ファレル (1237) | ||
最多トライ選手 | ローリー・アンダーウッド (49) | ||
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初国際試合 | |||
スコットランド 1–0 イングランド (1871年3月27日) | |||
最大差勝利試合 | |||
イングランド 134–0 ルーマニア (2001年11月17日) | |||
最大差敗戦試合 | |||
オーストラリア 76–0 イングランド (1998年6月6日) | |||
ラグビーワールドカップ | |||
出場回数 | 10 (1987年初出場) | ||
最高成績 | 優勝 (2003) |
概要
編集1871年にスコットランドと最古のテストマッチが行われ、現在はスコットランド・ウェールズ・アイルランド・フランス・イタリアとともにシックス・ネイションズを形成。北半球における最強国の一つとなっている[2]。
ラグビーワールドカップ1991では、カーリング、ガスコット、アンダーウッドら多彩なバックス陣を擁しながらも、決勝まではSOアンドリューのキックによるアップアンドアンダーに徹し、内外から批判を浴びた。しかしその戦法によって勝ちあがると、トゥイッケナムで行われた決勝では突如としてバックスに回す展開ラグビーを披露したもののオーストラリアに6-12で惜敗し、地元優勝はできなかった[3]。
ラグビーワールドカップ2003念願の北半球で初めての優勝を果たした。決勝の相手は、12年前の決勝で敗れたそのオーストラリアであったが、延長戦までの激戦となった。スタンドオフのジョニー・ウィルキンソンがドロップキックを決め、20-17で相手の地元優勝をも阻止し、12年前の汚名をようやく返上した[4]。
地元開催のラグビーワールドカップ2015は初戦のフィジー戦には勝利したが、ウェールズには敗退、オーストラリアには大敗を喫すなどイングランド、そして開催国として初の予選リーグ敗退という屈辱を受けることとなった[5]。
ラグビーワールドカップ2019では、プール戦を3勝1分の1位で通過(フランス戦のみ台風19号の影響で中止)。準決勝では前回王者のニュージランドを19-7で破り、イングランドとしてはラグビーワールドカップ2007以来となる3大会・12年ぶりの決勝進出を果たした。決勝では南アフリカに12-32で敗れ準優勝に終わった[6]。
本拠地
編集上位20チーム(2024年12月9日時点)[7] | ||||
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順位 | 変動* | チーム | ポイント | |
1 | 南アフリカ共和国 | 92.78 | ||
2 | アイルランド | 90.78 | ||
3 | ニュージーランド | 90.36 | ||
4 | フランス | 88.51 | ||
5 | アルゼンチン | 84.97 | ||
6 | スコットランド | 83.34 | ||
7 | イングランド | 82.31 | ||
8 | オーストラリア | 81.52 | ||
9 | フィジー | 80.07 | ||
10 | イタリア | 78.64 | ||
11 | ウェールズ | 74.01 | ||
12 | ジョージア | 73.85 | ||
13 | 日本 | 72.95 | ||
14 | サモア | 72.68 | ||
15 | アメリカ合衆国 | 70.02 | ||
16 | ポルトガル | 68.82 | ||
17 | ウルグアイ | 67.06 | ||
18 | スペイン | 65.98 | ||
19 | トンガ | 65.46 | ||
20 | ルーマニア | 63.01 | ||
*前週からの変動 | ||||
イングランドのランキングの推移 | ||||
生のグラフデータを参照/編集してください. | ||||
出典: ワールドラグビー[7] 推移グラフの最終更新: 2024年12月9日 |
ホームスタジアムはロンドン郊外のトゥイッケナム・スタジアム(アリアンツ・スタジアム)[8]。練習場はロンドン西部のペニーヒルパークホテルである。
応援歌
編集Swing Low, Sweet Chariot
編集詳細は「ラグビー・フットボール・ユニオン#イングランド代表応援歌に関する議論」を参照。
イングランド代表応援歌として『Swing Low, Sweet Chariot』がある。試合前や試合中など、観客がスタジアムで歌う[9][10][11]。
1988年、トゥイッケナム・スタジアムで行われたアイルランド戦において、イングランドサポーターたちが『Swing Low, Sweet Chariot』を試合中に歌いだした。試合は、イングランド代表が劇的な逆転勝利。以後、イングランド代表応援歌として定着し、イングランド代表のテストマッチなどで歌われている[12]。
ワールドカップ1991では、イングランド代表のテーマ曲となり、「Union featuring the England World Cup Squad」が歌唱し、イギリスのシングルチャートで16位となった[13][10][14]。
ワールドカップ2015イングランド大会にちなみ、歌手Ella Eyreは、トゥイッケナム・スタジアムを舞台にして、イングランド代表選手たちも出演したミュージックビデオを発表している[11]。
応援歌禁止に関する議論
編集しかし、2020年5月にアメリカ合衆国で起きた「ジョージ・フロイドの死」をきっかけに始まったブラック・ライブズ・マター運動(Black Lives Matter)の高まりに対応して、イングランド代表応援歌として試合会場などで歌われていた『Swing Low, Sweet Chariot』[15]に対し、応援歌としての使用を禁止することを検討していると、6月にイングランドラグビー協会(RFU)は発表した[16]。
その理由は、『Swing Low, Sweet Chariot』が1860年代にアメリカ黒人奴隷から生まれた鎮魂歌であり、曲の由来や意義と異なる使い方であるため[16]。
これにより2020年以降、『Swing Low, Sweet Chariot』をイングランド代表応援歌として使用することについて賛否の議論が起きたが[17][18][19][20]、結局、禁止にはなっていない[21]。
ワールドカップ2023(フランス大会)でも、イングランド代表が出場する試合会場で『Swing Low, Sweet Chariot』を観客たちが歌った[9]。
成績
編集シックス・ネイションズ
編集2024年3月17日現在
イングランド |
フランス |
アイルランド |
イタリア |
スコットランド |
ウェールズ | |
---|---|---|---|---|---|---|
試合数 | 130 | 97 | 132 | 27 | 132 | 132 |
単独優勝 (カッコ内は同時優勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 5 (4) | — | 4 (4) | — | 10 (3) | 7 (4) |
ファイブ・ネイションズ | 17 (6) | 12 (8) | 6 (5) | — | 5 (6) | 15 (8) |
シックス・ネイションズ | 7 | 6 | 6 | 0 | 0 | 6 |
合計 | 29 (10) | 18 (8) | 16 (9) | 0 (0) | 15 (9) | 28 (12) |
グランドスラム(全勝優勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 0 | — | 0 | — | 0 | 2 |
ファイブ・ネイションズ | 11 | 6 | 1 | — | 3 | 6 |
シックス・ネイションズ | 2 | 4 | 3 | 0 | 0 | 4 |
合計 | 14 | 10 | 4 | 0 | 3 | 12 |
トリプルクラウン(ホーム・ネーションズ(英4か国)中での全勝) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 5 | — | 2 | — | 7 | 6 |
ファイブ・ネイションズ | 16 | — | 4 | — | 3 | 11 |
シックス・ネイションズ | 5 | — | 7 | — | 0 | 5 |
合計 | 26 | — | 13 | — | 10 | 22 |
ウドゥン・スプーン(最下位チーム賞) | ||||||
ホーム・ネイションズ | 7 | — | 10 | — | 5 | 6 |
ファイブ・ネイションズ | 10 | 12 | 15 | — | 15 | 10 |
シックス・ネイションズ | 0 | 1 | 0 | 17 | 4 | 1 |
合計 | 17 | 13 | 25 | 18 | 24 | 17 |
ラグビーワールドカップ
編集選手
編集現在の代表
編集- ヘッドコーチ : スティーブ・ボーズウィック
- キャプテン : ジェイミー・ジョージ
※所属、 キャップ数(Cap)は2024年11月2日現在
歴代代表選手
編集- ジョニー・ウィルキンソン
- ベン・コーエン
- マーティン・ジョンソン
- ジェイソン・ロビンソン
- ローレンス・ダラーリオ
- マイク・キャット
- ポール・グレーソン
- ウィル・カーリング
- マット・ドーソン
- ジェフ・パーリング
- ベン・テオ
- ジェレミー・ガスコット
- フィル・デグランビル
- ロリー・アンダーウッド
- ロブ・アンドリュー
- ジェイソン・レナード
- アンディ・シェリダン
その他
編集- 2019年10月26日に行われたラグビーワールドカップ2019準決勝では、ラグビーニュージーランド代表が披露するハカに対してイングランドの選手はV字型に並ぶ行動を見せたが、後日、数人がハーフウェイラインを越えて並んでいたとして罰金処分を科せられた[24]。
脚注
編集- ^ “England Saxons to be renamed England 'A' by RFU as 'better representation of our team'”. JRFU. 2024年9月27日閲覧。
- ^ “World Rugby 1871 - 1888”. web.archive.org (2013年6月3日). 2024年9月27日閲覧。
- ^ “Rugby World Cup web.com - The Unofficial World cup website”. web.archive.org (2007年9月28日). 2024年9月27日閲覧。
- ^ Anthony, Andrew (2003年12月9日). “England 750,000, Australia nil” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077 2024年9月27日閲覧。
- ^ “England's Rugby World Cup: Where did it all go wrong?” (英語). BBC Sport. (2015年10月4日) 2024年9月27日閲覧。
- ^ “England 12-32 South Africa: Springboks win World Cup for record-equalling third time” (英語). BBC Sport. (2019年11月2日) 2024年9月27日閲覧。
- ^ a b “Men's World Rankings”. ワールドラグビー. 9 December 2024閲覧。
- ^ “Allianz Stadium – The Official Home of England Rugby” (英語). twickenham. 2024年9月27日閲覧。
- ^ a b “England rugby fans sing 'Swing Low Sweet Chariot' at Rugby World Cup 2023 v Samoa in Lille”. Giles Bearder. 2024年10月29日閲覧。
- ^ a b “Union Featuring The England Rugby World Cup Squad Swing Low Run With The Ball”. iDENT Channel. 2024年10月29日閲覧。
- ^ a b “Ella Eyre - Swing Low, Sweet Chariot”. Ella Eyre. 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Maro Itoje won't sing iconic England anthem during the Autum...” (英語). www.rugby-addict.com (2024年10月28日). 2024年10月29日閲覧。
- ^ “SWING LOW (RUN WITH THE BALL) FT ENGLAND WORLD CUP RUGBY SQUAD” (英語). Official Charts (1991年10月12日). 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Union: Swing Low (Run With The Ball) Featuring England Rugby World Cup Squad”. P O L T E R G E I S T. 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Ella Eyre - Swing Low, Sweet Chariot”. Ella Eyre. 2024年10月29日閲覧。
- ^ a b (2020年6月21日). “Prince Harry backs move to ban Swing Low Sweet Chariot from England rugby matches over slavery link” (英語). The Sun. 2024年10月29日閲覧。
- ^ Simcox, Georgia (2020年6月20日). “Prince Harry backs move to ban Swing Low, Sweet Chariot”. Mail Online. 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Swing Low, Sweet Chariot: Boris Johnson says song should not be banned” (英語). BBC Sport. (2020年6月18日) 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Swing Low, Sweet Chariot: Boris Johnson says song should not be banned” (英語). BBC Sport. (2020年6月18日) 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Maro Itoje won't sing iconic England anthem during the Autum...” (英語). www.rugby-addict.com (2024年10月28日). 2024年10月29日閲覧。
- ^ “Why is Swing Low, Sweet Chariot the England rugby song?” (英語). (2020年3月7日) 2024年10月29日閲覧。
- ^ Borthwick names squad for Autumn Nations Series . Englandrugby(2024年10月16日). 2024年11月2日閲覧。
- ^ Autumn Nations Series Preview: England v All Blacks . Englandrugby(2024年10月28日). 2024年11月2日閲覧。
- ^ “イングランドに罰金=「ハカ」対抗で違反行為-ラグビーW杯”. 時事通信 (2019年10月30日). 2019年10月30日閲覧。