ラポールゆやは、山口県長門市(旧大津郡油谷町)にある市営の文化施設。1997年(平成9年)12月開館。

施設

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町並みと油谷湾を見下ろす高台にある立地を生かし、建物は全長150mの眺望デッキに沿って配置されている。設計は日建設計、施工は清水建設が行った[1]

大ホール
多目的ホール、最大収容人員770名。緞帳には楊貴妃や油谷湾、油谷町の町木や町花など、油谷町にまつわる事物が盛り込まれたものが作られた[2]
コミュニティホール
会議室
視聴覚室
研修室
図書室
市営図書館分館の役割を果たしている

歴史

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油谷町における文化会館建設に向けた動きは1992年、町の平成四年度施政方針に初めて登場した[3]。この方針で町は、油谷小に隣接する山林10万㎡を購入し、保育所や町民センターを建設するという、後にコミュニティパーク整備事業と呼ばれることになる事業の構想を示した[4]。町民センターは「油谷町ふれあいセンター」の仮称で呼ばれるようになり、1994年(平成6年)4月に町は建設推進委員会を設置した[5]。1996年(平成8年)10月に着工[6]、1997年11月に完成した。名称は公募のうえ、名称が「油谷町文化会館」、愛称が「ラポールゆや」と決まり[7]、11月22日に安倍晋三衆議院議員も出席して竣工記念式典が行われた[8][9]

2000年3月には長門市に文化施設「ルネッサながと」が開館、類似した施設の存在が合併協議の障害となった。長門市側は長門広域都市圏一市三町での運営を見込んでおり、運営を担う「ながと広域文化財団」を設立した。3町側は設立に出資はしたものの、運営費は負担しなかった。特に油谷町は、ラポールゆやの維持に年6000万円以上かかっており、ルネッサながとの費用負担は無理と主張していた[10]。しかし結局、2005年3月に油谷町は長門市と合併、油谷町文化会館は長門市の文化会館となった。従来愛称であった「ラポールゆや」が、名称として用いられることになった[11]

油谷中央公民館

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油谷町の中央公民館は当初、1967年(昭和42年)に石原小学校跡地を活用して作られた[12]。しかし建物が1926年(大正15年)建築で古く、施設も不充分であると考えられていた[13]。1972年(昭和47年)、油谷町は中央公民館の建設費を同年度予算に盛り込み[14]、4月には油谷小の隣接地を予定地に決めた[15]。ところが5月8日に起きた不審火により公民館は全焼、公民館に置かれていた油谷町史の資料も焼失した[16]。公民館の業務は一時、役場庁舎内で行われることになった[17][18]。1973年(昭和48年)10月に中央公民館が再建され[19]、以降は町内各地区の公民館は連携して活動するようになった[20]

その公民館も2005年3月に油谷町が長門市と合併する頃には老朽化が目立ってきたが、公民館は教育委員会の所管であり、企画総務部所管のラポールゆやとは管轄が異なっていた。2007年にラポールゆやが教育委員会所管に変更されて一体運営が可能となり、2008年に中央公民館はラポールゆやに移転した。旧油谷中央公民館の建物は解体されることになり、2013年、解体される前の建物が、長門市消防本部により鉄筋コンクリート製の建物に署員が穴を開けて救助する訓練に使用された[21][22]。一方、移転先のラポールゆやには公民館の併置を表す看板がなかったが、2020年に「油谷中央公民館」と書かれた看板が取り付けられた[23]

こどもミュージカル

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2003年から自主公演事業として企画された事業の一つ。地元の子供達によるオリジナルミュージカルの公演が毎年行われている。照明と音響はプロが行っているが、衣装は住民が担当している[24]

2003年にラポールゆやの開館5周年記念事業として公演された「サンタの残した忘れ物」が最初の作品である。東京から油谷町に転校してきた女の子が友達やサンタクロースと交流する物語で、原作・脚本・演出を下関市民ミュージカル代表の伊藤寿真男が担当した。伊藤は学校公演や小中学生対象の研究所設立などを通じてミュージカル浸透を図ってきた実績がある人物である[25][26]。最初の公演は2003年2月2日、町内の小中学生を対象とした午前、一般客を対象とした午後の2回行われ、午後の会は椅子に座り切れないほどの来場客を集めた[27][28]

2回目は下関市民ミュージカルの公演作である「見習い魔女マジョリカ」が取り上げられ、2003年11月8日に公演された[29]。9回目の公演となった2010年の「ふたりの蛍子の物語」は、それまでと異なり戦争をテーマとした作品となった[30]

ラポールゆやでの定期公演のほか、外部でも公演を行うことがある。2011年には長門のライブハウス「パタ屋」で、油谷にたどり着いたと伝説の残る楊貴妃を題材にしたミュージカルの野外公演を行った[31]。2019年にはルネッサながとで開催された「第25回全国棚田(千枚田)サミット」に出演し、オープニングで田の保護を訴える演目を披露した[32][33]。このほか海峡メッセ下関山口情報芸術センターでも公演実績がある[34]

脚注

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  1. ^ 建築と社会 1998年6月号 8ページから9ページ 油谷町文化会館“ラポールゆや” 横山隆一・大野一男
  2. ^ 新油谷町史 429ページ
  3. ^ 新油谷町史 油谷町史編集委員会編集 平成18年3月 山口県長門市発行 428ページ
  4. ^ 広報ゆや 平成4年4月号 3ページ 人口定住対策
  5. ^ 広報ゆや 平成6年6月号 5ページ 油谷町ふれあいセンター(仮称)建設推進委員会を設置
  6. ^ 広報ゆや 平成8年10月号 2ページから3ページ
  7. ^ ふれあいセンターの名称決定!
  8. ^ 中国新聞 1997年11月25日号 油谷に多目的文化拠点 「ラポールゆや」が完成 演奏会や演劇に対応
  9. ^ 広報ゆや 平成9年12月号 2ページ 文化会館大ホールにて竣工式典を挙行!
  10. ^ 朝日新聞 2000年5月5日号 山口版24面 長門市政の課題 市長選を前に〈中〉
  11. ^ 長門市合併検証 平成27年7月 長門市 34ページ
  12. ^ 油谷町史 油谷町史編纂委員会編集 平成2年8月20日 山口県 油谷町発行 808ページ 新油谷町史 394ページ
  13. ^ 広報ゆや 昭和47年5月号 2ページ 完成は48年夏 中央公民舘の建設用地決まる 教育長 那須隆雄
  14. ^ 広報ゆや 昭和47年4月号 1ページ 総額 6億190万円(一般会計)の 新年度 予算の編成にあたり 町長 松永對介
  15. ^ 広報ゆや 昭和47年5月号 2ページ 完成は48年夏 中央公民舘の建設用地決まる
  16. ^ 山口新聞 昭和47年5月9日号 5面 町史資料など焼失 油谷町で公民館、縫製工場全焼
  17. ^ 広報ゆや 昭和47年6月号 2ページ 公民舘の焼失について 教育長 那須隆雄
  18. ^ 油谷町史 598-599ページ
  19. ^ 油谷町史 599ページ
  20. ^ 油谷町史 808ページ
  21. ^ 毎日新聞 2013年6月5日号 山口版25面 長門市消防本部など 救助訓練 旧公民館で「ブリーチング」用いて実施 知識や技術向上へ 川上敏文
  22. ^ 長門市 長門の話題 旧油谷中央公民館で訓練
  23. ^ 油谷中央公民館通信(2020年度)
  24. ^ 月刊公民館 2013年7月号 14ページから17ページ 実践事例―3 子どもを地域の真ん中に置いて―高齢化率44.2%のまちのなかで 長門市油谷中央公民館館長 森田和康
  25. ^ 朝日新聞 2002年8月8日号 山口版26面 油谷町子どもミュージカル制作発表
  26. ^ 毎日新聞 2003年1月22日号 山口版18面 油谷町子どもミュージカル 来月2日に初公演
  27. ^ 広報ゆや 平成15年3月号 2ページから3ページ 感動をありがとう!
  28. ^ 新油谷町史 430ページ
  29. ^ 新油谷町史 430ページから431ページ
  30. ^ 朝日新聞 2010年11月28日号 山口版33面 戦争の悲劇、子らが演じる 長門で来月、ミュージカル
  31. ^ 毎日新聞 2011年4月23日号 山口版21面 ミュージカル よみがえる楊貴妃伝説 長門のライブハウスで、きょう開演 川上敏文
  32. ^ 読売新聞 2019年10月14日号 山口版29面 全国棚田サミット開幕 長門 保護訴える舞台も
  33. ^ 長門市観光コンベンション協会 ながと観光ナビ ななび 第25回全国棚田サミット・アグリアートフェスティバル2019
  34. ^ 長門市広報 知っちょこ 2022年1月1日号 8ページから9ページ 20周年を迎えた油谷こどもミュージカル

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯34度22分10秒 東経131度03分17秒 / 北緯34.36939度 東経131.05461度 / 34.36939; 131.05461