ラグランジュ部分多様体

$\,(M,\omega )\,$をシンプレクティック多様体であるとする。

$\,M\,$の部分多様体$\,L\subset M\,$が ラグランジュ部分多様体であるとは、

(1) $\,\dim L={\frac {1}{2}}\dim M\,$

(2) $\,\omega |_{L}=0\,$

を満たすことをいう。

例１

$M$をn次元シンプレクティック多様体であるとする。 また、$\,f_{1},\cdots ,f_{n}\,$を次を満たす$M$上の 滑らかな関数たちとしよう。

(i) 互いにポアソン可換である。すなわち、シンプレクティック形式から定まる ポアソン構造に関して、$\,\{f_{i},f_{j}\}=0\,$が成立する。 ポアソン構造に関しては、ポアソン多様体を見よ。

(ii) $\,df_{1},\cdots ,df_{n}\,$は$\,M\,$上で一次独立である。 $\,df_{i}\,$は$\,f_{i}\,$の外微分を表す。

$M$から$\mathbb {R} ^{n}$への写像$\,F\,$を $\,F:M\to \mathbb {R} ^{n}:p\mapsto (f_{1}(p),\cdots ,f_{n}(p))\,$ で定義する。

このとき、もし$\,(c_{1},\cdots ,c_{n})\in \mathbb {R} ^{n}\,$が $\,F\,$の正則値であるならば、

$\,F^{-1}(c_{1},\cdots ,c_{n})=\{p\in M|f_{i}(p)=c_{i},i=1,\cdots ,n\}\,$

はラグランジュ部分多様体である。

例２

$\,M\,$をｎ次元多様体とし、 $\,T^{*}M\,$でその余接バンドルを表すとする。 余接バンドルを正準２形式$\,\omega _{0}\,$の入ったシンプレクティック多様体であると 思うと、$\,M\hookrightarrow T^{*}M\,$はラグランジュ部分多様体である。

関連項目

• 完全可積分
• フロベニウスの定理