ラビナス (1999年の映画)

ラビナス(英:Ravenous)は、1999年のアメリカ合衆国のホラー映画であり、原題の Ravenous とは、貪欲という意味を示している。

ラビナス
Ravenous
監督 アントニア・バード
脚本 テッド・グリフィン
製作 アダム・フィールズ
デヴィッド・ハイマン
製作総指揮 ティム・ヴァン・レリム
出演者 ガイ・ピアース
ロバート・カーライル
デヴィッド・アークエット
音楽 マイケル・ナイマン
デイモン・アルバーン
撮影 アンソニー・B・リッチモンド
編集 ニール・ファレル
制作会社 ヘイデイ・フィルムズ
ETICフィルムズ[1]
配給 20世紀フォックス
公開

アメリカ合衆国の旗 1999年3月19日

日本の旗2000年3月25日
上映時間 101分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
 チェコ
言語 英語
イタリア語
スペイン語
ワショ語
製作費 $12 million
興行収入 $2,062,405
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日本でのキャッチコピーは「血もしたたる恐怖の味。PG-12指定(アメリカではR指定)。

概要編集

本作はドナー隊の遭難およびアルフレッド・パッカー事件から構想を得たカニバリズム映画であり、監督は「司祭」などで知られるアントニア・バード、脚本はこれが第一作目のテッド・グリフィン。彼はロバート・カーライル演じるコルホーンのキャラの構想にアルフレッド・パッカーを挙げている。監督は「この物語を一言で分類するのは難しいと思います。「おっ、すげー!」というショッキングな映画だけど、エネルギーとスピード感にあふれたアドベンチャー映画の要素も、強烈で尖鋭的な風刺もあります。恐怖映画の語り口で観客を引きつけていくスタイルを取りながら、飢えの極限で果たして人間は人間を殺しその肉を食べられるか?という究極のテーマを追及している新しいタイプの映画として受け取って欲しいです。」と語っている[2]

また、ジョン・スペンサーにとってこの作品は最後の映画出演作となった[3]

ストーリー編集

1847年。アメリカ・メキシコ戦争で仲間の血を飲み、敵地でただ一人生き残ったジョン・ボイド大尉は、帰還を祝う席で出されたステーキを見て吐いてしまい、スローソン将軍の機嫌を損ね、シエラネバダ山脈の西にあるスペンサー砦に赴任させられる。

ボイドは赴任先で原住民のマーサとジョージ、酒豪のノックス医師、神の使者を自認するトフラー2等兵、楽天家のライク2等兵、薬漬けのコックであるクリーヴス、彼らをまとめるハート大佐と出会う。このあたりは、冬になるとかなり雪深いというのに死にかけの男が倒れているのが発見される。

コルホーンと名乗るその男は、仲間と旅の途中で遭難、洞窟に避難し、食料がなくなるとアイヴス大佐というガイドが死んだ者を調理して仲間と食べていたという。しかし、腹を空かせていたアイヴスはついに仲間を殺して食い始め、コルホーンはたまらず逃げてきたのだ。まだ洞窟に仲間のマクレディ夫人とアイヴス大佐が残っている事を聞いた彼らは、救助へ向かう。ネイティブ・アメリカンのウィンディゴ伝説では、人肉を食った者は強くなるので注意しろ、とジョージは言う。

一行が救助へ向かって二日経った。トフラーは人骨を発見するが足を滑らせ崖から落ちてしまう。同夜、トフラーはコルホーンが自分をなめたと叫び、コルホーンは「自分でもなぜこんなことをしたのかわからない、怖いので縛ってくれ」と言い出す。一行はようやく洞窟を発見し、中へ入るボイドとライクだったが、人骨だけが見つかった。ライクが「あいつが騙した」と叫ぶが、もう遅かった。

出てきた彼らはハート大佐が倒れているのを発見。トフラーも襲われて、叫び声が聞こえるほうへ進むと、コルホーンが現れる。なんとか崖まで追い詰めた二人だったが、ライクが殺されてしまう。ボイドに近づいてくるコルホーン。銃でコルホーンを撃つが死なず、ボイドはついに崖から飛び降りる。重傷を負ったボイドは草木の根を食うが腹の足しになるはずもなく、苦渋の決断でライクの肉を食って生き延びる。

彼はなんとか砦に戻り、クリーヴスに見つけられた。その後、ノックスの手当を受けて休んでいると、ふいに恐怖を感じてマーサにどうやったらウィンディゴを止められるのか聞く。マーサは「命を与えるしかない」と答える。

そんなある日、スローソン将軍がハート大佐の後任としてアイヴス大佐を連れてきた。その姿がコルホーンと瓜二つだったのでボイドは怖くなった。ボイドは「アイヴスはコルホーンで、皆を殺した犯人だ」と言うが、食物の補給のために出かけていたのでコルホーンを知らない仲間はこの話を信じなかった。ノックスは、酒びたりだったので記憶が曖昧だったが、「彼がコルホーンなら、ボイドが肩に撃ったと言った銃弾の跡があるはずだ」と言う。アイヴスは肩を見せるが、銃弾の跡はなかった。

その日の夜、アイヴスは、もともと体が弱く、結核を患っていたが、ウィンディゴ伝説の話を聞いて人肉を食べたところみるみる体が強くなったとボイドにだけ話した。ボイドは彼を殺そうとナイフを向けるが、他の仲間に見つかり、勘違いされてボイドは手錠をかけられ部屋に監禁されてしまう。

なかなか姿を現さないクリーヴスを呼びに、砦中を探すマーサは、彼と家畜の死体を発見する。マーサはボイドの犯行を将軍に報告するため、スペンサー砦を後にする。そして、一人になったノックスは殺されてしまう。部屋に誰かが近づく足音が聞こえ、次は自分の番かと考えたボイド。だがなんと、扉を開けて出てきたのはハート大佐だった。彼はコルホーンに肉を食わされ生き延びていた。クリーヴス、ノックスと家畜を殺したのは大佐だった。

コルホーンは、この砦の近くを通る開拓者(マニフェスト・デスティニー)を食ったり、人肉食いの仲間にしたりしようと考えていた。そしてコルホーンは、ボイドに人肉を食い仲間になろうと提案をしてきた。それを拒否するボイドは、コルホーンにナイフを突き刺され、瀕死の状態になる。生きるか死ぬかの選択を迫られたボイドはノックスの肉が入ったシチューを食べる。

人肉を食ったことで回復したボイドは、大佐にコルホーンを殺させてくれと頼み込む。大佐はボイドの手錠を外すが、「こんな事をしてまで生きているのは嫌なんだ」と言い、ボイドに自分を殺すよう言う。ボイドは大佐の喉をナイフで切りつけて殺す。

ボイドは勇気を出してコルホーンに戦いを挑み、死闘の末、2人は大きなトラバサミの罠に挟まれる。コルホーンは、「お前が先に死んだらお前を食う」と挑発するが、ボイドより先に息途絶える。そこへ、マーサと将軍の一行がやってくる。将軍はシチューを見つけ、それが人肉の入ったものとは知らずに口にする。

マーサがコルホーンとボイドを見つけると、彼女は無言で扉を閉め、その場を去る。そしてボイドはゆっくりと目を閉じ、絶命する。

キャスト編集

制作編集

当初はミルチョ・マンチェフスキが監督したが、撮影から3週間後に彼がこの作品の監督を降板した。彼は、当時のフォックス2000ピクチャーズの社長であるローラ・ジスキンが、マンチェフスキの意向に反したキャスティングを行ったと訴えている。その後、カーライルの提案により監督はアントニア・バードへ変更となった。バードは、マンチェフスキが問題のある制作のせいで非難されるべきではないと発言した[4]

舞台はカリフォルニアのシエラネバダ山脈だが、経費の関係によりメキシコ、チェコ、スロバキアのロケ地を決めるまでには、カナダでロケハンしていた。結局、ロケーションはメキシコのドゥランゴ(アメリカ・メキシコ戦争の戦闘シーン)、チェコ共和国とスロバキアのタトラ山脈(シエラネバダ山脈のシーン)で敢行された[5]。物語は雪深い場所という設定だったが、クランクイン当初スロバキアは晴れで雪も少なかった。だが2、3週間後に急に雪が降ったので脚本に手直しを加え、場面がつながるように撮り直した[6]。監督は緑の画面と白い画面がバランスよく撮れて満足だったという。スペンサー砦の囲いは、倒れた木を逆さまにして、その先を尖らせたものを利用して作られた。

ガイ・ピアースは菜食主義者だが、肉を食べるシーンはガイが実際に豚肉を口に含んだ。また、シチューを食べるシーンでは、彼は酔っていた。

ジェフリー・ジョーンズが演じる大佐の死亡シーンで、MPAAからNC-17指定を受けたため、一部カットしてR指定となった。

興行収入編集

1999年3月19日に米国で1,040の映画館で公開されたこの作品は、開演週末に1,040,727ドルを稼ぎ出した。

最終的な収入は2,062,405ドルとなり、1200万ドルの予算よりはるかに少ない額だった[7]

評価編集

「ラビナス」は多数の批評家から否定的な意見を受け取ったが、その後カルト映画として人気を得ている。

Rotten Tomatoesでは、46件の批評家のレビューに基づいて45%の評価であったが、観客の評価は79%と高いものになっている[8]

ロジャー・イーバートは、4つ星のうち3の評価を与え「ストーリーが形のないゴアになっているが、映画製作の質感を味わうことができる。」と評した[9]

また、ホワイト・シティー・シネマのマイケル・スミスの好きな90年代の作品21位にランクインした[10]

サウンドトラック編集

Ravenous: Original Motion Picture Soundtrack
マイケル・ナイマンデーモン・アルバーンサウンドトラック
リリース
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日本では「ラビナス 〜オリジナル・サウンドトラック」の題で発売された。

トラックリスト

#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「ヘイル・コロンビア
Hail Columbia」
  
2.「ボイドの門出
Boyd's Journey」
  
3.「ようこそフォート・スペンサーへ
Welcome to Fort Spencer」
  
4.「ノイジズ・オフ
Noises Off」
  
5.「よそ者
Stranger at the Window」
  
6.「コルクォン
Colquhoun's Story」
  
7.「ウィンディゴの神話
Weendigo Myth」
  
8.「洞窟への道のり
Trek to the Cave」
  
9.「誘惑
He Was Licking Me」
  
10.「恐怖の洞窟
The Cave」
  
11.「逃走
Run!」
  
12.「復讐
Let's Go Kill that Bastard」
  
13.「狂気の穴
The Pit」
  
14.「戻ってきたアイヴス
Ives Returns」
  
15.「カニバル・ファンタシー
Cannibal Fantasy」
  
16.「地獄へのゲーム
A Game of Two Shoulders」
  
17.「チェックメイト-行きづまり
Checkmate」
  
18.「マーサと馬
Martha and the Horses」
  
19.「アイヴスの誘惑とボイドの戦い
Ives Torments Boyd and Kills Knox」
  
20.「定められた運命
Manifest Destiny」
  
21.「Saveoursoulissa」  
22.「エンド・タイトル
End Titles」
  
合計時間:

イギリス盤では、「Boyd's Beauty pt.A」、「Screech Jam」、「The Pit」(ウィリアム・オービットとダミアン・レガシックがリミックスを行ったもの)の3曲が収録されているが、代わりに「Ives Returns」、「Manifest Destiny」、「End Titles」が収録されていない。

ノミネート編集

その他編集

  • 主人公のボイドは無口なキャラクターとして描かれており、スペンサー砦に赴任してハート大佐に趣味を聞かれた際に「水泳を」と答えるまで一切喋っていない。

ソフト販売編集

日本では2001年3月21日に吹替版と字幕版のVHSレンタルが同時リリースされ、その後2002年6月28日にDVDが発売された。

参照編集

  1. ^ http://www.etic.cz/Ravenous/
  2. ^ 公式サイトhttp://movies.foxjapan.com/ravenous/staff.htmlより
  3. ^ Ravenous (1999), http://www.imdb.com/title/tt0129332/trivia 2018年7月24日閲覧。 
  4. ^ FANGO Flashback: “RAVENOUS””. Fangoria.com. 2019年4月4日閲覧。
  5. ^ http://movies.foxjapan.com/ravenous/intro.html
  6. ^ パンフレットより
  7. ^ Ravenous (1999) - Box Office Mojo” (英語). www.boxofficemojo.com. 2018年7月24日閲覧。
  8. ^ (英語) Ravenous, https://www.rottentomatoes.com/m/ravenous/ 2018年7月24日閲覧。 
  9. ^ Ebert, Roger. “Ravenous Movie Review & Film Summary (1999) | Roger Ebert” (英語). www.rogerebert.com. 2018年7月24日閲覧。
  10. ^ Ravenous | White City Cinema” (英語). whitecitycinema.com. 2018年7月24日閲覧。

外部リンク編集