ラムンチョ (劇付随音楽)

ラムンチョ』(フランス語: Ramuntcho)は、フランスの作曲家ガブリエル・ピエルネが作曲した劇付随音楽で2つの組曲にまとめられている。 ピエール・ロティの小説『ラムンチョ』の舞台化のために書かれたもので、1908年パリオデオン座にて初演された[1]。なお、序曲のみが独立して演奏されることもある。

密輸業者となったラムンチョ、ヴェティネによる版画

概要 編集

 
1898年のピエルネ

本作には「バスクの民謡による」という副題が示しているように民俗的要素の強いものとなっている[2]。ソルツィーコ(zortziko)といったバスク音楽の個性的な5/8拍子の特徴やファンダンゴという踊り、タンバリンなどの打楽器を取り入れている。オデオン座での上演の成功にあたっては、ピエルネは本作の内容に真摯に寄り添った音楽が演劇だけでは表現が難しい、対立による精神的衰弱、情念、この地方の信仰への執着といった感情表現に貢献した[3]

原作の概要は概ね次の通り。ラムンチョはピレネー山脈の麓のスペイン国境沿いのバスク地方に暮らしているバスク人。彼はフランス国家への帰属意識の希薄な自由で、豊かな自然に恵まれた平和な少年時代を過ごした。彼は球技の一種であるバスク・ペロタの選手になり、幼馴染の恋人グラシユーズと愛し合う、彼女の母親ドロレスの猛反対など意に介さず、将来を約束する。ラムンチョは父親が誰だか母親フランシータから知らされていない。それは母親の秘密なのだ。そして3年間の兵役、戻るとグラシユーズは修道女になっている。彼は密輸に手を染める。そして、母の死、グラシユーズとのいたたまれない再会、といった話である[4]

楽器編成 編集

 
密輸業者とラムンチョ、ヴェティネによる版画

演奏時間 編集

第1組曲: 約19分、 第2組曲: 約15分

序曲のみ: 約9分。

構成 編集

主な録音 編集

指揮者 管弦楽団 レーベル
1976 ジャン=バティスト・マリ パリ・オペラ座管弦楽団 CD: EMI
ASIN : B00N4478YK
序曲のみ
1987 ジャック・ウトマン ロレーヌ・フィルハーモニー管弦楽団フランス語版 CD: BIS
ASIN : B01GUH7O6Y
第1組曲と第2組曲
1996 ジャン・フルネ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 CD:日本コロムビア
ASIN : B000JVS3MC
序曲のみ
2011 ファンホ・メナ英語版 BBCフィルハーモニック CD: Chandos
ASIN : B004DEKOYG
第1組曲と第2組曲

脚注 編集

  1. ^ 『ラルース世界音楽事典』P1357
  2. ^ ジャン・フルネによる『ラムンチョ』のCDの井上さつきによる解説書
  3. ^ ファンホ・メナによる『ラムンチョ』のCDのジェラルド・ランサーによる解説書
  4. ^ 『ラムンチョ』岩波文庫

参考文献 編集

外部リンク 編集