ラケーテンヤークトパンツァー

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ラケーテンヤークトパンツァー(Raketenjagdpanzer)は、1960年代ドイツ連邦共和国(西ドイツ)で開発製造された、対戦車車両である。

ラングHS.30歩兵戦闘車の車台をベースに開発された車体に、対戦車ミサイルを装備した車両である。


  • ラケーテンヤークトパンツァー 1(Raketenjagdpanzer) - SS.11対戦車誘導ミサイルを装備。車体が小型。
  • ラケーテンヤークトパンツァー 2(Raketenjagdpanzer 2) - SS.11対戦車誘導ミサイルを装備。ラケーテンヤークトパンツァー 1よりも車体が大きく、カノーネンヤークトパンツァー並み。
  • ラケーテンヤークトパンツァー 3 ヤグアル1 - HOT対戦車誘導ミサイルを装備。
  • ラケーテンヤークトパンツァー 4 ヤグアル2 - カノーネンヤークトパンツァー主砲を撤去し、BGM-71 TOW対戦車誘導ミサイルを装備。


ラケーテンヤークトパンツァー 1 編集

ラケーテンヤークトパンツァー 1
 
種類 対戦車車両
原開発国   西ドイツ
運用史
配備期間 1961年-1967年
配備先   西ドイツ
開発史
製造業者 ヘンシェルハノマーグ
製造期間 1961年-1962年
製造数 95輌
諸元
重量 13 t
全長 5.56 m
全幅 2.54 m
全高 2.10 m
要員数 4名(車長、砲手、装填手、操縦手)

装甲 最大30 mm(鋼板)
主兵装 SS.11ミサイルランチャー2基、ミサイル10発
副兵装 ラインメタルMG3機関銃1挺、7.62x51mm NATO弾2,000発
エンジン ロールスロイス B81 Mk 80F、8気筒ガソリンエンジン
懸架・駆動 ホイールステーションごとに独立したコイルスプリング式トレーリングリンクおよびリーディングリンク式サスペンション
行動距離 270 km
速度 51 km/h
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ラケーテンヤークトパンツァー 1(Raketenjagdpanzer 1)は、1961年に就役した、SS-11対戦車誘導ミサイル搭載 駆逐戦車(西ドイツ軍で運用された最初の車両)である。

SPz.12-3でも使用されたイスパノ・スイザ HS.30のシャーシ上に構築され、フランスのSS.11対戦車誘導ミサイルのランチャーを2基装備していた。

このツインミサイルランチャーは、片方だけが車外(車体上面)に露出し、もう片方は車内に引っ込められ、片方が発射準備状態の時に、もう片方が再装填された。

ラケーテンヤークトパンツァー 1の主兵装は、SS.11対戦車誘導ミサイルであった。1両あたり10発のミサイルを搭載し、理論上では10両の敵車両を撃墜する能力を持っていたが、実際には疑わしいものであった。SS.11はワイヤーで誘導され、砲手は、発射後も小型の潜望鏡でミサイルを制御し続けた。SS.11は600 mmの均質装甲を貫通することができた。

この車両の浅瀬の深さは0.70メートルで、60°の勾配を登ったり、高さ0.60メートルの垂直障害物をクリアしたり、幅1.60メートルの塹壕を越えたりすることができた。

ラケーテンヤークトパンツァー 2 編集

ラケーテンヤークトパンツァー 2
 
種類 対戦車車両
原開発国   西ドイツ
運用史
配備期間 1967年-1982年
配備先   西ドイツ
開発史
製造業者 ヘンシェルハノマーグ
製造期間 1966年-1968年
製造数 318輌
諸元
重量 23 t
全長 6.61 m
全幅 2.98 m
全高 2.10 m
要員数 4名(車長、砲手、装填手、操縦手)

装甲 8-50 mm(鋼板)
主兵装 SS.11ミサイルランチャー2基、ミサイル14発
副兵装 ラインメタルMG3機関銃2挺、7.62x51mm NATO弾発煙弾発射機×8
エンジン 29.4L MTU MB 837 Aa V8 Ea-500
V型6気筒水冷多燃料ターボディーゼル
懸架・駆動 トーションバー方式
行動距離 385 km
速度 70 km/h
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ラケーテンヤークトパンツァー 2(Raketenjagdpanzer 2)、または、ラケーテンヤークトパンツァー SS-11(Raketenjagdpanzer SS-11)は、1967年から1982年まで採用された、西ドイツの、SS.11対戦車誘導ミサイル搭載 駆逐戦車である。

カノーネンヤークトパンツァーやマルダー歩兵戦闘車と同時期に開発され、車体も似ていた。

車両のプロトタイプは1963年から1965年の間に開発され、1967年から1968年の間に、ヘンシェルとハノマーグは、ドイツ連邦軍のために、318輌のラケーテンヤークトパンツァー 2を製造した。

 
ラケーテンヤークトパンツァー 2、1978年

この車両はSS.11対戦車誘導ミサイル用の発射レール2本とMG3機関銃2挺を装備していた。機銃は、1挺は車体前面に、もう1挺は対空兵装として車体上面に装備された。ラケーテンヤークトパンツァー 2は14発のミサイルを搭載し、そのうち12発は車内のコンテナに搭載され、残りの2発は発射レールに取り付けられていた。2基のミサイルランチャーの旋回範囲は、左右90度ずつで、左右合わせて180度に及んだ。

この車両の任務は、戦車砲の射程と精度が劣る1.5 kmから3 kmの距離で、SS.11対戦車誘導ミサイルにより敵戦車と交戦・撃破することであった。SS.11の最大有効射程は約3,000メートルであった。SS.11は、600 mmの均質圧延装甲を貫通することができた。

 
ヤグアル 1

ドイツ連邦軍は、1967年にラケーテンヤークトパンツァー 2を初めて運用配備した。1968年以降、装甲擲弾兵旅団の駆逐戦車中隊はこれらの車両を8輌装備した。同時に、装甲旅団の駆逐戦車中隊は13輌のラケーテンヤークトパンツァー 2を受領した。

1978年から1982年にかけて、ラケーテンヤークトパンツァー 2の316輌が、新しいHOT対戦車誘導ミサイルシステムと装甲でアップグレード改修され、ラケーテンヤークトパンツァー ヤグアル 1(Raketenjagdpanzer Jaguar 1)と改称された。

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